シンガポールへ移住する日本人が急増しています。在シンガポール日本国大使館の統計資料によると、シンガポールへの移住者は2010年の2万4,548人から2015年は3万6,963人と、5年間で約1.5倍と急増。金融立国シンガポールへの移住者が増えている背景には、富裕層の資産防衛が考えられます。具体的に、どのような移住方法やメリットがあるのか確認していきましょう。

そもそもシンガポールってどんな国?

singapore
(画像=PIXTA)

シンガポールは、日本と距離も近く金融立国としての存在感があります。日本人には、なじみがある国ですが意外と詳細は知られていません。シンガポールの面積は、約720平方キロメートルで東京23区と同規模です。コンパクトな国土の中に、約561万人が暮らしています。(2017年6月現在)中華系が約74%と大半を占め、複数の宗教が存在する多民族、多宗教国家です。

主要産業は、製造業・商業・運輸・通信・金融など多岐にわたり、2017年の名目GDPは3,346億4,300万米ドル(1ドル110円のレートで約37兆円)です。直近5年の実質GDP成長率で見ても1.9~4.4%と安定しています。また、日本との関係も良好で1966年に国交を樹立して以来、2019年時点でも政治的懸案はなく、広範囲な分野で交流が活発に行われているのが特徴です。

外務省領事局の資料で見てみると、2017年10月1日現在、海外に住む日本人の数は135万1,970人で、前年より1万3,493人増加しています。このうち、シンガポールに住む日本人は3万6,423人で、国別順位は11位(在留邦人全体の約2.7%)です。日系企業数が818(個人含む)あり、在日シンガポール人も8,622名を数えることからも良好な関係がうかがえます。

現地では、簡単な英会話ができれば生活には困りませんが、自信のない移住希望者は英会話教室に通うことも検討した方がよいでしょう。

一番スムーズな移住方法は、現地法人の設立+労働許可

シンガポールへの移住方法ですが、「永住権取得は特殊な投資家ビザを得なければならない」など高いハードルがあるので、時間をかけて綿密にプランニングしていく必要があります。

シンガポールに移住する方法として一般的なのは現地に会社を設立したうえで役員として投資家ビザ(労働許可、通称EP)を取得する方法です。このEP取得後、定められた一定期間後に永住権を申請することも可能です。この他にもグローバル・インベストメント・プログラム(GIP)を通じて永住権を申請する方法もあります。どれがベターな選択なのか、移住をサポートしてくれるコンサルタント会社などに相談してみましょう。

最大の移住メリットは、所得税が少なく相続税・贈与税がないこと

金融立国でもあるシンガポールは、税制面でもかなり優遇されています。所得税は、累進課税での最高税率が22%と低く住民税もかからないため、日本の税体系よりも有利です。さらに、キャピタルゲインや配当金が非課税で相続税・贈与税もないため、富裕層にとっては極めてメリットが大きい国といえるでしょう。世界中の大富豪がシンガポールに集まってくるのも納得できます。

移住をリアルに考える方は、厳しい法律に要注意

一方でデメリットですが、シンガポールは法律が細かく厳しいのが特徴です。その一部を紹介すると、次のような内容になります。

・ゴミのポイ捨てで高額な罰金が課せられ、常習なら裁判所で無償の奉仕活動を課される
・飲酒運転は2回目以降で禁固刑も
・外国人の居住用不動産の(原則)購入禁止

日本の感覚でいうとかなりの厳しさですが、それが治安の良さにつながっているとも考えられるので、やむを得ない部分もあります。住みやすいイメージのあるシンガポールですが、頭で考えるのと住むのでは感覚が違います。そのため、実際に何度か滞在してから移住を判断しても遅くはないでしょう。(提供:Wealth Lounge


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