政府による「貯蓄から投資へ」のスローガンのもと、運用益を非課税とする税制優遇制度NISA(ニーサ)の普及が進んでいる。超低金利時代の今日、銀行に預けているだけでは、十分な資産形成を図ることが難しくなっていることも、NISAを活用した資産運用に追い風となっているようだ。そこで投資初心者がNISAで資産運用を始めるうえで、ぜひ知っておきたいNISAのメリットや、つみたてNISAとの違い、注意点などを解説したい。

NISA最大のメリット

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(画像=Dean Drobot / Shutterstock.com)

NISAとは「Nippon Individual Savings Account」の頭文字を取った略称で、ニーサとも呼ばれている。2014年1月からスタートしたNISAだが、その最大のメリットは、国内外の株式や株式投資信託、国内外のETF(上場投資信託)、国内外のREIT(不動産投資信託)といった金融商品の運用から得られる利益が非課税となる点だ。

簡単な例を挙げると、将来有望な海外企業の株式に投資したとする。そこで1万円の利益を上げることに成功した場合、通常であれば20.315%の税金が課せられるため、手元には約8,000円が残ることになる。一方、NISA口座で運用している場合、利益が出ても、約2,000円の税金が差し引かれることなく、1万円をそのまま手にすることができる。通常であれば差し引かれる税金分も再投資に回せるので、資産を大きく増やせるということになる。

つみたてNISAとの違いは?

NISAはこのほかに、「つみたてNISA」と「ジュニアNISA」も導入されている。つみたてNISAとは、少額からの「長期・積み立て・分散投資」を後押しする非課税制度、ジュニアNISAは未成年者向けの少額投資非課税制度だ。ここでは、一般NISAとの併用ができない「つみたてNISA」との違いを整理してみよう。

一般NISAとつみたてNISAの主な相違点は、非課税投資上限額や非課税投資期間、非課税対象となる金融商品の種類などだ。

一般NISAは、非課税投資上限額が年120万円、非課税投資期間が最長5年、つまり非課税投資枠は最大600万円となる。また、非課税対象となる金融商品は、国内外の株式や株式投資信託、国内外のETF(上場投資信託)、国内外のREIT(不動産投資信託)、ETN(上場投資証券)、新株予約権付社債(ワラント債)だ。

一方、つみたてNISAは、非課税投資上限が年40万円、非課税期間が最長20年間となるため、非課税投資枠は最大800万円となる。そして、つみたてNISAの場合、投資対象は長期・積み立て・分散投資に適した一定の投資信託に限定される。具体的な投資信託に関しては、金融庁やNISAを取り扱う各金融機関のホームページを参照していただきたい。

一般NISAとつみたてNISAは、非課税で投資できる期間が異なるので、結婚資金や住宅購入資金、もしくは子供の教育資金、老後資金といったように、目的に合わせて両制度を使い分けるのも良いだろう。ただし、一般NISAとつみたてNISAは同時に併用ができないが、年によって双方を切り替えて使用することが可能だ。

NISA活用の注意点

NISAを始めるに際し、注意していただきたいことがある。まず、NISAで開設できる口座は1人1口座のみであるという点だ。銀行の普通預金口座のように、複数の銀行で口座開設することはできないため、各金融機関のサービス体制や提供商品などを吟味したうえでNISAの申し込みをする必要があるだろう。

NISAを活用した資産運用は、銀行預金とは異なり、元本が保証された金融商品ではない。そのため、自身の運用パフォーマンス次第で資産が増減するという点も注意したい。非課税メリットを最大限に生かすべく、積極的にリスクを取った資産運用をする場合、足元の経済情勢や投資環境を十分に確認したうえで、投資を心掛ける必要があるだろう。

「貯蓄から投資へ」という変化を後押しする税制優遇制度NISAについて解説した。ここでお伝えした注意点を踏まえたうえで、NISAの最大のメリットである税制優遇を享受すべく、NISAを活用した効率的な資産運用を検討されてはいかがだろうか。