デザインやカメラなど、クリエイティブ領域における人工知能(AI)の活用が進んでいます。職人的な技能や経験、センスなどが必要とされているクリエイティブ分野は、AIのさらなる普及・活用によって、どのように変容をするのでしょうか。今後、クリエイティブ職が取り組むべきことや、必要なマインドセットを探っていきます。

さまざまな分野で活用が進むAIテクノロジー

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(画像=everything possible / Shutterstock.com)

AI技術の活用は、空間移動、製造業、サービス業、医療、介護、インフラなどさまざまな分野で進んでいます。

例えば、空間移動の分野では、機械学習、深層学習を活用して自動分析された衛星画像によって特定の対象を見極めた上、長期観測を行い地上の変化を検出、把握できる技術があります。また、より正確な3次元地図の作成を目指し、観測点群と既存地図の重ね合わせによる3次元地図自動作成の新手法などを産学共同で研究開発しており、この技術は自動運転実用化への応用が期待されています。

製造業においても、AIを搭載したロボットの活用で自動化された工場を実現するために、さまざまな取り組みや企業同士の提携や協業が進んでいます。AI化された機械・ロボットは、画像認識によって物体を検知し、そこから自動的に物体を積み出し、整理することも可能です。

さらに、サービス業では無人レジや在庫管理にAI技術を導入するなど、各産業においてAI技術を活用した取り組みが登場しています。少子高齢化、人口減少による企業の人出不足問題解消や人々のより快適な生活の実現に向けて、多くの分野でのAI化の動きは今後も進行していくと考えられます。

AI×クリエイティブの活用例

デザイナーやミュージシャン、ライターなどのクリエイティブな職業では、AI技術はどのように活用されているのでしょうか。

活用事例の一つとして、AIを搭載したCM制作のクリエイティブディレクターが登場して話題を呼びました。このクリエイティブディレクターを開発するために、さまざまなテレビCMが構造分解され、データベース化されています。各種データを学習させたデータベース上からターゲットや扱う商材、CMで伝えたい内容に応じて最適なコンテンツ制作を行うことができ、制作した作品の評価をフィードバックすることで学習ができるように設計されています。

このAIディレクターは、人間のクリエイターとCM制作対決をするイベントに登場したこともあります。インターネット上での一般投票によって、どちらがより製品の特徴が伝わるCMを制作できるかを競う対決で、このような勝負は世界初でした。結果は獲得投票率54%対46%という僅差で人間のクリエイターが勝利しました。この結果からも、AIが人間と遜色ないクオリティの作品を作ることができる可能性を感じられます。

AIの活用できない領域とはどこなのか?

これまで紹介してきたように、すでにさまざまな分野でAI技術の活用が進んでいますが、活用が難しい、またはできない部分もあると考えられています。将来AIに代替される可能性が低い職業として、美容師など対人コミュニケーション能力が必要な職業や、一部のクリエイティブ職などがあげられます。

現状では人間の感情や感性によって評価が異なり、かつ定量的な評価が難しい創造性が要求される職業は、感情の解釈が困難なAIに置き換えることが難しいと考えられています。さらに、対人コミュニケーション能力が必要な職業やクリエイティブな職業もその人自身が持つ個性に惹かれてファンになる顧客が現れる可能性がある職業です。

AIはあくまで人間が行っている知的活動の「機能」を代替するものであり、その人自身の「個性」をAIが全く同じように表現することはできないと考えられます。これは人間ならではの強みといえるでしょう。そのため、自分自身のファンを多く獲得できれば、AIに自分の仕事やポジションが奪われる可能性はより低くなるでしょう。

クリエイティブ職は「ファン」の獲得が大切

AI技術は今後も発展、進化していくと考えられます。AIと人間、それぞれ得意とする部分が役割分担され、双方に特化した仕事内容となっていくでしょう。仕事を行う上で必ず発生する事務的な作業や、デザインの分野であれば画像加工などの工程はAIが行い、人間は「個性」を必要とするクリエイティブな作業に集中できるようになれば、生産性が向上する可能性があります。

現在では単純な事務作業を減らすRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入が進行し、画像加工においてはワンクリックで被写体を特定して処理することも実現できています。クリエイティブ職は仕事を行う人によって結果や仕上がりが大きく異なる場合があるという特徴があります。そのため、人気ミュージシャンやクリエイターのように「この人だからお金を払ってライブに行きたい、作品を見たい、聞きたい」と思われるオンリーワンの存在になることも可能で、自分自身のファンを沢山作ることができる可能性もあるのです。

今後はAIや他人に負けない創造性を磨き、ファンを増やしていくことで代わりのいない唯一の存在になっていくことが重要になってくるでしょう。

AI技術は新しい発想や創造の可能性を広げる

これからのクリエイティブ職の仕事は、AI技術の導入によってルーチン化された業務が減少していく一方で、メインであるクリエイティブな業務はAIと協業していくことでクリエイターがより創作業務に打ち込めるようになるでしょう。それによって新たな発想が生まれるなど、創造の可能性が広がっていきます。

AIに自分の仕事が奪われると不安に思うクリエイターもいるかもしれませんが、今まで人間が行ってきたすべての仕事がなくなるわけではなく、AIに新しいアイデアをもらいながら現状より効率的に仕事ができるようになり、生産性が向上して残業時間の減少、私生活の充実など明るい未来が期待できるのではないでしょうか。

文・J PRIME編集部(提供:JPRIME


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