自分で自分の年金を用意する確定拠出年金(iDeCo)は、2017年から加入できる人の幅が広がり、公務員でも始められるようになりました。税金の控除が受けられるなどのメリットがあり、興味を持つ方も多いのですが、事前に知っておきたい注意点もあります。詳しく見ていきましょう。

公務員でも「老後は安心」とは言えない時代に

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(画像=PR Image Factory/Shutterstock.com)

公務員は、今まで退職後も手厚い保障で守られてきました。しかし、近年の法改正では民間企業と同水準にそろえるために退職金が減額になったり、共済年金がなくなって厚生年金に統一されたりするなど、保障削減の動きが続いています。

公務員であっても老後の生活のために自分で努力する必要が出てきたのです。そこで注目されているのが「個人型確定拠出年金=iDeCo(イデコ)」です。決められた金額を支払えば将来一定額を受け取れる従来の年金制度とは異なり、iDeCoは毎月自分で決めた金額を自分で決めた運用先に預け、その結果次第で将来もらえる年金額が決定するしくみになっています。

公務員がiDeCoに入る4つのメリット

老後の資金を積み立てられる

公務員なら、毎月5,000円から上限の1.2万円までで自分が決めた金額を、老後に向けて積み立てていくことができます。積み立てたお金は原則60歳で受け取ることができ、年金として少しずつ受け取るか、一時金としてまとめて受け取るか選ぶこともできます。

掛金は全額所得控除対象

毎月積み立てる金額(掛金)は控除の対象になるので、そのぶん税金が安くなります。例えば、毎月の掛金が1万円だとすると、所得税(10%)、住民税(10%)の場合は年間2.4万円分、税負担が軽くなる計算です。公務員ができる、数少ない節税対策の1つといえるでしょう。

運用益が非課税になる

通常、投資運用で利益が出た場合は約20%の税金がかかるのですが、iDeCoで運用している場合は非課税です。長期にわたって資産形成していくことを考えると、税金がかかるのとかからないのとでは大きな違いになります。

受け取り時にも控除対象

iDeCoは将来受け取るときも税金が優遇されます。年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」の対象になり、一定額までなら非課税です。

公務員がiDeCoに入るデメリットはある?

公務員は拠出限度額が低い

iDeCoに投入できる掛金は、公務員なら月額1.2万円までと定められています。自営業者は月額6.8万円、専業主婦は月額2.3万円などとなっていますので、相対的に低めに設定されていることがわかります。

限度額が低いと、将来に向けて積み上がっていく金額も、受けられる所得控除額も少なくなります。たとえば、40歳から60歳までの20年間、単純に1.2万円ずつ積み立てていくと288万円、年平均3%で運用できたとすると約400万円です。もちろん年金の足しにはなりますが、「これさえあれば安心!」と言い切れる金額にはならないかもしれません。

また、iDeCoには所定の手数料がかかります。新規加入するときは2,777円、毎月の口座管理に167円~600円程度(金融機関によって異なります)、受け取るときは432円など、1回1回の金額はさほど大きくないように見えます。

しかし、手数料は掛金に関わらず一律なので、掛金が少額の人ほど手数料の占める割合が大きくなります。金融機関を選ぶときには、扱う運用商品やサポート体制だけでなく、手数料にも注目しましょう。

60歳まで引き出せない

これは公務員に限りませんが、iDeCoには60歳まで自分のお金をロックされるというデメリットがあります。毎月の掛金は、生活を圧迫せず、短期的に多少の支出があっても耐えられるくらいの金額で計画的に設定しましょう。「貯金が苦手で、あると使ってしまう」という方にとっては、強制的に貯まる仕組みを作れる分、逆にメリットにもなります。

元本割れの可能性もある

運用先を自分で選ぶというiDeCoの特性上、将来もらえる金額は確定しません。選んだ運用商品によっては、元本割れしてしまうリスクもあるということを理解したうえで始めましょう。どうしても元本割れは嫌という方には元本確保型の商品もありますが、金利が0.01%など低く設定されているため、お金はほとんど増えないでしょう。

公務員は今すぐiDeCoに入るべき?

注意しておきたい点をいくつか挙げましたが、基本的にはiDeCoはメリットが大きい制度です。余裕資金があるなら、老後のために少しでも早く始めた方が有利でしょう。少額でも毎月一定額を積み立て、長期にわたってリスクを抑えた商品で運用していくという方法は、投資初心者でも始めやすく失敗しにくい、資産形成の王道ともいえるやり方です。

まずは気になる証券会社でiDeCoの資料請求をするなど、情報を集めて比較するところから気軽にスタートしてみてはいかがでしょうか?

文・馬場愛梨(ファイナンシャルプランナー・心理カウンセラー)/fuelle

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