夏のボーナス
(画像=PIXTA)

● 民間企業の2019 年夏のボーナス支給額を前年比▲0.8%と予想する。夏のボーナスとしては4年ぶりの減少となるだろう。

● ボーナス低迷の最大の要因は企業業績の悪化だ。海外景気の減速に伴って輸出に頭打ち感が生じたことや原材料価格の上昇等を背景として、18 年10-12 月期の経常利益は前年比▲7.0%と、16 年4-6月期以来の減益に転じた(法人企業統計ベース)。19 年1-3月期も輸出の悪化を主因として厳しい状況が続いたとみられ、18 年度下期の経常利益は悪化した可能性が高い。日銀短観の利益計画でも、18 年度下期は▲6.5%、18 年度全体でも▲1.5%が見込まれている。ボーナスは業績に連動する傾向が非常に強いことから、こうした業績悪化が夏のボーナス抑制に直結するだろう。特に製造業において厳しい結果となる見込みである。実際、日本経済新聞社の調査や連合の調査でも、今年の春闘における一時金の妥結結果は昨年をやや下回っている。

● 今夏のボーナスの増加が期待できないことは、今後の個人消費にとって痛手だ。加えて、春闘でのベースアップが昨年を下回る上昇率にとどまったとみられることから、所定内給与も昨年から伸びが鈍化する可能性が高い。物価の鈍化が今後見込まれることは下支えになるものの、19 年度の実質賃金の伸びは僅かなものにとどまるだろう。所得の改善が限定的ななか、個人消費は先行きも緩やかな増加にとどまる可能性が高い。(提供:第一生命経済研究所

第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部
主席エコノミスト 新家 義貴