前日の海外市場では、NYダウが4日連続続伸、終値は前営業日比27.13ドル高の27,359.16ドルとなり、連日で史上最高値を更新ししました。ナスダック総合株価指数も、同14.04ポイント高の8,258.19と史上最高値で取引を終え、S&P500種株価指数も過去最高値を更新し、主要3指数が史上最高値を更新する動きとなりました。ただ、今週から米企業決算の発表が本格化するため、影響は限定的となりましたが、株高などの影響により、クロス円などの下値は底堅い動きになっています。

中国の1-6月期対米貿易黒字(1,404.8億ドル)が昨年同時期(1,337.6億ドル)を上回っていたこともあり、本日予定されている米国の経済指標(小売売上高と鉱工業生産)が悪化するようであれば、再びトランプ大統領により、米中通商協議への圧力がかかる可能性がありそうです。ただ、同経済指標が強い内容であれば、FRBの利下げは25bpで盤石になるとの思いからドル円は上値を拡大する可能性がありそうです。

ユーロドルについては、ECBが金融緩和方向に向かうとの観測が根強く、1.1300ドルがレジスタンスとして意識されています。直近のユーロ圏の国債利回りの動きとしては、全般に上昇しており、ドイツ国債も同様ですが、イタリア国債は買いが優勢となっています。EUがイタリアの財政赤字を巡る是正手続きに入ることを取りやめたことがイタリア国債の相場を押し上げている要因のひとつですが、それよりも、ユーロ圏の国債利回りがマイナス圏に落ち込んでいる市場が多いため、相対的に利回り水準が高いイタリア国債に資金が流れ込んでいる模様。FRBが25bpの利下げで落ち着くようであれば、既に織り込まれていることもあり、ユーロドルはもう一段安を目指す動きになりそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

次期欧州委員長に指名されているドイツのフォンデアライエン国防相が、英国のEU離脱について離脱条件交渉のためのさらなる時間的猶予を提供することに支持を表明しました。英国のEU離脱期限は既に3月29日から10月31日に延期されていますが、フォンデアライエン氏は、英国と戦略的なパートナーシップを構築したいとし、十分な理由が示されればさらなる延期も支持すると述べています。

ただ、ブリハBOE委員は、英国がEU離脱期限を繰り返し延長したり、世界経済が減速したりすれば、需要を支えるために利下げが必要になる可能性がある、との見方を明らかにしています。「合意なき離脱」の場合、現在0.75%の政策金利が0.25%を割り込み、過去最低水準まで引き下げられることもあり得るとも発言していることから、「合意なき離脱」の影響が政策金利に及ぶことを明確に示唆しだしていることもあり、保守党党首選でジョンソン前外相優勢の報道が、ポンドの上値を抑えることになりそうです。

次の戦略はポンドショートよりもユーロショートに妙味アリと見る

135.80円のポンド円ショートについては、135.00円にて利食いで手仕舞いです。次の戦略としては、ポンド以上に上値が抑えられているユーロのショートを考えたいと思います。1.1300ドルがレジスタンスラインとして機能しているため、1.1280ドルまで引き付けての戻り売り戦略とします。利食いについては、1.1210ドル付近を想定し、損切りラインは1.1320ドル上抜けとします。

海外時間からの流れ

本日公表されたRBA議事要旨については、成長を支えるために必要ならば政策を調整する」などさらなる利下げの可能性が示唆されましたが、既に年内の追加利下げについてはほぼ織り込み済みということもあり影響は限定的になりました。徐々にではありますが、オセアニア通貨の突発的な動きは抑制されつつあるのかもしれません。

今日の予定

本日は、英・6月失業率、独・7月ZEW景況感調査、米・6月小売売上高、米・6月鉱工業生産などの経済指標が予定されています。要人発言では、カーニー・英中銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁、ボウマン・FRB理事、パウエル・FRB議長、 エバンス・シカゴ連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。