分譲マンションを買った人のうち「ローンあり」は63.5%(国土交通省「平成29年度住宅市場動向調査報告書」より)。回答があった人だけでみると、ほぼ8割の人が住宅ローンを利用していることになる。住宅ローンを組むときにたいていの人が迷うのが、どの金利タイプを選択するかだ。

住宅ローンの金利には3つのタイプがある

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(画像=Tero Vesalainen/Shutterstock.com)

住宅ローンには「変動金利型」「固定期間選択型」「全期間固定金利型」の3つのタイプがある。

変動金利型

変動金利型というのは、市中の金利変動に応じて適用金利が変わるローン。金利水準は三つのうちもっとも低いのが魅力だが、借り入れ後に市中の金利が上がったときには適用金利も上がって、返済額が増えるリスクがある。2019年4月現在、0.6%前後で利用できるところが多い。

固定期間選択型

固定期間選択型というのは、3年、5年、10年などの特約期間中は金利が固定しているが、特約期間後にはその時点の金利で再び固定期間選択型にするか、変動金利型に切り換えるかを選択することになる。

金利水準をみると、3年固定は変動金利型並みの低い金利だが、固定期間が長くなるほど金利は高くなる。2019年4月現在の金利は3年固定が0.6~0.7%程度で、10年固定だと1.0%前後が多い。

全期間固定金利型

全期間固定金利型というのは、完済時までの金利があらかじめ確定しているローンで、借り入れ後に市中の金利が上がっても、当初の金利が変わることはないので安心して資金計画を立てられる。

その反面、金利水準は高めに設定されていて、2019年4月現在、返済期間35年のローンで1.2%前後のところが多い。

住宅ローンは6割前後の人たちが変動金利型を利用している

実際に皆さんがどの金利タイプを利用しているのかを見ると、6割前後の人が変動金利型を選択し、次いで固定期間選択型、そして全期間固定金利型と続く(国土交通省「平成29年度住宅市場動向調査報告書」より)。

変動金利型の利用者が多い理由としては、金利水準が低いからにほかならない。たとえば3,000万円の借入額で、35年元利均等・ボーナス返済なしの条件で月々の返済額を比較すると以下の通りだ。

0.6%の変動金利型……7万9,208円
0.7%の固定期間選択型3年固定……8万556円
1.0%の固定期間選択型10年固定……8万4,685円
1.2%の全期間固定金利型……8万7,510円

変動金利型と全期間固定金利型を比べると月8,302円の違いがあり、年間にすれば10万円近い差が出る。これだけ違っていると変動金利型を利用したくなるのも当然だろう。

金利が上昇すると変動金利型のメリットが帳消しになる場合も

しかし変動金利型を利用していて、5年後に金利が上がった場合には逆転する。

5年後の変動金利型の金利が今より1.0%上がり1.6%になると、月々の返済額は9万1,299円になり、全期間固定金利型よりも3,789円高くなる。さらに今より1.5%上がって2.1%になると9万7,744円と、全期間固定金利型より1万234円も増えてしまうのだ。

これでは、変動金利型の金利が低いというメリットが帳消しになってしまい、完済までの総返済額が大きくなる可能性が高い。

収入や支払う期間によって住宅ローンのタイプを選択することが大事

今は超低金利時代だが、長い目で見てさらに金利が下がる可能性は低く、むしろ上がる可能性のほうが高いのは言うまでもない。

今後も収入アップが見込めて、繰り上げ返済をして支払い期間を短くできる自信があったり、金利動向に注目して然るべきタイミングで住宅ローンの借り換えを実行できたりするようであれば、変動金利型でもいいだろう。

将来の見通しが立たなかったり、金利動向に左右されたくなかったりする場合には、スタート時の月々の支払いが若干多くはなるが、固定期間選択型を選択するのが安心だろう。

文・山下和之(住宅ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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