2019年、改正動物愛護法が国会で成立しました。今回の動物愛護法では、ペットを殺傷した場合の厳罰化や、動物へのマイクロチップの装着の義務化などが盛り込まれました。ペットの頭数はここ数年1,800万~1,900万頭で安定しているものの、ペット市場の市場規模は年々増加傾向にあります。ペットを家族同様に扱う人が増えている中、今回の法改正を踏まえ、今後のペット市場がどのようになっていくかを解説します。

今回の法改正で、ペットの権利は守られるようになる

動物愛護法,改正
(画像=Maksym Azovtsev/Shutterstock.com)

2019年に改正された動物愛護法では、主に以下の点が変更になっています。

大きな目玉は、犬、猫にマイクロチップの装着を義務付けるという点です。マイクロチップを装着することにより、飼い主がペットを安易に捨てることを防ぐほか、災害などで迷子になった際、探すのに役立つようになります。

また、動物を殺傷した人に対し、5年以下の懲役または500万円以下の罰金を課すなど、動物虐待についても厳罰が課されるようになりました。さらに、出生後56日(8週)たっていない犬や猫の販売を原則禁止するなど、動物虐待の防止、ペットの保護に力を入れた法改正になっています。

よりペットが家族に近づいている?

今回の法改正により、動物がより家族に近づいたと言えるでしょう。しかし、この法改正以前に、動物はすでに、家族の一員になりつつあります。

ペットの数こそほとんど変わらないものの、ペットの市場規模は、年々拡大しています。2018年のペット関連市場規模は、約1兆5,400億円と、年々わずかではありますが成長しているのです。

背景にあるのは、高付加価値商品の拡大です。ペットが家族と同様に扱われるケースが増え、ペットフードなども進化しているのです。ドッグスナック類は、「犬の健康維持」というキーワードで、デンタルケア・オーラルケアの重要性が認識されつつあり、歯の健康や口臭ケアのために開発されたガム系商品が人気となっています。また、ペットの高齢化や小型犬人気から、噛む力が弱い犬向けに柔らか仕立てや小さめサイズの商品の投入が活発化しています。

さらに、低脂肪、減塩、無添加、国産など健康を謳った商品や、安心・安全を全面に出した商品なども人気。今やペットフードは、人間以上に気を使って作られているのです。

ペット保険の市場規模も右肩上がりだったり、災害時のリュック型ペットキャリーの売れ行きが好調だったりと、これまでのペット市場にはなかった商品も人気となっています。少子高齢化が進む中、今後もペットに対する支出は増えていくことが予想されています。

今後のペットビジネスはどうなる?

では今後、ペットビジネスにはどのようなチャンスがあるのでしょうか。

1つは、ペットビジネスのテクノロジー化です。例えば今、ペットのテクノロジー化といえば、GPSやウェブカメラを利用した「ペットを遠隔管理するテクノロジー」と、自動的にエサを与える「給餌テクノロジー」の2つが先行していますが、今後、心拍数や体温から、ペットが何を考えているか、今ペットに何が必要なのかが明確にわかるような、ペットとコミュニケーションをとれるテクノロジーが生まれてくるかもしれません。

もう1つは、ペットの承継でしょう。ペットの殺処分頭数は年々減少しているものの、まだまだその数は数万頭にも上ります。また、ペット、飼い主ともに高齢化し、ペットを最後まで飼えないケースも増えるでしょう。そういった人たちのために、「ペット承継」のビジネスが今後、生まれてくるかもしれません。

法改正を機に、さらにペットビジネスが盛り上がる

ペットビジネスは、消費が冷え込む中、数少ない将来有望なビジネスです。ペットの家族化が進むにつれ、今後新しいニーズ、新しい市場が生まれてくるでしょう。今、人間相手のビジネスも、ペットに転用できる日がくるかもしれません。(提供:JPRIME


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