今、世界を席巻するIT企業である「GAFA」のうち、もっともみなさまにとってなじみが深いのがGoogleではないでしょうか。アマゾンは使ったことない、携帯電話はiPhoneじゃないという人がいても、Googleの検索サービスを使ったことがない人はほとんどいないでしょう。

そんなGoogleに死角があるのでしょうか。現在のGoogleのビジネスおよび課題について、解説します。

Google親会社のアルファベット、2018年も順調に売り上げを伸ばす

Google
(画像=MariaX / Shutterstock.com)

まず、Googleの親会社であるアルファベットの直近の売上、利益を見てみましょう。2018年の決算書を見ると、素晴らしい成長を遂げていることがわかります。2018年第4四半期の売上は、前年比22%と堅調です。2017年第4四半期が24%だったことを考えると、成長のペースは鈍化しておらず、これから先も安定的な成長が期待されています。

売上をセグメント別に見ていると、売上を伸ばしているのは、コア事業ともいえる、検索やYouTubeの広告事業であり、こちらが22%の売上進捗を見せています。また、アプリやクラウドなどの事業も30%程度売り上げを伸ばしています。

営業利益率も21%と引き続き高い水準であり、前年は税金をめぐる問題で損失を出したのに対し、今期は純利益でも大きく伸ばしています。今のところ、トータルで見ると引き続き順調に成長していることがわかります。

Googleが持つビジネス上の課題とは?

順調に成長を遂げているように見えるGoogleですが、課題がないわけではありません。

広告ビジネス以外のビジネスがいまだ小さい

一つは、広告ビジネス以外のビジネスの小ささです。上述したように、本業の広告は確かに好調です。しかし、彼らの売上は85%が広告から来ています。アプリやクラウドのビジネスは、まだ、彼らの売上全体の15%ほどしかありません。

さらに、新規事業と呼ばれるセグメントについては、第4四半期の売上約390億ドルのうち、わずか1.5億ドルしかないのです。次のビジネスがまだ育っていないのです。

Googleは現在自動運転をはじめ、様々な新規事業にトライしています。しかし、これらがすべて成功しているわけではありません。かつてはモトローラを買収しましたが、結局うまくいかず、レノボに売却したという苦い経験もあります。

今手掛けている事業がうまくいけば、またGoogleの価値は上がるでしょう。しかし、そうならなかった場合、もしかすると、Googleの価値は少しずつ低下していくかもしれません。

営業利益率は徐々に低下しつつある

利益面にも陰りが見えています。Googleの営業利益は21%と高い水準でしたが、前年に比べると3%低下しているからです。

主な原因は研究開発費の伸びです。研究開発費を昨年対比で40%伸ばしています。新規事業の損失が拡大していることからも、新規事業での費用が拡大していることが窺えます。やはり新規事業の売上が見込めない状況が続くと、利益面でも苦しくなることがあるかもしれません。

クラウドサービスはアマゾン、マイクロソフトに劣る

もう1つの懸念はクラウドサービスです。現在、クラウドは、世界レベルで、アマゾン、マイクロソフト、Googleの3社が覇権争いをしています。

トップは圧倒的にアマゾンとなっており、Googleのクラウドは、まだそのシェアが小さく、大きく水をあけられている状態です。高利益が期待できるクラウドサービスですが、このまま2社との差が縮まらなければ、この分野での戦いは先行きが厳しいということになるでしょう。

期待も大きいGoogle。新しいビジネスを軌道に乗せることができるか

Googleは、これまで何度もイノベーションを起こしており、様々なサービスを世に出してきました。しかし、現在は、広告サービスがメインであり、新規事業は売上、利益ともに厳しい状況です。今後のGoogleが、さらに企業価値を上げるためには、新しいビジネスが成功するかどうかにかかっているかもしれませんね。

文・J PRIME編集部(提供:JPRIME


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