東京株式市場は強弱感が対立し、方向性が定まりにくい展開になっています。米国株が堅調に推移していることや、外為相場の落ち着き等は日本株に追い風となっていますが、米中貿易協議の長期化や世界的な景気減速懸念等は逆風になっているようです。
そうした中、株式市場の個別テーマとして「5G」が注目を集め続けています。SBI証券で「テーマ株投資」を効率的に行えるツールとして「テーマキラー!」をご紹介しておりますが、2019年の年明け以降、その投資テーマ別「アクセスランキング」ではほぼ毎日「5G」がトップになっています。関連企業の多くは、業績的にも堅調となっており、今後も株式市場で注目を集め続ける可能性が大きそうです。
そこで「日本株投資戦略」では、改めて「5G」に注目し、その関連銘柄について再検討してみました。単純に関連銘柄を羅列するのにとどまらず、それらの業績や株価動向等のチェックを試みました。
押し目到来で買い好機に!?~30万円未満で買える好業績「5G関連銘柄」はコチラ!?
冒頭でご紹介した通り、弊社WEBサイトの中にある「テーマキラー!」は投資家の方にとって強い武器になり得るツールであると考えられます。「5G」関連銘柄はそこでアクセス数がもっとも多く、現在投資家がその分強く関心を抱いている投資テーマであるとみられます。
「5G」は「5th Generation」の略語で、「第5世代移動通信システム」のことを指しています。2010年頃から普及し始めた4Gの後継として研究開発が始まりました。5Gの通信速度は毎秒10ギガ(ギガは10億)ビット超と4Gの1,000倍の容量を持ち、無線区間の低遅延化や、センサーネットワークなどにおける多数同時接続が可能となります。このうち、低遅延化や多数同時接続という特徴は自動運転やIoTを実現する上で必須の技術であり、この点から5Gには、単なる「次世代通信規格」という投資テーマの枠を超えた注目が集まっています。
特に「5G」の「多数同時接続」「超低遅延」が多方面から注目を集めています。「多数同時接続」は、基地局1台から同時に接続できる端末を従来に比べて飛躍的に増やすことです。これまで自宅ではPCやスマホなど数台の接続であったものが、100程度の機器やセンサーと同時に接続できるようになると言われています。「超低遅延」は、通信ネットワークにおける遅延を極めて小さく抑えられることです。自動運転のように高い安全性が求められるものに必要な機能となります。
「4G」までは基本的に人と人とのコミュニケーションを行うためのツールとして発展してきたのに対し、「5G」はあらゆるモノ・人・自動車などが繋がる「IoT」、「自動運転」時代のコミュニケーションツールとしての役割を果たすと言えるでしょう。「IoT」や「自動運転」は革新的な技術であり、それ自体重要な投資テーマですが、「5G」なくして、それらを実現することはできないと考えられます。
従来、この「5G」は中国の通信事業者や通信機器メーカーが主導して展開されるはずでした。しかし、ご存知の通り、米国と中国の覇権争いの中で、米国は主導権を取り戻すべく、中国を排除しようとしています。その結果、この投資テーマに関連する銘柄についても、収益変動等、影響が拡大してくるケースがありそうです。
表1はこうした「5G」の関連銘柄を取り上げたものです。「テーマキラー!」に関連銘柄として掲載された銘柄、および弊社WEBサイトの銘柄検索ウィンドウに「5G」と入力した時に出力される銘柄を「母集団」としました。さらに、以下のような条件を追加して、銘柄を絞り込んでみました。
(1)12月決算以外の銘柄では、四半期累計営業増益率が、会社予想通期営業増益率を上回っていること
(2)12月決算銘柄の場合、前期営業利益が直前の会社予想を上回り、今期予想営業利益が増益予想であること
(3)株価が2019年の高値から10%超下落した銘柄であること
(4)最低投資単位での売買金額が30万円未満であること
表1はこれらの全条件を満たす銘柄について、(3)の株価下落率の大きい順に並べたものです。四半期累計営業損益や通期の予想営業利益が赤字の銘柄は除いています。これらは「5G」関連銘柄であるとともに、足元の業績が堅調で、株価が調整気味であり、値頃的には個人投資家が投資しやすい水準の銘柄であるといえそうです。
表1:押し目到来で買い好機に!?~30万円未満で買える好業績「5G関連銘柄」はコチラ!?
コード / 銘柄 / 株価(3/20) / 2019年高値 / 株価下落率 / 今期予想営業増益率 / 投資ポイント
<3852> / サイバーコム / 2,067 / 2,665 / -22.4% / 6.8% / 富士ソフト傘下。車載向けが得意。自動運転向け等で需要拡大期待
<6769> / ザインエレクトロニクス / 827 / 1,008 / -18.0% / 432.4% / 自動運転の「視神経」技術を提供
<6976> / 太陽誘電 / 2,139 / 2,595 / -17.6% / 48.4% / EMI除去フィルターで上位
<6857> / アドバンテスト / 2,428 / 2,875 / -15.5% / 157.3% / 5G関連技術で電送化を支える
<9702> / アイ・エス・ビー / 1,929 / 2,278 / -15.3% / 9.3% / 携帯電話基地局向けのソフト開発
<6754> / アンリツ / 2,106 / 2,379 / -11.5% / 123.9% / 5G計測器に世界中から引き合い
<6038> / イード / 1,143 / 1,287 / -11.2% / 10.9% / 自動車、IT関連のWEBサイトを運営
※会社公表データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。今期予想営業増益率は会社予想ベース。
テーマ株投資とその注意点
テーマ株投資では、その投資テーマと企業の事業展開に関連性があれば「関連銘柄」となることが多くなっています。このため、業績動向は比較的軽視されやすいというのが現状です。
すなわち、ある投資テーマが関連ニュース等で盛り上がった場合は物色されるものの、業績悪化等で株価が下落に転じ、投資パフォーマンスの向上にあまり貢献しないことも多いようです。
ただ、「5G」については大手携帯キャリアがすでに、2019年のプレサービス開始を打ち出しており、関連ビジネスが立ち上がり始めており、業績が堅調な企業が多いようです。今回ご紹介した銘柄は、ここまで短期業績が堅調な企業を揃えていることが強みとなっています。
なお、今回のスクリーニングでは、最低投資単位での売買金額を一定水準に抑えています。最低投資単位である100株買い付け時の売買金額は結果的に、全銘柄が25万円未満になっています。このことは、100万円程度の投資金額があれば、少なくとも4銘柄以上に分散投資できることを意味しています。
SBI証券の「テーマキラー!」は「S株投資」の仕組みを用い、もともと少額からの分散投資が可能になっています。したがって、「5G銘柄」についても、はじめからこの仕組みを利用するという手もございます。
ちなみに、テーマ株投資では、株式市場が盛り上がりを見せた時に追従買いし、結局「高値づかみ」をしてしまうケースがあります。今回は2019年高値からの下落率もスクリーニング条件に入れておりますので、そうした「高値づかみ」のリスクも低減されていると考えられます。
図1~図3でご紹介した銘柄は、表1にご紹介した銘柄のうち、一目均衡表の「クモ」近辺へ調整が進んでいる銘柄となっています。教科書通り、時価近辺で押し目買いが増えてくるか否か注目される所です。
図1:アドバンテスト(6857)・日足・一目均衡表
図2:サイバーコム(3852)・日足・一目均衡表
図3:太陽誘電(6976)・日足・一目均衡表
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部
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