不動産は、購入には慎重になっても、売却のタイミングでは、あまり時期を気にせず、なんとなく儲かりそうだから、必要なくなったから、と言ったタイミングで売却を行ったことがある人も多いのではないでしょうか。実は、長期の目線でも、月別という中期の目線であっても、売却時期にトレンドというものは存在します。つまり、数か月違うだけで、不動産価格の売却価格が大きく変わる可能性があるのです。

いつが売り時なのか、また、売るためにはどれくらい準備をすればよいのか、不動産売却のタイミングについて解説します。

不動産を売るタイミング、長期で見るとどこがよい?

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(画像=Alexander Raths / Shutterstock.com)

まず、長期的な視点から、不動産を売るタイミングはいつが良いのか、解説していきましょう。

ここ10年のデータを見てみると、東京都23区のマンションの平均㎡単価は、2012年を底に、右肩上がりであり、現在の単価は、2007年から見ても、30%以上上昇しています。インフレの指標となる、消費者物価指数が、この期間ほとんど変わっていないことを考えると、確実に、不動産価格は上昇していると言えるでしょう。

2012年はアベノミクスが始まった年であり、日経平均株価も2012年から大きく右肩上がりになっています。また、富裕層やアッパーマス層の世帯も、昔に比べると増えています。全体的に経済が回るようになり、富裕層が潤った結果、株同様、投資対象になる不動産も、値上がりしたといえるでしょう。さらに、2013年~2015年においては、全国的に不動産の取得件数自体も増えていることから、ここ数年は、売るタイミングとしては非常に良かった年であると言えるでしょう。

現在、日本の株価は停滞しており、世界経済も、イギリスのブレグジットをはじめ、不安定な状態が続いています。その観点では、今のうちに売却を考えるというのも、長期で見ると良いのかもしれません。

月別で見ると、1~3月が良い理由とは?

一方、中期的、つまり、月別にみると、どの月に売却するのがいいのでしょうか。東京都のデータによると、2010年~2015年の間で、最も成約件数が多い月は、1月~3月になります。逆に、6月以降、8月は極端に成約件数が他の月に比べて少なくなっています。

理由として考えられるのは2点です。1つは、単純に、転勤や進学などで、不動産が必要になることが多い、という実需があるからです。多くの場合、人事異動は3月中に知らされることが多く、その発令とともに、新居を探したりするケースもあるでしょう。そういった個人の実需が、不動産の成約件数を支えていると言えます。

もう1つは、法人によるニーズです。法人の決算は、3月となっていることが多いです。そうすれば、決算直前に、費用を出し切る、という意味で、投資用のマンションや、社宅としてマンションを買ったり、また、新しい倉庫に投資したりというケースもあるようです。そういった、税金対策の面から、法人が1~3月に物件を買っていることが予想されます。つまり、1~3月は、個人、法人の両面から、不動産のニーズが高まるのです。

不動産を売却するにはどれくらいの期間が必要?

では、不動産を売却するには、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。アットホームが行った調査によると、平均して売却には8ヵ月くらいの期間がかかっているようです。

不動産を売却するには、様々な手続きがあります。査定をしてもらったり、仲介会社と交渉し、契約を交わしたり、また、価格交渉が入るケースなどもあります。また、契約が決まってもすぐに所有権が変わるわけではなく、登記の移転や引き渡しが完了してはじめて、売却できるのです。不動産は大きい買い物になるので、買い手としても慎重になります。なので、やはり、少なくとも半年くらい前からは、不動産売却の準備を進めるべきだと言えるでしょう。

不動産を売却するには計画的に

不動産は、長期的、中期的両方の視点で見ると、「景気の良い、1~3月」というのが、最も売却しやすく、かつ、値段が高く売れる可能性が高いと言えるでしょう。売却に半年かかるとするのであれば、前年の6月くらいから準備をする必要があります。

不動産の売却は長期戦になります。いい値段でスムーズに売却するために、長期的に計画をたてて、売却をするようにしましょう。

文・J PRIME編集部(提供:JPRIME


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