米調査会社ニールセンによれば、ブランドロイヤルティの低さが世界における最新の傾向とのことで、その理由として「新興国における所得増加」や「アマゾン効果」が挙げられています。ニールセンの調査を紐解きつつ、変わるブランド志向の最新事情に迫ります。

全消費者の42%、新たなブランドを積極的に試す

ブランドロイヤルティ,低下
(画像=phloxii/Shutterstock.com)

ニールセンはブランドロイヤルティに関する調査を世界64ヵ国で実施し、その結果を2019年7月に発表しています。その結果によれば、調査対象となった全消費者の42%が新たなブランドを積極的に試すことに前向きで、好みのブランドに対する支持を表明したのは8%に留まるようです。

なぜこうした状況になっているのでしょうか。ニールセンはその理由について「新興市場における収入増加などが要因」とした上で、「新製品購入の際に新たなブランドを試すリスクが減少していると考えられます」と指摘しています。

ニールセンが公表している地域別の結果でも、ブランド変更に対する意向を示している消費者の割合では、確かに新興国が多いアジア地域が47%と最も多くなっており、アフリカ・中東も45%と高くなっています。一方で先進国の北米は36%、ヨーロッパは33%に留まっています。

こうしたブランドロイヤルティの低下は、ブランドを所有する企業やオーナーにとっては脅威であると言えるでしょう。

低下の一因ともあった「アマゾン効果」とは?

ニールセンは新興市場における収入増加のほか、「アマゾン・エフェクト(アマゾン効果)」もブランドロイヤルティが低下する一因となったと予測しています。

アマゾン効果とは一般的に、実店舗を持つ小売業者がアマゾンなどに代表されるネット通販業者に客を奪われるという現象のことを示しています。ニールセンはこのアマゾン効果についてさらに深く考察しており、EC(電子商取引)の普及が消費者の製品選択の意識とコスト意識を拡大させたことに着目しています。

さらに世界における傾向として、ブランドを選ぶ際にはコストパフォーマンスが最も重視されているということも指摘しています。調査結果によれば、世界の消費者がブランド選択の際に最重要視していることは「コストパフォーマンス」が39%となった一方で、「ブランドの知名度と信頼性」は28%に留まっているとのことです。

特に最近ではノーブランドの商品を扱う店舗なども増えてきており、消費者がコスパ重視で商品を選ぶ際のラインアップが充実してきていることも影響していそうです。

コスパを求める消費者傾向、より顕著になる可能性

ECで扱われる商品価格が今後さらに下がり、消費者がよりコスパの良い商品を一層探し求めるようになれば、ブランドロイヤルティの低下傾向はより顕著になっていくかもしれません。

EC業界では今後数年から十数年の間に先端技術を活用したイノベーションが起きる可能性が指摘されています。自動運転技術を活用した配送車両や配送ロボットが実用化されれば、結果的に人を使うよりも物流コストが下がり、通販で販売される商品の価格がいまより低くなるとみられています。

こうした先端技術の導入は地域によってもタイミングは異なりますが、ブランドロイヤルティに大きな影響を与える要因ともなり得ることとして、今後も注目していくべき事柄でしょう。

企業戦略にも影響か

消費者の傾向は多角的な視点で分析する必要があります。例えば気分転換を求めて「新しさ」を重視している消費者も地域によっては少なくないとされています。

いずれにしてもブランドロイヤルティに変化の兆候がみられる昨今、企業のブランディング戦略やマーケティング戦略も大きな方針転換を迫られるようになるかもしれません。(提供:JPRIME


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