1995年以降に生まれた「Z世代」は、子どもの時からインターネットやスマホに慣れ親しんでいる世代です。デジタルネイティブであるZ世代に対しては、今までのマーケティング手法とは異なるアプローチが有効と言われています。2030年に消費の主役になるであろうZ世代の特徴と、効果的なマーケティング手法について解説します。

2030年、日本の人口動態はどうなる?

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(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

総務省統計局によると、2018年7月1日時点の日本の総人口は約1億2,650万人となっています。このうち、いわゆる生産年齢人口(15歳~64歳)は約7,558万人です。いずれも前年同月に比べて減少傾向にあります。

これが、2030年にはどのようになっているのでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2030年の国内総人口は1億1,912万人まで減少します。生産年齢人口は約6,875万人となり、10%程度減少すると予測されています。日本はすでに人口減少社会に突入しており、2030年にはその傾向がますます顕著になると言えます。

生産年齢人口の減少によって低迷することが予測される個人消費に対して、企業が業績を維持・向上させるためには、消費の中心となる世代に対して適切なマーケティング活動を行う必要があります。

Z世代はどんな特徴を持つのか?

2030年に消費の主役になるであろう「Z世代」という用語はアメリカで生まれたマーケティング用語で、日本でも浸透し始めています。1966年~1976年生まれをX世代、1977年~1994年生まれをY世代と呼び、その後の1995年~2012年生まれをZ世代と呼びます。

Z世代と他の世代との大きな違いはデジタルに対する関わりの深さでしょう。Z世代は生まれた時からインターネットやスマートフォン、SNSが普及している環境で育っています。生活の中に常にスマートフォンとSNSが存在しているため、それ以前の世代と違ってSNSに対する抵抗がありません。

dot、ループス・コミュニケーションズ、4thが運営する「Z世代会議」が2018年4月に発表した「Z世代レポート2018」(調査対象:日本国内に在住の16~35歳の男女2,824名)によると、Z世代はそれ以前の世代よりも、「1つのSNSで複数のアカウントを使い分けている」「直接会ったことのない人ともSNSでやりとりする」という傾向が強いという結果が出ています。若い世代ほどSNSを活用し、人間関係においてもSNSをより深く取り入れていると言えるでしょう。

また一方で、デルが2018年11月に発表した調査結果によると「同僚とのコミュニケーションは直接的な対話が電話などより好ましい」と答えている人も多く、人と人とのつながりを大事にする傾向も見受けられます。SNSが発達した中で育った彼らだからこそ、「共感性」や「コミュニティ」を大事にする傾向が強いのかもしれません。

キーワードは「使いやすいテクノロジー」「完全パーソナライズ型」

では、Z世代に対してマーケターはどのようなアプローチ手法を取ればいいのでしょうか。前掲のZ世代レポート2018によると、調査時点で16~21歳のZ世代がはじめてスマートフォンを所有したのは15歳ごろという調査結果が出ています。1日のスマートフォン平均利用時間は「3時間未満から5時間」がもっとも多く、15時間(起きている時間の大半)利用している人も全体の5%にのぼりました。こうした若いころから常にスマートフォンによって情報にアクセスしているデジタルネイティブ世代は、教科書通りのSNS広告には反応しません。

今後テクロノジーがさらに進化することにより、ますます現実とバーチャルがシームレスにつながり、バーチャル上でのかかわり方がより多様化してくるでしょう。そういった中で、Z世代とのつながりを強めていくためには、「使いやすいテクノロジー」がキーワードと言えそうです。昨今、Z世代はインターネットに自分の写真を上げることを厭わず、逆に自分をコンテンツにして積極的に発信しています。そうした「自己発信型」のコンテンツを提供することで、Z世代とかかわっていくことは有効な手法と言えるでしょう。実際、TikTokを活用した企業のコラボレーション企画によって、多くの若者が自己をコンテンツ化してSNSに投稿しています。

もう一つのキーワードは、「完全パーソナライズ型」です。今後、デジタルシフトがさらに進み、ありとあらゆるデータが計測されるようになるでしょう。そのため、顧客ニーズもよりパーソナライズして考えることができます。昔からあるマーケティングの手法と大きく変わりませんが、計測されるデータが圧倒的に増えるため、データの分析、活用がますます重要になってくると言えそうです。多様な顧客データを活用することで一人ひとりの行動や興味関心を的確に捉え、今以上にOne to Oneマーケティングの精度を高めることが大切になります。

SNSを駆使したZ世代の新しい消費行動を捉える

1995年から2012年生まれのZ世代は、2030年ごろには18歳~35歳になり消費の主役となっているでしょう。共感やコミュニティを大事にするZ世代に対しては、自分のコミュニティに対して共感のツールとして使えるような「使いやすいテクノロジー」や、王道ではあるもののデータをさらに活用した「完全パーソナライズ型」のマーケティングが有効になってくるでしょう。高い拡散力を持つSNSのビジネス活用は商品訴求やブランド向上など、企業にとって大きな魅力があります。マーケターには、SNSを駆使した新しい消費行動に対応したマーケティング施策の活用が求められています。

文・J PRIME編集部(提供:JPRIME


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