東京では、オリンピック後も数多くの再開発が行われる予定です。なかでも、とくに勢いが鮮明なのは港区。開発総面積で著しい伸びを見せ、今後、2つの新駅開業を控えています。港区は、2020年代、国際的な街として発展し、さらに求心力を増しそうな気配です。具体的にどのような計画が進められているのかチェックしてみましょう。

東京23区の開発面積で港区が大躍進

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(写真=PIXTA)

日経アーキテクチュアの調査によると、2018年の港区の開発総延べ面積は前年の1.8倍まで膨らんでいるとのこと。ちなみに、この調査は同社が5年前から行っているものです。具体的には、東京23区で進行中の延べ面積1万平方メートル以上の建築物や、市街地再開発などの大規模開発プロジェクトを対象にしています。

この調査に基づけば、東京23区の中でも港区、中央区、千代田区、江東区などが開発面積の多さで例年目立つ傾向があるようです。2018年の4区の状況を見ると、中央区、千代田区、江東区の3区は微増、微減があるものの大きな変化はありません。一方、港区は案件数が急増、総面積でも約8割増と大幅に伸びていると分析しています。

港区全体の再開発の大きな流れは?

再開発で勢いのある港区ですが、街づくりのキーになるのは「虎ノ門ヒルズ駅」と「高輪ゲートウェイ駅」の周辺でしょう。いずれも交通の要として、将来の東京の機能性を高める可能性を秘めています。「虎ノ門ヒルズ駅」周辺の再開発をけん引しているのは、以前から港区内でアークヒルズや六本木ヒルズなどのランドマーク開発を行ってきた森ビルです。

そして、「高輪ゲートウェイ駅」周辺の再開発でイニシアティブをとるのはJR東日本。いずれも、再開発により海外の企業や人材を集める効果を重視しています。ここから先は、「虎ノ門ヒルズ駅」「高輪ゲートウェイ駅」それぞれの再開発の中身を見ていきましょう。

虎ノ門ヒルズ駅周辺の再開発の中身は?

虎ノ門エリアの再開発の中軸となる虎ノ門ヒルズでは、2014年に開業した森タワーをはじめ、2019年にビジネスタワー、2021年にレジデンシャルタワー、2022年にステーションタワーがそれぞれ完成予定です。(すべて仮称)このほか、虎ノ門ヒルズでは出張中のビジネスパーソンが長期滞在できるサービスアパートメントの整備なども予定されています。

また、周辺では同時進行で交通インフラの整備も進行中です。2019年現在は、2020年に開業予定の日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅が建設中のほか、東京オリンピックでは選手村になる晴海や、すでに開業している豊洲市場と虎ノ門を結ぶバス高速輸送システム(BRT)のターミナルの建設が予定されています。さらに、虎ノ門ヒルズの南側に位置する「虎ノ門・麻布台エリア」では、約1,300戸の住宅を創出。

インターナショナルスクールや海外の方向けスーパーなどを網羅した国際色豊かな街が誕生します。

高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発の中身は?

一方の「高輪ゲートウェイ駅」周辺では、4エリア(港南、芝浦、高輪、三田)に広がる約 9.5 ヘクタールで総延べ面積約85万平方メートル以上になるプロジェクトが進んでいます。この再開発で一番のテーマになっているのは、「エキマチ一体化」です。わかりやすく言えば「駅と街の境をなくす発想」になります。

具体的には、改札のすぐ前が歩行者広場になる設計、ガラス面を多用した駅舎、歩行者を最優先した空間などのアイデアにより、国内ではあまり例のなかったエキマチ一体化を実現しようとしています。

今後、一等地の集中する港区の価値がさらに高まる?

今回は、港区の中でも2つの新駅周辺の再開発に注目しましたが、これ以外の港区エリアでも旺盛な開発が進んでいます。その一角が六本木エリアで、2020年着工が開始され2025年の完成をめどに大規模な再開発が行われる予定です。商業施設や住居、オフィスだけでなく海外の高級ホテルの誘致を目指しています。

このような動きから、一等地が集中する港区の価値が再開発によってさらに高まる可能性があるでしょう。東京五輪ロスや日本全体の人口減少とは一線を画し、不動産の資産価値を保ちやすい環境がさらに整うことが期待されます。(提供:Wealth Lounge

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