クルマを単なる「耐久消費財」としてではなく、「資産」として捉えることを提案するこの連載。今回は「クルマのボディカラー」について取材を行った。
「本当は展示場に飾ってあったメタリックブルーが欲しかったのですが、『この色はあまりオススメしません』と正規ディーラーの担当者に言われたんです」とは、一部上場企業に勤める法人営業部長の山下紘一さん(52歳)。
山下さんが購入したのは、BMWの3シリーズセダン「320i MSport」(車両本体価格583万円)。このクルマはエンジン性能はさることながら、「OK、BMW」というウェイクアップキーワードで立ち上がる「BMWインテリジェントパーソナルアシスト」がウリ。これは音声対話型AI(人工知能)を取り込んだシステムで、ドライバーの発話で地点情報の検索やナビゲーション、温度調節など主要機能を操作できるというものだ。
ブランドカラーのブルーだが、意外にも売却時には安くなる
BMWのホームページを検索すると、山下さんが欲しかったというメタリックブルー(ポルマティオ・ブルー)の車体がモデルとなった画面が現れる。おそらく、このボディカラーが“ブランドカラー”として設定されているのだろう。実際、東京・豊洲の展示場にも同カラーの車体が展示されていた。
「ディーラーの担当者によると、売却時に有利なのはホワイトもしくはブラックとのことでした。中古車として売却する場合は、やはり市場のニーズ(需給)によって価格が異なるようで、場合によっては30万円近い差が出ることもあるのだとか。乗りつぶすつもりなら気に入ったカラーでいいのですが、売ることを考えるとやはり……。付き合いの長い担当者だったので、アドバイスを聞いてホワイトのボディカラーを選びました」(山下さん)
BMWにかかわらず、クルマのボディカラーによってリセールバリューは異なるのだろうか? 紹介制の完全予約型商談で高級車を販売しているREGAL MOTORSの清水隆也さんは言う。
「一般的にブラックもしくはホワイトのリセールバリューが強いのは事実です。これはBMWにも当てはまります。一方、BMWでは、紺やレッドは少し劣る傾向にあります。しかし、中古で購入することを考えれば、その分、同じ距離や年式の車両を安く買うことができますので、考え方次第だと思います。ボディカラーによるリセールの強弱は、メーカーや車種によっても異なることがあります。中にはレッドが人気のメーカーも存在します」
清水さんがメーカー別にボディカラーによる傾向、加えて、内装(革張りシートの色)についても指南してくれた。