★FOMC、ハト派に傾斜。但市場の期待ほどは「前のめり」ではない。 注目のFOMC(公開市場委員会)でした。ステートメントからは、政策変更まで「忍耐強く」待つという文言が削除され、連銀のスタンスがより「ハト派」に傾斜。それ以外は、ほとんど景況感などの認識は大きな変化がありません。 総じて、金融緩和措置の選択肢を広げたとは言えそうですが、市場が思っているほど利下げに前のめりにはなっていないようです。 連銀メンバーの今後の金利予想も、かなりばらけたまちまちな印象で、一様ではありません。連銀としては、自ら選択肢を狭めてしまうようなことはしないでしょう。

★ジャンクボンド、年初来高値更新 昨晩の米国市場では、これを受けて、一番大きな変化を見せたのは、ジャンクボンドと米10年国債利回りでした。 最大のリスク指標であるジャンクボンドは、ついに年初来高値更新。 一方マネー循環を示す米国10年国債は一段と買い進まれ、なんと利回りは前日に年初来最低水準をマークしたのに続き、昨晩さらに低下。2.029%となりました。

★今週来週の一番興味深いポイント。 今週こうなってくると一番興味深いところは、この長期金利が反転上昇してきた場合に、株式市場が嫌気して下がるのか、それとも景気再浮上を想定して上がるのかということです。まだFOMCが終わった時点では、金利低下を株が好感するという状況がそのまま続いています。 今後プレアナウンスメントが進捗していくにつれて、米国企業業績の見通しが再び好転していく公算が高いわけですから(なにしろ、昨年下半期の急減速していった過程に比較しての予測数値になるわけですから)、景況感の改善となってくることは必至です。 そのとき、長期金利はどうしたって上昇してくるでしょう。株式が、それを嫌気して下がるか、好感して上がるか、ということです。 連銀は一応今回、「前のめり」になっている市場を失望させないように、「利下げの選択肢」に含みを持たせたものの、米国経済が弱いという認識はしていません。 株式市場はいわば、いいとこどりをする格好で昨晩続伸。 主要指数は史上高値に再び接近中です。半導体SOX指数は50日線を残すだけ。先行指標のダウ輸送株は、200日・50日線をまだ抜けていません。 ジャンクボンド以外の指標は、続伸ですが、移動平均線との位置関係には変化がありません。 日経CME円建ては21280円、日経平均先物夜間取引は21280円、同じ水準です。 昨日の現物指数終値が21333円ですから、むしろ小甘いということになります。 昨日、景気敏感株などに確かに動意が見られてはいるのですが、どうも本気度がまったくまだ感じられません。本日、物色に変化がみられるかよくウォッチしましょう。 基本的にはプレアナウンスメント期間が米国で続いているわけですから、米国株ですらそう調子にのっていつまでも上がり続けるということは、普通はできないはずです。米国市場が持ち合い調整に入ってもまったく不思議ではない時節ですから、指数プレイ(指数寄与度の高い大型株中心の投資)は、まだ控えておき、中小型株のゲリラ戦に終始しているほうが無難だと考えられます。

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著者:増田経済研究所 松川行雄