株式や債券を売買する際、金融機関に口座を開設し、その会社を通して投資を行わなくてはならない。投資というと証券会社を思い浮かべることが多いが、身近な金融機関である銀行でも投資を行うことができる。証券会社と銀行は投資を行う上で手数料など、どのような違いがあるのだろうか?

銀行で株は買えない?銀行で取り扱う金融商品の違いとは

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(画像=ktasimar/Shutterstock.com)

以前は銀行で証券業務を行うことは禁止されていた。2014年12月に「証券取引等の一部を改正する法律」が改正され、証券会社または外国証券会社からの委託を受けて銀行が売買の仲介や募集の取り扱いを行うことができるようになった。

注意すべきは、銀行は提携している委託証券会社を通してしか取引できない点だ。この場合、銀行と委託証券会社の両方に手数料を支払わなくてはならず、コストが高くなるというデメリットがある。

金融商品の種類がかなり絞られるのもデメリットだ。投資が可能な銀行は増えてはいるが、売買ができるのは投資信託のみに限られているケースがほとんどである。

日本のメガバンクと呼ばれる三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行を見てみよう。

・三菱UFJ銀行…投資信託と外貨預金
・みずほ銀行…投資信託、外貨預金、マネックス証券の口座開設仲介
・三井住友銀行…投資信託、債権の金融商品仲介

銀行を通じてできる投資は、投資信託と債権、外貨預金に限られており、個別の株売買はできない。

投資信託の取扱数の違い——銀行も増加しているが証券会社の方が圧倒的に多い

銀行で行うことができる投資のメインは投資信託だ。投資信託は銀行と証券会社のどちらが得なのだろうか。

投資信託にかかる手数料は、購入時に支払う「販売手数料」、ファンドを運用する間に支払い続ける「信託報酬」、ファンドを解約する時に係る「信託財産留保額」の3つがある。

これらのコストを低く抑えることが可能となることで注目されているのが「ノーロード投資信託」だ。これは3つの手数料のうち販売手数料が無料となる投資信託だ。

現在は銀行でもノーロード投信の取り扱いが増えており、手数料の面では証券会社と競うことが可能となった。投資信託の取扱数も三菱UFJ銀行が400本、三井住友銀行は200本を超えており、選択肢も多い。

とはいえネット証券大手のSBI証券では、取り扱い件数が2,500本を超えておりさらに幅広い商品から自分に合ったものが選べる。

証券会社と銀行では投資に求めるものが違う

銀行でも限定的ではあるが投資はできることがわかった。では証券会社で行う投資と、銀行で行う投資は何が違うのだろうか?

もっとも大きな違いは「なんのために投資するのか」「何を求めて投資するのか」という点だ。

銀行で行う投資は「貯金の延長」と言っていいかもしれない。銀行は身近な金融機関として安心感が高い。投資についてまったく知識がない人でも、銀行窓口の投資相談を利用すれば、商品選びのアドバイスやリスク、コストについてなど解説してもらうことができる。

扱う金融商品もリスクが低いとされる投資信託であることから、貯蓄の延長として投資信託を購入するスタイルがほとんどだろう。超低金利が続く日本では、普通預金口座に預金しても金利はほとんどつかない。定期口座であっても金利に期待することは難しい。そんな中「定期よりも少しだけ金利が高くローリスクなもの」として投資信託を選ぶ場合は、銀行を通じて投資を始めることが選択肢になるだろう。

銀行での投資が貯蓄の延長のようなものなのに対して、証券会社で行う投資は、より積極的な資産形成を目的として行う人が多い。投資信託に限らず、国内株式、債券、海外株式、FXなどさまざまな金融商品が幅広く揃う。同じ投資信託であっても商品数は銀行よりもかなり多く、より自分の投資スタイルに合ったものを選ぶことが可能だ。SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券会社では、投資信託の取り扱い件数が2,500本以上となっており、ノーロードや毎月分配型なども充実している。

個人投資家に向けてのサービスが充実しているネット証券会社を選べば、手数料も抑えることができる。対面での説明はないものの、セミナーや情報発信も充実しているため、ネット環境やデバイスの扱いに慣れていればオンラインのみでも問題ない。どれを選んでいいのかわからない人には、AIを使った資産運用アドバイスもあり、初心者でも細かいサービスを受けることができる。

例えば楽天証券では「ロボアドバイザー 楽ラップ」を導入しており、いくつかの質問に答えるだけで自分に合った運用コースを診断してくれる。さらにプロが運用をしてくれるコースもあり、初心者でも気軽に投資信託を始められるのが魅力だ。

株式投資を行いたいなら証券会社 貯蓄の延長で投資信託を始めるなら銀行も選択肢に

銀行でも投資が可能になったとはいえ、やはり投資の仲介を行うメインは証券会社だろう。株式、債券、FX、先物など投資にはさまざまな種類があり、投資信託だけでは大きな利益を上げることはなかなか難しい。投資である程度の利益を求めたいなら、選択肢の多い証券会社を選ぶほうがよいだろう。

貯蓄の延長で、利回りのよさとリスクの少なさで投資信託を手間なく始めたいなら、銀行も選択肢に入れてもよいだろう。行き慣れた銀行の窓口で担当者に説明を受ける安心感もある。ただしコスト的に高くなることがあるため、営業担当者の言葉だけを鵜呑みにせず、自分でも情報を集めて銘柄を選択することを忘れてはならない。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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