ほとんどの人がお金の置き場所として銀行に口座を持っているが、証券会社は利用したことがない人もいるだろう。証券会社と銀行はどちらも金融機関だが、その役割やできることは異なる。それぞれの特徴を押さえて、賢く使い分けしたい。

証券会社と銀行の基本

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(画像=REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)

証券会社と銀行は、金融機関として提供するサービスや機能が異なる。共通する部分もあるが、主にどのような点が違うのだろうか。

証券会社は幅広い投資商品を扱う金融機関

証券会社は、投資に特化した金融機関だ。株式や債券など、銀行では取り扱っていない投資商品が購入できる。証券会社の営業員は、普段から株式の値動きや相場に関するニュースをチェックしているため、銀行よりも投資全般について相談しやすいと言える。

銀行でも投資信託は購入できるが、証券会社と比べると取扱数は少ないところが多い。幅広い投資商品に関心があるなら、証券会社を利用するといいだろう。

銀行は生活に密接した金融機関

銀行は、証券会社よりも生活に関係する多くのサービスを提供している。お金を貯めるだけでなく、光熱費やクレジットカードの引落などの決済機能のほか、ローンを借りることもできる。銀行は、相談できる分野が多岐にわたるのが特徴だ。

証券会社は必要がなければ利用しなくても問題ないが、銀行はそうはいかない。給与の受取には必ず銀行口座が必要であり、決済機能はなくてはならないものだ。そのため、銀行は生涯を通じて使い続ける金融機関と言えるだろう。

証券会社と銀行は目的によって使い分ける

証券会社と銀行を使い分けるなら、それぞれの特徴を活かしたいものだ。

証券会社でお金を増やして銀行で管理する

それぞれの特徴を一言で表すとすれば、証券会社は「お金を増やす」ことに強く、銀行は「お金を管理する」ことに強い。

証券口座に入れたお金は決済や自由な送金には使えないため、日常生活ではお金は銀行に預けておく必要がある。一方証券口座にお金が入っていれば、好きなタイミングで投資に使うことができる。投資に回したいお金は普段から証券口座に入れておき、じっくり商品を選びつつ購入のタイミングを待つのもいいだろう。

ただし対面型の証券会社にある程度まとまったお金を入れておくと、営業員からセールスがかかることもある。セールスを受けたくない人は、ネット証券に預けるほうがいいかもしれない。いずれにしても、実際に投資する時は慎重に検討したい。

複数の目的に分けてお金を管理したいなら、銀行が適している。たとえば、旅行費用や子どもの学費のための積立定期などが考えらえる。定期預金は、普通預金と違って簡単には引き出せない。目的ごとに分けて預けることもできるため、お金の管理がしやすくなるはずだ。

定期預金のようにお金を縛りたくない人は、違う銀行で普通預金口座を作って、銀行ごとに口座を使い分ける方法もある。同じ銀行で普通預金口座を複数作れないこともないが、犯罪に使われることを防ぐため、利用目的によっては断られることもある。

証券会社と銀行ではそれぞれ強みが違うので、お金の用途に合わせて利用シーンを考えたい。

証券会社でお金を貯める方法もある

証券会社は投資に特化した金融機関だが、あえて証券口座でお金を貯めるという使い方もできる。銀行口座ほど引き出しやすくないため、使わないお金をプールしておき、いざという時に出金するという使い方だ。証券口座の入出金にかかる手数料は証券会社が原則負担するところが多いので、手数料を気にせず貯めていける。

貯金代わりに使う場合に知っておきたいのは、証券口座に預けたお金は投資信託で運用されることだ。証券口座には、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)という投資信託が使われている。投資信託とはいうものの、普通預金に近い性質で出し入れも自由だ。元本保証があるわけではないが、極めて安全性の高い運用がなされている。証券会社でお金を貯める場合は、MRFに貯めることになる点を認識しておこう。

証券会社と銀行は賢く使い分けたい

日常生活では銀行だけを利用していても不便はないが、お金を増やすことまで考えると証券会社を利用したほうがいいケースもある。銀行だけでも多くのニーズに対応できるが、それぞれの金融機関の強みを活かし、賢く使い分けしたほうがいいだろう。

文・國村功志(資産形成FP)/MONEY TIMES

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