2019年7月、1つ、日本にとって良いニュースがありました。教科書などでも有名な「仁徳天皇陵古墳」などの、百舌鳥・古市古墳群がユネスコ世界遺産の世界文化遺産として正式に登録されることが決まったのです。この古墳群のある堺市では、喜びの声が上がっています。

では、なぜ今回、百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に選ばれたのでしょうか。そもそも世界遺産とは何のためにあるのか。世界遺産を巡る動向について解説します。

日本で23番目の世界遺産

仁徳天皇陵古墳,世界遺産
(画像=PIXTA)

今年7月に、堺市にある百舌鳥・古市古墳群がユネスコ世界遺産として正式に登録されることになりました。今回選ばれた古墳群は、仁徳天皇陵古墳や、仲姫皇后陵古墳、履中天皇陵古墳、をはじめとした、60基(百舌鳥28基、古市32基)もの古墳群になります。この古墳群は、前方後円墳とよばれる、倭という国の独自の古墳であり、その中でも最も大きいものになります。今回、この倭という国を代表する遺跡群が、東アジア社会の交流や倭の文明をよく表しているものとして、世界遺産に選ばれたのです。

この古墳群が世界遺産に選ばれたことで、日本の世界遺産は23個になりました。2013年の富士山から、7年連続での登録になります。世界遺産に選ばれたことで、世界的にも知名度が向上し、観光客の増加等が期待されています。

そもそも世界遺産は何のためにあるのか?

しかしながら、そもそも、世界遺産とは何で、何のために選ばれているか、ご存知でしょうか。

世界遺産は、ユネスコで発行された、「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて、文化遺産や自然遺産を人類全体のための遺産として、保護・保存していくために、国際的な協力及び援助の体制を確立するために選ばれています。この世界遺産条約は、1972年のユネスコ総会で採択されていますが、日本がこの条約を締結したのは1992年になります。

世界遺産になるかどうかは、世界遺産委員会が決定します。各国が推薦した遺産を、「顕著な普遍的価値」を有するかどうかの基準で選びます。2019年7月現在、世界には文化遺産869件、自然遺産213件、複合遺産39件の、1,121件の世界遺産があります。世界で最も世界遺産が多いのは、中国とイタリアの55件で、日本は12位になります。日本の23件の内訳は、文化遺産19件、自然遺産4件になります。

今回、古墳群が選ばれた背景とは?

今回選ばれた古墳群ですが、ただ何もなしに選ばれたわけではありません。世界遺産に選ばれるには、ただ歴史的に意義があるだけでは不十分なのです。特に、世界遺産は、各遺産保有国が保護することを義務付けられています。そのため、管理体制というのも重要になってきます。

古墳群が世界遺産に選ばれるにあたり、堺市が、宮内庁、文化庁と協力して、しっかりとした保全体制をとっていることもポイントです。たとえば、巨大前方後円墳に対する視点場からの眺望景観を保全するために、建築物の高さや形態、屋外の広告物などを規制。かつ古墳の静寂さを感じられる落ち着いた景観の保全や巨大前方後円墳に近接する地域の景観のために、古墳の周辺地域は通常より厳しい規制をかけられています。このように、この遺産が今後きちんと守られていくことが実証されたことも、世界遺産に選ばれる一つの要因なのです。

世界遺産になった古墳群。観光資源としての魅力も高まる

これまで、古墳については、教科書で読んで知ってはいても、特に見に行くような対象ではなかったかもしれません。しかしながら、世界遺産になったことで、関心も高まり、観光資源としての魅力も高まることになるでしょう。せっかくの機会なので、これを機に古墳を訪れてみてはいかがでしょうか。(提供:JPRIME


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