毎月の給与を楽しみにしている方は多いでしょう。給与明細を見ると、いろいろ控除されている金額が表記されています。その中に住民税という項目がありますが、住民税について実はよく知らないという方は、意外と多いのではないでしょうか。ここでは、所得税との違いや、給与から引かれる場合・引かれない場合、転職時の注意点など、住民税の基本をご紹介します。

住民税とは?

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(画像=PIXTA)

住民税は住んでいる地域に納める税金

住民税は収入に対して課税される税金で、住んでいる地域に納めています。収入に対して課税される税金には「所得税」もありますが、これは国に納めている税金です。

住民税の計算方法

住民税と所得税は、収入から各種控除額を引いた金額に税率をかけて税金を計算しますが、住民税はそれに加えて、一定額を納める必要があります。住民税の場合、前者を「所得割」、後者を「均等割」といいます。

住民税=均等割+所得割

住民税の均等割や所得割の金額・税率は、住んでいる地域によって異なります。東京の場合、均等割が5,000円、所得割の税率が10%です。自分が住んでいる地域の住民税は、自治体のホームページなどで調べてみてください。

住民税は前年の収入に対して納める税金

所得税は原則本年分の収入に対して税金を納めますが、住民税は前年分の収入に対して税金を納めます。社会人1年目の給与は、住民税が引かれていませんでしたよね?これは前年分の収入がなく、税金が発生していないためです。

また、住民税は前年分の確定した収入に対して税金を納めるので、税金に変動が発生せず、年末調整が必要ありません。すでに税金の額が確定しているため、還付金も原則発生しません。

  住民税 所得税
納付先 地域
計算時期 前年分 本年分
年末調整 なし あり
還付 なし あり

住民税の給与からの天引きとはどういうこと?

住民税をはじめ、税金は自分で納めることが基本で、これを「普通徴収」といいます。一方、企業に勤める会社員は給与から天引きされていますが、これを「特別徴収」といいます。

会社は一定以上の給与を支払う場合、住民税などの税金は給与から天引きすることが義務付けられています。ですから、住民税は直接給与から天引きされるんですね。

天引きの額は会社が計算するのではなく、各自治体が決定している点も、住民税の特徴です。各自治体から送付される「特別徴収税額の決定通知書(納税義務者用)」にしたがって天引きされています。

住民税は、前年分の収入に応じ、6月から翌年5月まで分割して納税します。つまり、入社2年目の6月の給与から天引きされるようになるでしょう。

住民税が給与天引きされない人

住民税は天引きが原則ですが、中には天引きされない方もいます。住民税が天引きされない方は普通徴収で納めることになります。次の2つに該当する人は、各自治体から送られる納付書を使い、一括か年4回に分けて納付しましょう。

個人事業主の方

住民税の源泉徴収は会社に義務付けられているので、個人事業主など会社勤めではない方は天引きされません。

退職・転職した人

会社員でも、退職や転職した方は天引きが行われないことがあります。

転職したら住民税はどうなるの?

転職や退職した場合の住民税の取り扱いについて、もう少し詳しく確認しておきましょう。

住民税は6月から翌年5月まで分割して納めている税金のため、1月~4月に退職した場合は、残りの住民税が退職する月の給与から一括徴収されてしまいます。5月退職の場合は、通常どおり1ヵ月分の住民税が天引きされます。

6月~12月中に退職した場合は、一括徴収か普通徴収を選ぶことができます。住民税の残額が多く給与から天引きしきれない場合があるため、普通徴収を選択する余地を残しているのですね。

退職時期 住民税の納付方法
1~4月に退職 一括徴収(天引き)
6~12月に退職 一括徴収(天引き)か普通徴収

6月~12月に退職した方で、普通徴収を選択した場合は、自分で住民税を納付することになります。

転職先が決まったら、住民税は転職先の給与から天引きする方法に切り替えることもできます。転職先に特別徴収へ切り替えたい旨を伝えましょう。転職先の会社が「特別徴収への切り替え申請書」を自治体に提出することで天引きに変更できます。

住民税を正しく知って対応しよう

給与から控除される金額の中でも、住民税は比較的大きなウエートを占めます。還付金がないなど、住民税ならではの注意点がありますので、正しい知識を持ち、節税などの対策を取りましょう。

文・若山卓也(ファイナンシャル・プランナー)/fuelle

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