市場では、FRBの次の動きは金利引き下げになるという観測が強まっている。例えば債券市場は、景気後退のリスクの高まりを受け、FRBが今年最低でも0.5ポイント引き下げる事を前提とした価格設定をしている。

そのような利下げが必要になる悲観的観測も、米中貿易戦争が投資家心理を悪化させ、今や企業の収益予想の引き下げに繋がってしまっていることによる。

米企業が悪影響を受け始めている中、多くの経済指標も下降している。17日に発表された6月の米ニューヨーク連銀製造業景気指数は、過去最大の月次下げ幅となっていた。

FRBが利下げせざるを得ない状況になるのであれば、株式投資家がリスクオフの行動をとることは道理に適っているだろう。減速する経済下において、一般的にアウトパフォームする株式は、定期的に配当を支払う株式である。今回我々は市場のボラティリティを切り抜けるのに役立つ、2つのインカムゲインを生み出す株式を選んだ。

1.ネクステラ・エナジー

公共株が不景気の時期に上昇するのは珍しいことではない。定期的なキャッシュフローに基づくビジネスモデルと、定期的な配当を支払う能力は投資家にとって魅力的だ。それが公共セクターが今年最高の業績を上げ続けている主な理由である。特にS&P 500 Utilitiesは今年13%もの伸びを示している。

このセクターで特に注目すべきは、クリーンエネルギーで躍進したネクステラ・エナジー(NYSE:NEE)である。フロリダに本拠を置く同社は、風力や太陽光を利用した再生可能エネルギーを提供する企業の中では、米国最大の規模を誇る。また同社は大規模な天然ガスパイプライン事業とエネルギー貯蔵事業を手掛けている。

ネクステラ・エナジーが他の伝統的な公共事業会社と大きく異なるのは、その成長を債務の大量注入によって実現したわけではないという点である。その代わりに同社は政府の補助金とクリーンエネルギー生産者に対する減税を非常にうまく利用し規模を拡大した。同社はエネルギーを主に保守的な公共事業体に売却している。これらの公共事業体は州の要請により、電力の調達をクリーンエネルギーから行わなければならない義務を有している。

ネクステラ・エナジー
(画像=Investing.com)

ネクステラ・エナジーは来年末までに400億ドルを開発プロジェクトに投資する予定だ。後に再生可能エネルギーの市場機会が大きくなり、同社が目覚ましい規模を築いている頃には、特に成長の追い風となるだろう。18日の大引けでは0.5%安の205.38ドルであったが、S&P 500が年初来17%増であるのに対し19%増となっている。

ネクステラ・エナジーは2.45%の配当利回りで、1株当たり5ドルの年間配当を支払っている。また同社は2020年末までに12-14%の増配を計画している。

2.ウェルタワー

公共株と同様に、不動産投資信託(REIT)もまた金利の面で賭ける価値があるだろう。資産の安全な避難先である国債の金利が低下すると、REITの利回りは非常に魅力的なものとなる。

ウェルタワー(NYSE:WELL)はヘルスケアに特化した最大規模のREITであり、より高い収益を上げたいのならば非常に魅力的な銘柄の1つである。同社は1500を超える不動産を管理しており、ヘルスケアに特化している。米国人口の高齢化や、それに伴う施設への支出の増加を踏まえると、REITの中では比較的低リスクであるように思われる。

同社のポートフォリオには、高齢者住宅、外来医療施設、介護施設など、このような高齢化に伴う支出の変化による恩恵を受ける施設が多数揃っている。現在米国においては毎日10000人のベビーブーム世代が高齢者となっていると言われており、巨大な人口統計上の節目を迎えている。そのため、これらの収益源は底堅い。

ウェルタワー
(画像=Investing.com)

ウェルタワーは既にこの人口推移から利益を上げている。同社の純利益は昨年61%増となり、2019年にはさらに29%増の10億ドルに達すると予想されている。18日の株価はわずか0.7%下落したものの、年初来約20%高となっている。

過去10年間で、同社は1株当たりの配当額を1株当たり3.48ドルに引き上げた。これは現在の株価で4%以上の利回りとなっている。

総括

ネクステラ・エナジーとウェルタワーの株価はすで1年ぶりの高値圏を推移しており、これらの銘柄が今後上昇することは考えにくいかもしれない。

しかし債券市場の予想通り利下げが必要になる経済環境となるならば、両社の株価の更なる上昇も考えられるだろう。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル