近年、商品やサービスを購入するのではなく、期間に応じて利用料金を払う「サブスクリプション型」のビジネスが広がりつつあります。有名なところでは、NetflixやHuluなどの動画配信サービスやマイクロソフトのOffice365などが挙げられます。本稿ではサブスクリプションの仕組みや、従来の買い切り型ビジネスモデルとの違いなどについて解説します。
インターネットの普及でサブスクリプションモデルが拡大
サブスクリプションとは、一定期間サービスを利用するかわりに、その利用料金を支払ってもらうことです。いわゆる「定額制」と言われるものが該当します。サブスクリプションは以前から存在するビジネスモデルで、新聞や牛乳の配達、ダスキン、ヤクルトのようなものはサブスクリプション型ビジネスモデルであると言えます。
サブスクリプションは、とくにインターネットと相性が良く、NetflixやHulu、Apple Musicなど、映像・音楽の定額サービス、Amazon Primeなどの会員制サービス、Dropboxなどのデータサービスなどが挙げられます。
サブスクリプションと定義の変遷
サブスクリプションの本来の意味合いは「予約購読」です。従来型のサブスクリプションは「定期性」が一つの要として捉えられていました。つまり一度申し込んだら、以降は解約をしない限り、新聞やヤクルトのように定期的にサービスが受けられるというものです。
しかし近年において、その定義に変化が生じてきました。先述の映像・音楽の配信サービスのように、一定期間において、内容・品質・価格が保証されたサービスをほぼ無制限に利用できるといった意味合いを持つようになったのです。
サブスクリプション化による企業側のメリット
サブスクリプション化は、顧客にとっては商品の非所有化や自由なサービスの利用などメリットの大きなビジネスモデルです。一方、サービスを提供する企業から見ると、サブスクリプションにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
1、売り上げの予測が立てやすい
ビジネスをサブスクリプション化させた場合、一人の顧客がどれくらいの期間、サービスを利用してくれるのか統計的に計ることができます。このデータによってある程度、年間収支などの予測が立てられるようになるのです。
2、価格の引き下げによる顧客獲得
サブスクリプション型ビジネスモデルは販売価格の大幅な引き下げが期待できます。仮に映画の値段が一タイトル一万円だとします。これが、サブスクリプション化による映像配信サービスの場合、あくまでも定額課金であるため、顧客は一ヵ月あたり1,000円程度で好きな映画を鑑賞することができるようになるのです。もちろんサブスクリプションは「非所有」ですが、だからこそサービス提供者は低い価格で提供できるのです。こうした低価格化の実現は、新規顧客の獲得につながることが期待できます。
3、顧客に対して柔軟なサービス提供が可能
定額制の映像配信サービスであれば、利用デバイスの数や種類によって柔軟な料金設定が可能になります。スマートフォンやタブレットなどデバイスの複数化に加えて、通勤時や屋外での動画視聴など利用環境の変化、生活スタイルの多様化などユーザーニーズにあった柔軟な料金プランやコンテンツ配信ができます。また顧客データを活用することで、ユーザーの細かいセグメント化が可能になり、顧客層ごとのニーズを把握することも容易になります。
サブスクリプション化のデメリット
一方でサブスクリプション化を行うにあたってのデメリットも存在します。
1、積立型のビジネスモデル
サブスクリプション型のビジネスモデルは、あくまでも長期的に顧客との関係性を維持することで売り上げを積み立てていくものです。つまり、従来の売り切り型と違ってリリース直後に大きな売り上げを出しにくい面があるのです。加えて、リリース時にはコストなどもかさむため、ある程度の資金の確保が必要になるビジネスモデルであると言えます。
2、マーケティングの先鋭化
従来のサブスクリプション型ビジネスである新聞や健康食品などは、定期的に同じものを配送することでビジネスを成り立たせています。一方、近年のサブスクリプション型ビジネス、とくにエンタテインメント分野などにおいては、顧客が飽きないために、絶えず最新かつ顧客満足度の高い商品を仕入れる必要があります。このためには当然、マーケティング活動が重要になります。企業は、顧客ロイヤルティを高めるためにもさまざまな施策によって顧客ニーズを把握し、最適なサービスの提供を継続的に行っていく必要があります。
顧客との関係性の維持がサブスクリプション化のポイント
ビジネスのサブスクリプション化にはさまざまな利点があります。また多様性の求められる現代において適合しやすいビジネスモデルであると言えます。いずれにせよ、サブスクリプション化のポイントは「どのように顧客との関係性を維持するか」に尽きます。サブスクリプションモデルは、発想次第でさまざまなサービスが提供でき、今後のさらなる発展も期待できます。自社の事業に、サブスクリプションモデルを取り入れたいと考えているビジネスパーソンは、一度専門のコンサルタントに相談することをおすすめいたします。(提供:みらい経営者 ONLINE)
オススメ記事 みらい経営者 ONLINE】
・事業承継、どのアドバイザーを選べばいい?
・事例でわかる!事業承継で生じる問題とその対応策
・出向社員の給与や社会保険はどちらが負担?
・「ネット炎上」に対する、人事労務の対策方法
・どうする?海外事業で失敗しないために