今、世界を席巻しているのは、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業になります。Google、Apple、Facebook、Amazonの4つの世界的企業の頭文字を合わせて「GAFA(ガーファ)」と読みます。GAFAのいずれの企業も、ここ10年ほどで急成長を遂げました。こういった世界的IT企業に死角はないのでしょうか。

世界の流通を支配するアマゾン

amazon
(画像=Eric Broder Van Dyke / Shutterstock.com)

GAFAの中でも、とりわけ今後の成長性が期待されているのがアマゾンです。2018年1年間でも売上高は30%成長し、利益は3倍に伸びました。小売部門では、ホールフーズを買収したことに加え、2019年末を目途に、新しい業態のスーパーマーケットを立ち上げるというニュースもあるなど、勢いはとどまるところを知りません。

また、クラウドサービスを展開するAWS(Amazon Web Services)においても、四半期ベースで売上高が47%増、利益も61%成長し、今や小売部門に匹敵するほどの利益をたたき出しています。流通、クラウドの両面で、いまだ高い成長を遂げているアマゾンは、Eコマースにおいては、他に肩を並べるものがいないほどの存在になったと言えるでしょう。

アマゾンにも死角あり?アマゾンが抱えている課題は何か

しかし、そんなアマゾンにも、弱点がないわけではありません。アマゾンといえど、完璧な企業ではないのです。アマゾンが抱える不安材料について解説します。

弱いガイダンス

1つは、「今後は、今までのような高い成長が、そもそも期待できないのではないか」という懸念です。先日の決算発表の時にガイダンスも出されましたが、そこでの2019年第一四半期の売上高は、500億ドル~600億ドルと、アナリスト予想を下回るものでした。アマゾンは、今後の成長について、厳しい見通しを持っている可能性があるのです。実際、決算が良かったにも関わらず、アマゾン株は決算発表後、下落しました。

実店舗部門の不調

実店舗部門の不調も懸念材料です。アマゾンの決算発表によると、実店舗部門は3%の減収となっています。アマゾンはホールセールを買収したものの、シナジーは現時点では限定的であり、実店舗には大きなイノベーションをもたらせていません。また、ニューヨークに新業態の店舗ができるなど、アマゾンは実店舗を拡大していますが、そこに関する成果というのは、まだ未知数な状況だと言えます。

ヨーロッパの税金問題、低成長

また、ヨーロッパでも、アマゾンは問題を抱えています。アマゾンは北米部門とAWSにおいては、多大なる利益を出しているものの、北米以外の小売については、依然として赤字のビジネスを続けています。この部門は黒字化の見通しがついていない上に、成長率も四半期ベースで15%と低成長にとどまっています。

さらに気になるのが、ヨーロッパでデジタル企業に課税する法案が生まれていることです。先日、フランスでは、デジタル企業に対して売上高に最大3%課税する法案が発表されました。他のヨーロッパ諸国でも同様の法案が検討されており、これもアマゾンにとっては向かい風になる可能性があります。

AWSに頼りすぎた利益構成

また、利益面でAWSに頼りすぎている部分も懸念材料です。先ほど、AWSの利益は北米部門と肩を並べている、と説明しましたが、逆にいえば、AWSに利益の大部分を頼っているとも言えます。しかし、そのAWS部門は、マイクロソフトのAzureなどから猛追を受けています。この先、AWSの利益が仮にマイナスに転じるようであれば、アマゾンは、新たな成長の道を模索しなければいけなくなります。

アマゾンにも死角はある。盲信は禁物

小売部門でもAWSでも高い成長を見せ、一見、パーフェクトに見えるアマゾンも、細かく見ていくと、いろいろな部分で苦戦していたり、向かい風を受けていたりします。しばらくは安泰かもしれませんが、長期的には不安材料もあるのです。

文・J PRIME編集部(提供:JPRIME


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