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不動産投資家が増えている

不動産ミニバブルという言葉がすでに過去の出来事となりつつ今日、サラリーマンやOLでも中古ワンルームマンションや1棟アパートを購入して不動産投資を始めている人が増えています。日経平均株価が上昇し、株式投資で儲けた人が不動産を購入したり、不動産価格が上昇するのを傍から見ていて、現金よりもインフレ対応資産に交換しておこうという考えから不動産を購入したりするケースが見られます。ある不動産会社の担当者からは「今は中古ワンルームマンションを始めとする投資用物件の需要があっても供給が追い付かない」という話を聞きました。

1980年代から1990年代のバブルの頃と異なり、転売をして儲けるというよりも、長期にわたって保有をして、家賃収入を得ようとする人が多いようです。書店の投資コーナーにも不動産投資の本は溢れていますが、そのほとんどがストックを目的とした内容となっています。これだけ皆が不動産投資に注目をするようになると、乗り遅れまいとして慌てて物件探しをする人もいるかもしれませんが、ここでもう一度、不動産投資におけるリスクについて再確認しておきましょう。


1.まさに動かざる資産

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンと言われている投資商品です。不動産市況が低迷しても賃借人がいる限りは家賃収入を得ることができるという意味で、リスクがそれほど大きくないという意味合いになります。一方で、家賃収入を定期的に得られるものの、株式のようにその資産価値が何倍にもなる可能性が低いという意味合いでミドルリターンと言われています。不動産にはいろいろなリスクがありますが、入り口、つまり購入の段階で気を付けなければならないことは投資エリアの厳選です。日本は残念ながら人口減少の時代に突入しています。直ちに総人口増加に転じる気配もありません。このような場合、保有する投資物件のエリア如何でその後のパフォーマンスが決まります。特に不動産投資の経験が浅い場合には、多少物件価格が高くても、あれこれ対策を打たなくても賃借人が付くようなエリアを選びましょう。

不動産は株式と異なり簡単に動かすことができる資産ではありません。良い物件であれば、買い手がすぐにつきますが、悪い物件は値下げをしても売れるかどうかはわかりません。空室になった場合には収入がなくなるだけでなく、管理費や固定資産税などの費用を自分の財布から支出することになります。利回りだけで判断するのではなく、稼働率も考慮して、人が集まってくるようなエリアを選ぶようにしましょう。流動性の低さは不動産投資の宿命のようなものです。持っていて損をしない物件を保有することが重要です。


2.災害が起きたらどうする?

「不動産投資には関心があるけれども、大きな地震が起きれば折角の資産が台無しになってしまうのではないか?」という考えを持ち、なかなか不動産投資に踏み切れない人も少なからずいらっしゃいます。確かに不動産は地震が起きた場合に持って逃げることができません。揺れによっては、建物に損傷が生じる場合もあります。ただ、選ぶ物件に気を付ければ、この地震という災害リスクもある程度カバーすることができるのです。

では、どのような物件を選べばよいのでしょうか。それは1981年6月1日の建築基準法施行令改正(新耐震法)施行後に建てられた物件を選ぶということです。ちなみに平成23年4月21日に社団法人高層住宅管理業協会が発表した「東日本大震災被災状況調査報告」によれば、東北6県のマンションにおいて、損傷が「軽微・損傷なし」のケースは1981年までに建設されたものでは全体の57.317%(旧耐震及び移行期含む)でしたが、新耐震法が施工された1981年以降においては82.436%(「小破」も含めると98.654%)と新耐震法の下で施工されたマンションがいかに地震に強いかということが示されています。