企業において今最も求められているのは、人が楽しくいきいきと働き、力を発揮し、成果をあげることができる組織です。そのカギになるのが「エンゲージメント」です。エンゲージメントの向上に積極的な企業はどんな取り組みを行い、どんな共通点があるのでしょうか。

なぜエンゲージメント向上が企業経営で注目されているのか

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(画像=SmartPhotoLab/Shutterstock.com)

エンゲージメントとは、「組織や職務との関係性に基づく自主的貢献意欲」を意味します。このエンゲージメントが人と組織のパフォーマンスを高め、さまざまな課題を克服する、きわめて重要な要因であることがわかってきています。

エンゲージメントが高い組織は、収益性や生産性が高く、社員の欠勤が少なく、離職率が低く、質の高い製品を提供しているといわれています。

エンゲージメントは、多くの企業が直面している「人と組織の課題」を解決するソリューションとして、世界中で注目され、アップルやスターバックス、ナイキなど、優良企業も経営上重視しています。

エンゲージメント向上に積極的に取り組む企業は何をしているか

エンゲージメント向上に積極的に取り組み、エンゲージメントが高い企業はいずれもユニークな人事管理制度を実践しています。企業によって、事業分野、従業員の年齢構成、企業文化が異なるので、最適な人事評価制度もそれぞれですが、エンゲージメント向上のための取り組みには共通点がありそうです。以下、「業績を高めるエンゲージメント向上の取組み」(あしたのチーム総研)をもとにグーグルとサイボウズに見られる共通点を探っていきます。

グーグル

グーグルには3つの注目すべき取り組みがあります。1つ目は、給与決定プロセスの透明化です。いかに先入観にとらわれず公正に給与査定をしているかを透明化するために、給与査定の仕組みやデータを社内のみならず、一般にも公開しています。

2つ目は、従業員の自律性の促進です。グーグルはチームワークを重視する事業が多いため、自社内で効率的に業績を上げているチームに共通する特性を抽出し、分析を行います。その分析結果をもとに、チームの自主改善ツールを開発し、公開しています。自主改善ツールは、各チームが自主点検し、その分析結果の報告を受けられます。分析データを基礎に、各チームが自らの改善を議論し、計画します。

3つ目は、従業員が経営陣へ直接質問できる機会がある、開かれた経営です。グーグルは巨大企業ですが、CEO 主催の全社ミーティングが毎週開催され、従業員は経営幹部に直接意見を述べられます。

サイボウズ

サイボウズには3つの注目すべき取り組みがあります。1つ目は、制度の変革を止めない点です。サイボウズは、その時々に直面する課題によって制度を作り替えてきました。

2つ目は、給与を評定会議で決めて説明責任を果たす点です。サイボウズの給与は、「その人の市場価値」が決定基準となり、「社外的価値」と「社内的価値」の 2 軸で定めます。給与が決定した後は、社外的価値と社内的価値に対するフィードバックを徹底的に行い説明責任を果たします。

3つ目は、行動指針は評価基準であり、コミュニケーションのツールでもある点です。シンプルな行動指針を評価基準とすることで、企業内により一層指針が浸透し、成長を促すコミュニケーションが効率化されています。

エンゲージメント向上のための取り組みの共通点

エンゲージメント向上のための企業の取り組みには3つの共通点が見られます。1つ目は、企業が従業員の意識や働き方と業績に関してデータを収集し、事実に基づいた分析を行っている点。2つ目は、データの分析結果を整理してツール化し、現場で活用できるように提供している点。3つ目は、水平・垂直の情報・意見交換の仕組みをもっている点です。

エンゲージメント向上のためには事実に基づいた分析をツール化して、現場に提供します。その際、科学的な根拠によって信頼性を担保し、設計や運用手法にかかわる情報が従業員に公開されているものでなければなりません。

エンゲージメントアップによって企業経営も向上する

エンゲージメントとは、「従業員一人ひとりが企業の掲げる戦略・目的を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲」と定義されます。エンゲージメントは企業業績にも直結するため、さまざまな施策を通して改善・向上を図る必要があるでしょう。(提供:あしたの人事online


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