「お金にならない事業」が切り捨てられることへの疑問

Readyfor,米良はるか
(画像=THE21オンライン)

――御社のクラウドファンディングは、他社よりも医療や福祉、地方創生、文化保護といった社会的事業が多いことが特徴です。Readyfor立ち上げ当初から、そうした狙いはあったのでしょうか。

米良 社会的事業を応援したいというよりは、やりたいことがあっても、融資などの既存の金融スキームではお金が集まらない人たちに対して、お金を流したいという想いからスタートしました。

もともと、私は東京大学の松尾豊先生との共同研究をきっかけに、インターネットの可能性やベンチャーを知って、スタートアップの世界に入りました。スタンフォード大学留学中に出会った優秀な人たちを見て、私も起業家になりたいと思ったんです。

ところが、いざ起業をしてみようと思っても、なかなかお金が集まりません。既存の金融機関は、すでにキャッシュフローが回っている「お金になりそうな事業」に対して融資をします。資産など「お金になりそうなもの」を担保にお金を貸すこともあります。私自身、起業するときに、銀行から「家、持ってますか?」と聞かれました。「家、持ってなきゃダメですか?」って思いましたね(笑)。

――世知辛いですね……。

米良 そうですね。何か新しいことを始める段階で、担保にできる資産を持っている人はそう多くありません。本当は、担保よりも、経営者やプロジェクトリーダーとして事業をまっとうする覚悟のほうが大切なはず。でも、資産がなければチャンスすらつかめない。これって、すごく理不尽なことだと思います。

例えば、研究分野では、将来性が見えない基礎研究への投資にはお金が集まりにくい傾向があります。長期的な視点で見れば、産業にはなるものがたくさんあるはずなのに、お金がないから研究が進まない。

でも、私は「お金にならないから」という理由で事業を切り捨てたくない。そういったプロジェクトも数多く引き受けているので、結果的に、社会性が高いクラウドファンディングと言われているのかもしれません。

――プロジェクトの中には、お金が集まりやすいものもあれば、集まりにくいものもあるのではないかと思います。その違いについてはどう思われますか。

米良 お金が集まりやすいという意味では、社会にどんな価値を提供できるかを理解している人は、多くの人に支持される傾向があります。プロジェクトが社会の問題にどうつながっているのか、どう問題を解決するのか、その利益は社会にどう還元されるのか――。社会に与えるインパクトが具体的であればあるほど、出資しやすくなるでしょう。

「世界平和を実現したい」という夢もあっていいと思うのですが、「誰がどう喜ぶのか」をわかったうえで、より具体的に価値を作ろうとしている人のほうが応援されやすいはずです。

――とはいっても、なかなか社会的意義を説明しづらいプロジェクトもあるのではないかと思います。例えば、職人気質で口下手な人たちには、どんなフォローをしていますか。

米良 キュレーターという担当者をつけて、プロジェクトをサポートしています。口下手な人以外にも、やりたいことがあっても、世にどんな価値を提供できるかどうかがわからないから、うまく発信できない人もいますよ。そんな方のやりたいことと、社会が必要としていることをつないで伝える。これが、キュレーターの大切な役割です。TwitterやFacebookといったソーシャルメディアで発信するにあたって、プロジェクトの魅力をうまく伝えるアドバイスなどをしています。