無責任に「好きなことをしよう」と煽る有名人の罪
現実世界において、好きなことだけをして生きていけるほど人生は甘くはない。誰しもがそうできるわけではなく、現在は一部の人のみが利用可能な特権であることを深く認識しなければならない。実際、ある著名人に至っては、「とりあえず世間を煽るのが私の仕事」と言っており、そこにはどうすれば良いのかなど、具体的な方法は一つも描かれていない。さらに言うと、起業することやフリーランスでいることの大変さや厳しさがすっぽりと抜け落ちている。
私自身も起業やフリーランスになることの意味をもう一度考え直し、二度目の転職活動は、仕事を通じて知り合った人からの紹介や転職サイトのスカウトなどを比較し、自分自身のスキルを本当に必要としている企業に採用された。ここで評価されたことは、英語力、調査・分析力と、まさに社外でも通用する市場価値の高いスキルであった。
現在の仕事では、自ら裁量権を持ち仕事ができるため、ほぼ毎日定時に帰宅でき、有休も自由に取得できるため、自らのスキル向上のために時間を充てることができる。また、何よりも家族友人との時間もある。会社員でもしあわせな人生を送ることは可能であることを、身をもって感じている。
結局は自分自身の判断
会社が倒産するリスクもあるが、起業してその会社が倒産するというリスクもある。どの人生を選ぶかは自らの選択に委ねられるが、どちらの道に行くにせよ、リスクは付き物であることは間違いない。このことが忘れられ、会社員であること=悪というレッテルを貼り、無責任に人を煽るのはどうなのだろうか。
どの人生を選択するにせよ、最終的な責任者は自分である。答えがない問題だとは思うが、いずれにせよ自分は本当に市場価値のある人間なのかしっかりと見極めなければならない。
山本健太郎(国際税務リサーチングエディター)(『THE21オンライン』2019年05月07日 公開)
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