5月後半から金価格は11%上昇し、2013年9月以来の最高の水準に達している。
金価格上昇はFRBによる金融緩和政策への期待の高まりにより過熱に起因している。米金利先物に基づくと7月の利下げ確率は100%織り込まれている。米イラン間の緊張の高まりや米中貿易問題の不透明性なども、安全資産である金の魅力度が高まる要因として働いている。
金価格と並行し、金関連のETFも過去数ヶ月上昇を続けている。S&P 500のリターンが3%であるのに対し、同期間のヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF(NYSE:GDX)は24.5%高となっている。
そんな中、以下の産金3社の株価上昇が今後期待されている。
1. ニューモント・ゴールドコープ:6月は15%高
4月に完了したニューモント・マイニングとゴールドコープの合併により新たに誕生した産金大手ニューモント・ゴールドコープ(NYSE:NEM)は、時価総額・産出量・埋蔵量の3つの観点全てで世界最大の産金企業である。過去1ヶ月間で19%近い上昇となった同社株は、26日の取引で一時52週間で最高値の38.72ドルの値をつけ、終値が38.05ドルとなった。
同社は2019年第1四半期末では現預金約35億ドルを有し、ネットデットが前年同期の約10億ドルから8億ドルへと減少しており、合併後のオペレーション効率化に成功している事が窺える。
同社は北米、南アメリカ、オーストラリア等の良好な産金地域に世界レベルの資源を複数抱えており、成長は続くと見られる。
同社は、直近の金価格上昇の恩恵を存分に享受出来るポジションにある。2019年に520万オンスの金算出を見込んでおり、同年の全維持コスト(AISC)は1オンスあたり935ドルとなる見込みだ。
2. バリック・ゴールド:6月は29%高
トロントに拠点を置く世界2位の産金大手バリック・ゴールド(NYSE:GOLD)は、過去1ヶ月間で34%高となっている。26日の取引では52週間で最高値となる16.44ドルを記録し、終値は15.95ドルとなった。
同社株価の上昇は、ファンダメンタルズの上昇により続くように見受けられる。金産出量は過去5回の四半期で増加を続けている。同社は2019年に510万から560万オンスの金を産出する予定で、全維持コスト(AISC)は1オンスあたり870ドルから920ドルとなる見込みだ。
更に2018年9月に完了したランドゴールド・リソーシズとの合併により、同社は世界の金鉱山上位トップ10の内半分の支配権を得ている。以上全てを勘案し、金価格の上昇とコスト削減による次四半期の利益改善の見込み等を踏まえると、同社への投資は引き続き良い選択だと言える。
3. アングロゴールド・アシャンティ:6月は30%高
南アフリカのヨハネスブルグに本拠地を置く産金大手のアングロゴールド・アシャンティ(NYSE:AU)は、世界3位の産金企業である。アフリカとオーストラリアを中心とする主要金産出国9ヵ国14箇所において、採掘を行っている。
同社株は、同業他社を圧倒的にアウトパフォームし、過去1ヶ月で49%高となっている。26日の取引では一時52週間で最高値となる17.92ドルに達し、終値は17.27ドルとなった。
同社は2018年に340万オンスの金を産出し、全維持コスト(AISC)は1オンスあたり968ドルであった。2019年には325万から345万オンスの産出が見込まれ、全維持コスト(AISC)は1オンスあたり935ドルから995ドルとなる見込みである。
同社の堅調なパフォーマンスは、販管費削減による利益率改善等に代表される近年の経営改善により、今後も続いていくことが予想される。(提供:Investing.comより)
著者:ジェシー コーエン