★G20への期待が沈静化。 G20が始まります。これに向けて、過度な期待はだんだん落ち着いてきました。 ムニューシン米財務長官は、中国との交渉は90%合意していると言っている一方で、トランプ大統領は合意に到達しなければ、25%ではなく10%の関税を引き上げる、としています。 財務長官は、まだ「完全には」合意には至っていないことを述べており、トランプ大統領は当初述べていた25%関税引き上げから、10%へとトーンダウンしてきています。 つまり、決裂でもなければ、完全合意でもないということです。

★ハイテク主導、ヘルスケアが下落。 これを受けて、昨晩の米国株市場では、半導体が回復基調となり、上昇を牽引。一方安全パイとみなされていたヘルスケアが下落しています。 (半導体~マイクロン復調の期待) 半導体については、マイクロンMUが3-5月決算を発表しており、EPS・売上とも予想を上回ったようです。これは中国華為(ファーウェイ)への納入を再開しているためです。マイクロンテクノロジーMUは昨晩13%の高騰となり、一気に50日線に到達。 (ヘルスケア~医療保険問題) 大統領選挙に向けた民主党立候補者の最初のテレビ討論会が行われています。 候補者20人全員が、医療保険の適用範囲を拡大して、医薬品価格の上昇を抑えるためのさまざまな工夫を提案しています。 これがヘルスケア業界の業績を大きく圧迫するだろうと言う懸念で売られたものです。 トランプ大統領もヘルスケア業界を目の敵にして、薬価引き下げを強要していますから、どちらの政党が与党になっても、ヘルスケア業界には逆風が待ち構えていることになります。

★定点観測。 昨晩の米国株主要指数は、総じて甘かったのですが、グローバル指数のダウ工業株、総合株価指数のS&P500は微弱な下げ。一方、ハイテク、とくに半導体が牽引したナスダックは小幅高でした。 一番重要な先行指標であるダウ輸送株指数は反発。25日線を奪回しています。これで日経平均、上海コンポジット、ダウ輸送株という、キーになる株価指数がいずれも25日線上に位置することになりました。 ただ、リスク感応度の高いラッセル2000小型株指数は続落で、昨晩とうとう25日線ぴったりまで続落となっています。 相場全体を上方向に牽引した半導体SOX指数は上昇。それも3.1%の大幅上昇で突出した上げを見せています。結果、6月20日に到達したものの打ち返された50日移動平均線を一時突破。終値でもわずかですが上回って終了しています。 半導体からスタートを切っていくことになるか、とてもここ一両日の半導体SOX指数の動きには注目です。

★リスク認識。 米国市場において、リスクはさほど認識されていません。 ジャンクボンドは続落です。4日続落なのですが、昨日はほとんど前日と変わらずといっていいほどの微弱な続落です。移動平均線すべてを上回っており、かなりの距離がありますから、ジャンクボンドにはまったくといっていいほど、リスクが反映されている様子はありません。 VIX(変動、恐怖)指数は反落。それでも前日25日線を奪回しており、それ自体は変わりません。横這ったというところです。16.21ですから、どちらかというと中立というところでしょうか。 マネー循環の観点からは、米10年国債利回りが上昇。国債はかなり明確に売られました。ただ、19日以降、ほぼ底辺での底練り状態の域を出ていません。もう一段上昇してきますと、底練りから明確に米国債が売られているという状態になってきます。まだ、底辺でもみ合っているという状況です。

★ポイントは、景気敏感系、大型株の動意の有無。 昨日、日経平均寄与度の上位には、軒並み大型の景気敏感株が名を連ねていました。 逆に寄与度のマイナス方面では、ディフェンシブ系が勢ぞろいでした。 大型株にこうした傾向がはっきりでてきているということは注目に値します。 とくに昨晩はアメリカで半導体が突出した強さを見せて、相場をプラス方向に牽引していたわけですから、話は符号します。 日本では昨日、海運のような、付加価値がけっして高くないシクリカル(景気敏感)系も強かったことから、景気先行的な業種全般の、それも中型株以上の大型の動きに注目しましょう。

★本日の東京市場。 日経CME円建ては21080円。日経平均先物夜間取引は21090円で返ってきています。昨日の日経平均現物終値は21086円でしたから、ほとんど変わりません。 ドル円が107.80円と、107円台の後半に戻ってきているので、為替面では多少ほっとするところになりそうです。 日経平均も昨日25日線を死守したことから、本日はさらにこれをかためてくれるのではないでしょうか。 前日は、ダウ輸送株指数が25日線割れをきたし、日経平均のそれも危ぶまれていたことから、戦略方針を警戒に落とし、1357のヘッジ開始としました。もちろん持ち株の状況次第で、なにも無理してヘッジする必要はないとしました。 昨晩の米国株では先行指標が堅調であったことから、このヘッジは解除。フルポジションの回帰してもよいでしょう。一応、まだ揉み合い商状の域を出ないということなので、週末に向けて、安全策としてキャッシュを一定のレベルで確保するよう名つもりでいればよいのではないでしょうか。 もしキャッシュを確保しておくということであれば、1割目安程度でよいでしょう。(提供:Investing.comより)

※個別銘柄のスクリーニングは、「一粒萬倍勉強会」夕刊を参照。

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著者:増田経済研究所 松川行雄