不動産投資の収益について考えるとき、いわゆる「家賃収入-諸経費(ローン返済含む)」という構図でイメージしている人は多いことでしょう。たしかに、得られる家賃収入からローン返済分を含めた諸経費を差し引いて考えれば、その物件がもたらす収益上の価値(利回り)が見えてきます。それがいわゆる「インカムゲイン」をベースにした考え方です。不動産投資の基本とも言えるでしょう。

ただ一方で、不動産投資をインカムゲインだけで捉えるのは正しくありません。なぜなら不動産というのは、保有中の運用益だけでなく、売却したときにも利益(あるいは損失)を生む可能性があるためです。仮に1億円で購入した物件が1億2,000万円で売れたとしたら、2,000万円の利益が得られることになります(税金考慮せず)。このように不動産投資は、インカムゲインとキャピタルゲインのトータルで考えるべきなのです。

不動産投資におけるキャピタルゲインとは?

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(写真=cunaplus/Shutterstock.com)

ここであらためて、不動産投資におけるキャピタルゲインについて確認しておきましょう。キャピタルゲインとは、保有している物件の価値が上昇し、価格が値上がりすることによって、売却時に利益が得られることを指します。たとえば、保有物件の地価が上昇した場合、購入時の価格と売却時の価格に差益が生じ、キャピタルゲインが発生します。また、金融機関の不動産に対する融資が緩やかになれば、買い手が増え、売却時に差益が発生することもあります。単純に“売却益”と認識しておけばわかりやすいでしょう。

不動産投資におけるインカムゲインとは?

一方で、インカムゲインについてはどうでしょうか。インカムゲインとは、保有している不動産を賃貸に出すことで得られる家賃収入がベースとなります。家賃収入からローン返済額を含む諸経費を差し引いた金額が、毎月のインカムゲインとなるわけです。キャピタルゲインが不動産の売却益であるのに対し、インカムゲインは不動産の“運用益”となります。毎月のように、継続的に発生するのが特徴です。

不動産投資はキャピタルゲインとインカムゲインの合算で考えるべき

冒頭でも述べていますが、不動産投資は、キャピタルゲインとインカムゲインの両方を考慮に入れておかなければなりません。つい不動産投資というと、月々の家賃収入が得られる投資だと考えてしまいがちですが、実際には、キャピタルゲインによって大きな利益をあげている人も少なくありません。重要なのは、キャピタルゲインとインカムゲインという2つの利益を合算して考えるということです。

たとえば、インカムゲインが得られるかどうかだけで物件を選ぶのではなく、キャピタルゲインも合算した場合の評価について考えてみてください。全空物件を安値で購入した後にリフォームや仲介会社との関係構築などで、満室にして売却するなど、投資物件の選択肢が広がるだけでなく、よりフラットな目線で不動産を評価することができるようになります。インカムゲインだけで判断していると、どうしても選択の幅が狭まってしまい、競争が激しく、また投資戦略としても単純なものになり兼ねません。

都心の新築マンションは、利回りは低いけど入居需要が安定している

具体的な物件の事例で考えてみましょう。不動産投資の投資対象として一般的なものに、「都心の新築マンション」があります。都心の新築マンションは、入居者需要が安定していることもあり、投資対象として比較されやすい傾向があります。ただ中には、「都心の新築マンションは利回りが低いから……」と考えている人も多いのではないでしょうか。そこに盲点があります。

たとえ利回りが低かったとしても、インカムゲインだけでなく、キャピタルゲインも含めて検討してみるとどうでしょうか。都心のマンションは入居需要が安定しており、空室率も低い傾向にあります。つまり、投資用の不動産としては、価値が高いということです。その点を加味すると、投資対象としても決して悪くないということがわかります。むしろ、選択肢に入れるべきでしょう。

物件の減価が緩やかで、残債が減少していけば売却益が出る可能性が

このように、キャピタルゲインとインカムゲインをトータルで考えるようにすると、投資の精度はより高まります。とくに都心の新築マンションなどは、物件の減価が緩やかであり、かつ残債が減少していけば売却益を得られる可能性があります。不動産投資をする際には、ぜひ、キャピタルゲインとインカムゲインの双方から正しい評価をしていきましょう。(提供:Owners Innovation

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