要旨

東南アジア経済の見通し
(画像=PIXTA)
  • 東南アジア経済は、19年1-3月期の成長率が5カ国揃って低下した。輸出の減速傾向が続くなか、これまで堅調だった内需にも陰りがみえてきており、景気は減速傾向にある。
  • 消費者物価上昇率は、エルニーニョ現象の影響による食品インフレのリスクはあるものの、成長モメンタム鈍化や国際商品市況の落ち着き、米国の利上げ姿勢転換による新興国通貨の安定などが物価押下げ要因となり、引き続き安定推移を予想する。
  • 金融政策は、国内経済の減速や通貨・物価の安定を背景に一部中銀が昨年実施した利上げの解消を進めるだろう。国別に見ると、フィリピンが年末にかけて追加的に計0.75%の利下げ、資金流出に対する警戒感が強いインドネシアが金融市場の動向を睨みながら年1回の利下げを予想する。
  • 経済の先行きは、世界経済の減速により輸出が鈍化すると共に、米中貿易戦争の影響で企業の投資マインドが悪化して民間投資が鈍化するため、2019年の景気減速は避けられない。もっとも堅調な消費需要と景気刺激策によって底堅い成長を維持するだろう。
東南アジア経済の見通し
(画像=ニッセイ基礎研究所)