米国の主要経済指標の発表が無かったことで、外国為替市場は非常に活発な動きを見せた。
米ドルはニューヨーク取引時間前、他の主要通貨すべてに対し値を上げて取引されていたが、その後下落した。
ドル円は貿易戦争、リスク回避、そして新築住宅販売戸数減少により大きく下落した。
株式市場は当初米中貿易摩擦の影響を無視していたが、ついに長引く貿易戦争の脅威に目を向け始めている。中国の習近平国家主席は「新たなる長征」と「独立独歩」について述べている。手っ取り早い解決策は無い。
1934年に毛沢東が取った戦略的撤退を暗喩することで、中国は容易に屈服せず今後の国内産業を保護するためには犠牲も厭わない姿勢を示している。
仮に中国が協力を却下した場合は、トランプ米大統領は3000億ドル相当の中国製品に新たに追加関税を課す可能性がある。
米国は他国ほど貿易戦争から深刻な影響を受けないかもしれないが、米企業と消費者が今後需要減少と物価上昇に苦しむことは確かだ。
来る第2四半期における企業収益は減少する見込みが高い。110円を割り込んだドル円は今後109円も下回る可能性がある。
一方ユーロは対ドルで1か月ぶりの安値を付けたのち、高値圏で終値を迎えた。
米ドルに対する下げ圧力や4月の安値による利食いに追い風を受けた形だ。
ドイツをはじめとするユーロ圏において最新のサービス業PMIや製造業PMIは予想を下回る結果となった。
ドイツIFO景況指数は2014年ぶりの低水準まで下落した。
貿易戦争が景況指数に大きく影響している。クレメンス・フューストIFO所長は「特に製造業指数が心配だ」と述べた。
また、マークイットエコノミクスは「需要停滞により企業成長が鈍化した」と記した。
これに伴いユーロは下落したが、ニューヨーク取引時間における米ドルの売りがこの下落を逆転させた。また進行中の欧州議会選挙の結果は週末にかけて明らかになる。
ポンドも1.26まで下落したのちに回復した。
アンドレア・レッドサム英枢密院議長の辞任もあり、メイ英首相は本日24日辞意を表明する見通し。
本日発表の英小売売上高は消費増大に後押しされ上昇する見通し。
もし消費が予想を上回れば、売られすぎとなっている英ポンドがショートスクイズする可能性がある。
カナダドルは良好な経済指標に後押しされている。
3月カナダ卸売売上高は小売売上高と同様に大きく増加した。このことから、原油安で米ドル/カナダドルが下落に転じるとはならず、続伸となった。
原油先物相場は23日約5%の下落となった。
原油価格は1バレルあたり60ドルを下回っている。リスク回避と米中貿易摩擦が加速した場合にはさらなる下落が見込まれる。
一方豪ドルとNZドルは回復した。
本日発表されたNZ貿易収支は、好調だった先月の1.31億NZドルからさらに上昇し4.33億NZドルとなった。(提供:Investing.comより)
著者:キャシー リアン