ここ何年かでクレジットカードや電子マネー以外に、Apple Payやおサイフケータイ、LINE Pay、d払いなどのスマホ決済アプリが次々と登場し、今では「キャッシュレス決済」という言葉を本当によく聞くようになりました。今後ますますキャッシュレス社会が進んでいくことが予想されますが、便利だからこそデメリットもきちんと把握しておきたいもの。今回はキャッシュレス化社会に潜む3つの問題点を紹介します。

利便性は本当に上がるのか

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(画像=PIXTA)

現金払いの方が早い場合も

海外で自動販売機を利用したとき、出てきたお釣りがデタラメで驚いたことがありますが、現地の人に聞いてみるときちんとお釣りが出てくる方が稀だとか。自動販売機だけでなく、日本はレジの性能もよく、店員さんの質も高いので、クレジットカードのサインをしている時間の方が長くかかっているのではと思う場面が意外とあります。

また、誤った決済をしてしまったときの取り消し手続きがキャッシュレス決済では少し面倒です。クレジットカードではカードの再読み取りの手間がありますし、スマホ決済ではアプリごとに条件が異なるので、事前に取り消し方法を確認しておくようにしましょう。

決済手段が複数必要になる

店によって使えるキャッシュレス決済の種類は異なりますし、地域によってキャッシュレス決済の導入度に差があると、利用者自身が複数のキャッシュレス決済の手段を持つ必要があります。決済の手段が増えると管理が大変です。

停電・充電切れになると何もできない

災害などで停電になったとき、スマホ決済機器が使えないとキャッシュレス決済は利用できなくなります。今後キャッシュレス社会が進んで現金が少なくなると、いざというときに物を買えないということが起こるかもしれません。

また、スマホが使えないと決済アプリも使えないので、充電切れにもこれまで以上に神経質になりそうです。

キャッシュレス特有の安全面にも課題

盗難に遭った場合、届出や手続きが必要

もし盗難に遭った場合、現金であれば、使用されてしまうとそれを取り返すことは困難ですが、キャッシュレス決済であればそういった被害を少なくできるでしょう。しかし、クレジットカードなどでは盗難直後にカード会社への届出をしなければ、被害が大きくなる可能性もあります。

情報が漏れる心配

「パソコンの脆弱性が見つかった」とたまにニュースで流れますが、スマホもパソコンと同じで決済アプリなどにも脆弱性が見つかることがあります。こういったアプリへの攻撃に備えるために、常に最新の状態にアップデートしておくようにしましょう。

また、個人情報の漏洩は頻繁に起こっていますが、キャッシュレス決済は良くも悪くも買い物の記録・履歴が残りますので、それらの情報が漏れる心配があることは覚えておきましょう。

やっぱり心配な「使いすぎ」

キャッシュレス決済は記録が残り、後から確認できるので、うまく利用すれば家計管理がしやすくなります。しかし、複数の決済手段やアプリを使っていると、全体でどれだけ使ったかわかりにくくなります。また、そもそも残高が見えにくいので、ついつい使いすぎてしまわないように十分に注意する必要があります。

特に、使いっぱなしで履歴を確認していなかったり、月々の買い物の予算を決めていなかったりする人は、便利になった分だけ無駄遣いも増えてしまいがちなので気をつけるようにしましょう。

問題点を理解した上で現金とキャッシュレスを上手に使いこなそう

経済産業省が2018年に発表した「キャッシュレス・ビジョン」によると、国別のキャッシュレス決済の比率は、中国60%、イギリス54.9%、アメリカ45%に対して、日本はわずか18.4%となっています(2015年時点)。しかし、見方を変えれば日本では現金による支払いに不満を持っている人が少ないとも言えます。現金払いとキャッシュレス決済はどちらもメリットとデメリットがあるので、便利さだけではなくさまざまな問題点を理解した上で、上手に利用しましょう。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)/fuelle

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