結果の概要:住宅着工件数、許可件数ともに前月、市場予想を下回る結果

米住宅着工、許可件数
(画像=PIXTA)

4月19日、米国センサス局は3月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は113.9万件(前月改定値:114.2万件)と、116.2万件から下方修正された前月値を下回ったほか、市場予想の122.5万件(Bloomberg集計の中央値)も下回り、前月から増加するとの予想に反して前月から減少した(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は126.9万件(前月改定値:129.1万件)と、こちらも129.6万件から下方修正された前月値、市場予想の130.0万件を下回った(図表2、図表5)。

米住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

結果の評価:戸建ての着工、許可件数に回復の遅れ

住宅着工件数の伸びは、前月比▲0.3%(前月:▲12.0%)とマイナス幅は縮小したものの、2ヵ月連続のマイナスとなった(図表3)。集合住宅が横這い(前月:+8.9%)となったものの、戸建てが▲0.4%(前月:▲19.0%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。

一方、前年同月比では▲14.2%(前月:▲11.5%)と6ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが▲11.6%(前月:▲12.4%)と2ヵ月連で2桁のマイナスとなったほか、集合住宅も▲20.4%(前月:▲9.2%)と4ヵ月連続でマイナスとなった。

地域別寄与度(前月比)は、西部こそ+6.7%ポイント(前月:▲4.1%ポイント)とプラスとなったものの、その他の地域では北東部▲0.4%ポイント(前月▲4.3%ポイント)、中西部▲2.5%ポイント(前月:+1.3%ポイント)、南部▲4.1%ポイント(前月:▲4.9%ポイント)と全ての地域でマイナスとなった。

米住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲1.7%(前月:▲2.0%)と3ヵ月連続でマイナスとなった(図表5)。戸建てが▲1.1%(前月:▲0.5%)と4ヵ月連続、集合住宅も▲2.7%(前月:▲4.4%)と3ヵ月連続でマイナスとなっており、回復の兆しはみられない(図表6)。

前年同月比は▲7.8%(前月:▲2.4%)と3ヵ月連続のマイナスとなった。集合住宅が▲12.4%(前月:+8.5%)とマイナスに転じたほか、戸建てが▲5.1%(前月:▲7.8%)と6ヵ月連続のマイナスとなった。

米住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

一方、住宅着工件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は、3月が年率+2.7%と4ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表7)。

米住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

このため、4月26日発表予定の1-3月期の実質GDPにおける住宅投資は5期ぶりにプラスに転じるとみられる。もっとも、住宅ローン金利の低下は住宅市場には追い風になっているとみられるものの、戸建てを中心に先行指標である住宅着工許可件数の回復は遅れているため、住宅市場の本格的な回復にはほど遠い状況となっている。

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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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