高級食パンブームが到来してから既に5年以上が経ちましたが、未だ流行が衰える気配がありません。その理由は高級食パンがさまざまな観点から消費者のニーズを満たすものであることも影響しているとみられます。ブームの経緯と人気の理由を探ります。
高級食パンブームはどうやって起きた?
ベーカリー市場はここ数年、縮小傾向が続いています。調査会社のTPCマーケティングリサーチが2019年5月に発表したベーカリーチェーンに関する調査によれば、2017年度のベーカリー市場は前年比で2.1%減の4,756億円で、2010年度と比べると13.7%減となっています。
このようにベーカリー市場全体としては縮小傾向にあるものの、高級食パンは店舗数を増加させており、市場規模も拡大傾向にあると言われています。
高級食パンブームは2013年ごろから始まり、その火付け役は、銀座に店舗を構える「セントル ザ・ベーカリー」や、2017年と2018年に「Yahoo!検索大賞」の食品部門賞を連続受賞した大阪発祥の「乃が美(のがみ)」と言われています。
ちなみに全国展開している乃が美では主力の「生」食パンが1本(2斤)864円で、現在では同サイズで1,000円を超える高級食パン店も各地に存在します。大手コンビニでも2013年には高級食パンの販売が始まり、全国での人気を広げる伝道師的な役割を果たしました。
「レジャー感」「非日常感」「ギフト需要」がブームの鍵に
こうした高級食パンが人気の理由はいくつか挙げられますが、大別すると「レジャー感」「非日常感」「ギフト需要」の3つと言えるでしょう。
「レジャー感」というのは、高級食パンを買いに遠方から販売店舗まで出かけるという「小旅行」を楽しむような感覚のことです。高級食パンと言ってもほかのレジャーに比べればかかる費用は低めであるため、小トリップの中でも気軽に楽しめることが人気を後押ししていると言えます。
「非日常感」というのは、普段食べているパンの値段に少し金額をプラスするだけで、日常の中でラグジュアリーを楽しめるといった感覚のことです。仕事がうまくいったときや目標を達成できたときなど、自分へのご褒美として購入する人も少なくないでしょう。
そして最後は「ギフト需要」です。先ほど紹介したTPCマーケティングリサーチの調査でも、高級食パンブームについて「手土産・ギフト需要も取り込んでいる」と指摘されています。値段も高すぎず話題性もあるため、手軽なプレゼントとして今後も人気が衰えない可能性は十分にあります。
1世帯当たりの食パン消費は2年連増で増加
総務省の家計調査では、1世帯当たりの年間の食パン支出金額がまとめられています。2018年の食パン年間支出金額は1世帯あたり円で、ここ2年間は連続で増加しています。
ブームが始まる前の2012年は1世帯あたり7,002円で、6年間で551円増加したことになります。全品目を合計した総消費支出が近年は微減傾向にある中でも、食パンに対する支出金額がこうして増加していることには、高級食パンブームが少なからず影響していると考えられるでしょう。
2019年6月現在でも高級食パン店の開業は各地で相次いでおり、ブームが去る兆しはまだ見えていません。既に「高級クロワッサン」や「高級バゲット」なども登場しており、高級食パンの食パンに留まらない波及効果は、ベーカリー市場にとって大いに歓迎すべきことです。
次の「高級ブーム」はどの食品で起きる!?
こうした高級ブームはパン以外で今後起きてくることも考えられます。普段は比較的安く購入できる食品の中から、例えば「高級ポテトチップス」や「高級缶詰」などのブームが起きるかもしれません。続く高級食パンブームとともに、今後も注目していきたいところです。(提供:JPRIME)
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