副業と聞くと、収入の増加や人脈の拡大などポジティブなイメージがあるかもしれません。しかしながら、副業にはさまざまなルールも存在しているため、ただ儲かればいいというわけではありません。法律や会社のルールに反した副業を行うことは避け、会社の定める就業規則をよくチェックしておきましょう。
今回は、就業規則と副業の関係や、就業規則の参照元であるモデル就業規則についてご説明します。
副業する前に会社の就業規則へ目を通しておこう
会社勤めを続けながら副業を始めるためには、副業に関するルールを知っておく必要があります。副業に向けた行動を開始する前に「やりたいと思っている副業には問題がないのか」を、会社の就業規則に目を通し確認しておきましょう。
入社直後ならいざ知らず、入社して何年も経過していると就業規則を目にする機会はあまりないかもしれません。しかし就業規則には禁止事項が定められており、副業がその範疇に含まれている可能性もあります。
人事サービス会社が2018年に調査したところによると、回答した企業のうち実に7割以上が兼業・副業を「禁止している」と回答しています。「推進している」「容認している」と回答した企業の割合が増加傾向にあるとは言え、多くの日本企業ではまだ副業を禁止しているのが現状なのです。
厳密に言えば、公務員を除く民間企業に勤務する会社員の副業は法律では禁じられていません。それでも会社から罰則を受ける可能性は残りますので、副業を禁止する記述が就業規則に明記されている場合は、副業をしないのが良いでしょう。
また副業全般を禁止してはいないものの、副業の内容や働き方に制限を設けている可能性もあります。会社の事業と競合するような副業、自社での業務がおろそかになるような働き方などは、多くの企業が懸念するところです。例えば金融関連の事業を手がける会社では、金融商品への投資が禁じられているでしょう。副業自体は認められていても、定められた条件についての確認は怠らないようにしましょう。
会社の就業規則の根拠?モデル就業規則を知ればルールの方向性が分かる
今なお多くの企業が副業を禁止しているとはいっても、日本社会全体の流れとして副業解禁・容認の方向へ動きつつあることは確かです。それは、会社の就業規則の参照元であるモデル就業規則を見れば理解できます。
モデル就業規則とは、企業が作成する就業規則の参考となる項目やその解説を掲載しているものです。厚生労働省が適宜改正を加えています。企業は必ずしもモデル就業規則に従う義務があるわけではありませんが、モデル就業規則の内容と改正の動きを追いかければ、働き方に関する社会全体の流れをつかむことができます。
このモデル就業規則は、2018年1月に副業・兼業に関する規程を新しく追加する形で改定されました。それまで「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」とされていたのが、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と改められています。ただし、「労務提供上の支障がある場合」「企業秘密が漏洩する場合」「会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合」「競業により、企業の利益を害する場合」については副業を禁止または制限できるとしています。
条件付きとは言っても、国が副業・兼業を容認する方向で動いているのは確かです。そのため、今後は副業解禁へ踏み切る企業が増加することも予想されます。先にご紹介したアンケート調査でも、副業を容認ないし推進する企業の割合は28.8%と、2017年と比べて5.9ポイント上昇しています。
ルールを守って副業にチャレンジしよう
副業を始める動機は、収入の増加や他者からの依頼などが考えられます。つまり自分でやりたいと希望するか、周囲からやってほしいと頼まれるかで副業を始めるケースが多いのではないでしょうか。
しかしそれ以上にルールの遵守を強く意識し、会社の定める就業規則に則り、逸脱しない範囲で副業を検討する必要があります。副業を全面的に禁止している企業の場合は残念ながら諦めざるを得ないでしょうし、禁じられている内容の副業にも手を出すべきではないでしょう。
副業は個人で始めるビジネスであり、自分自身にかかる責任も必然的に大きくなります。勤める会社に迷惑をかけることなく、ルールを守ることが求められていることを心に留めてチャレンジしていくのがよいでしょう。(提供:Dear Reicious Online)
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