子どもを出産し数年もすれば、幼稚園や保育園選びにはじまり、「小学校は私立に通わせたい」、「大学は自分が卒業した大学程度には進学してもらいたい」など先のことにも考えが及び始めるでしょう。
その際に、「子育てに一体いくら費用が必要なのだろうか」と思いはじめるのは誰しも同じかと思います。今回は子育て費用にはどれくらいのお金が必要なのかを見ていきましょう。
子育て費用とは
そもそも子育て費用にはどのような費用が含まれるのでしょうか。内閣府によれば(※1)、以下の様な費用が子育て費用に含まれています。多岐にわたりますが、費用を正確に把握するためにひとつずつ見ておきましょう。
※1 出所)内閣府政策統括官「インターネットによる子育て費用に関する調査 報告書」
出産後に必要となる子育て費用の項目
衣類・服飾雑貨費 食費 生活用品費 医療費 保育費 学校教育費 学校外教育費 学校外活動費 子どもの携帯電話料金 おこづかい お祝い行事関係費 子どものための預貯金・保険 レジャー・旅行費
「こんなたくさんの項目が子育て費用に含まれるのか」と思う一方で、「確かに、いずれも子育て費用だな」と納得する方も多いのではないでしょうか。
こうしてみると、子育て費用には、大きくはいわゆる学費などの学校や勉強に関係する「教育費」と教育費以外で生活上必要となってくる「養育費」の2つが含まれていることが見えてきます。
子育て費用として関係するものは、子どもが生まれてからだけのものではありません。今回は出産後の費用を中心に見ていきますが、妊娠中の出産準備費や出産関連費の様に出産前に必要となる費用もあります。
子育て費用は年間どのくらい必要なのか
子育て費用に含まれる項目が把握できたところで、年間どの程度の費用が必要となるのでしょうか。子育て費用はもちろん人それぞれですが、内閣府は先ほどの調査では未就学児から中学生までを調査対象としているので、就学区別ごとに見ておきましょう。
ただし、一口に子育て費用といっても必要となる内容は違ってきます。未就学児では、それほど高くない「食費」も小学生や中学生ではもっとも高い比率を占めるようになります。また、学年が進むにつれて、学費や学校給食費などの「学校教育費」や学習塾費や家庭教師料などを含む「学校外教育費」が大きな割合を占めてくるようになります。
大学までの子育て費用はいくら必要か
ここまでは中学生までの子育て費用を見てきましたが、親として子育てを考えれば、高校、そして大学を卒業するまでも知っておきたいという方もいることでしょう。そこでここでは、別の資料なども組み合わせながら大学を卒業するまでに必要な子育て費用についてみていきましょう。
先ほど子育て費用は「教育費」及び教育費以外の生活に関係する費用である「養育費」を合計したものと触れました。
まず、教育費は大学を卒業するまでにどの程度の費用が必要なのでしょうか。
文部科学省はいわゆる教育費に該当する学習費について、幼稚園から高校までの就学区分ごとに調査をしています。また、日本政策金融公庫が大学における授業などの金額を調査していますので、それらをもとに必要となる費用を見ていきましょう。
こうしてみると授業料などの教育費については大学を卒業するまでに必要な金額は、すべて公立や国立の学校に進学しても1,043万円、またすべて私立に進学することを考えれば大学で文系に進学する際には2,508万円、理系に進学する場合には2,578万円となります。
幼稚園から大学まですべて私立に進学した際には約2,500万円必要ということにも驚かれる方もいるかと思います。それに加えてすべて国公立に進学する場合では、すべて私立に進学する場合と比較して最大1,500万円程度の差がでるということにも注目です。
では、子育て費用を構成するもう一つの大きな費用である養育費はどうでしょうか。
養育費については、旧AIU保険(現AIG損保)が出産からの22年間の養育費について公表していますので、そちらを参考に見ていくことにしましょう。
さまざまな費用がありますが、合計すると約1,640万円となります。
それでは、教育費に出産からの22年間の養育費を加えた大学を卒業するまでに必要な子育て費用はいくらになるのでしょうか。
すべて国公立の学校に進学する場合でも2,500万円以上、すべて私立に進学する場合では、4,000万円以上にもなります。
ちなみにこの金額は子ども一人のケースです。子どもの数が増えるごとにこの金額が増えていくことになります。子どもにはお金がかかるというのはこうしてみると真実のようです。
まとめにかえて
今回、様々な統計やデータを組み合わせてみてきましたが、子どもが進学する学校などにもよりますが、子ども一人当たり数千万円という子育て費用が必要となることが分かりました。
もっともそうした金額も22年間かけて必要な金額ですので、事前に準備することも可能です。そのための資金準備も預貯金から株式投資や投資信託の購入なども含めて様々な方法があります。今回を機に、子どものための将来の資金計画を考え始めてみてはいかがでしょうか。
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