★今度は、米中対立緩和で反発。 現地21日の米国株市場は、反発でした。今度は米中対立緩和が材料です。ほとんど意味がありません。ただ、中期的なトレンドを捜しあぐねて、日々材料ベースで一喜一憂してはもみ合っているという状況です。 テクニカルには、主要株価指数が50日線移動平均線を巡っての攻防戦を繰り返しているだけです。 具体的には米商務省が事実上のファーウェイ向けの輸出禁止措置に関し、既存のネットワークやスマホの保守などに限って8月19日までの猶予を設定したことが、懸念をやわらげたというものです。 一方セクターとしては、コールズやJCペニーなど小売の一角が弱かったようです。百貨店やホームセンターの決算が嫌気されました。既存店売上高が予想以上の落ち込みとなり、株価も大幅安となっていたわけですが、これは構造的にネット通販にどんどん追いやられているという問題が根底にあるので、今に始まった話ではありません。

★主要指標の定点観測。 主要株価指数は反発とはいえ、いずれも50日線をまだ奪回できていませんが、S&P500やジャンクボンドなどかなり接近してきています。先行指標のダウ輸送株指数はかろうじて200日線を奪回しています。 相場のネガティブな変動を示すVIX(変動、恐怖)指数は、若干ですが25日線割れの14.95に低下。15以下になりますと、リスクパリティ型のファンドでは、買いプログラムが機械的に発動されるところもあるようですから、そういう意味でも株式相場が上昇トレンドを取り戻す環境は整い始めているということになります。 ちなみに、昨日の上海コンポジット指数は反発で1.2%上昇。5月9日以来底値圏でのもみ合いが続いています。

★マネーの流れは国債売り→株買いへ。 これも一日一日変わるものですから、まだしばらく傾向というものを見ていなければなりませんが、米10年国債利回りは上昇基調に入り始めているかもしれません。 2日連続で国債は売られ、米長期金利は上昇。2.4260%となりました。 まだ、すべての移動平均線を下回っています。 この米10年国債利回りの移動平均線(25日・50日・200日)が順列かが、逆転現象を起こしたのが1月10日で、以来、ずっと上から200日・50日・25日線となっています。 この逆順列パターンになってからすでに3ヶ月が経過していることになります。 2016年の連銀による初の利上げで大きく相場調整した折には、逆順列になってから長期金利底入れまで半年、逆順列が順列パターンにはいるのに実に10か月を要しています。 この間、株式相場は底入れするものの、長期金利の逆順列が回復するまで、驚くほど長い往来相場のもみ合いを続けた経緯があります。 同じことになるとはもちろん言えませんが、業績相場的な上昇トレンドに戻るには、自然体であればそのくらいの日柄が必要だということになるかもしれません。これを早めたり加速させたりすることができるとしたら、政策発動以外には無いでしょう。6月には内外で多くの政策がらみのイベントが目白押しですから、その期待はできるかもしれません。

★日経平均先物。 日経CME円建ては21360円、日経平均先物夜間取引は21380円のようです。 現物指数の昨日の終値が21272円ですから、高めでのスタートになりそうです。 ドル円は110.53円で推移ということで、可もなく不可もなし。(提供:Investing.comより)

著者: 増田経済研究所 松川行雄