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独身のまま老後を迎えることに、不安を感じる方は少なくありません。老後のお金の心配を解消するために必要なことについて解説します。
40代独身世帯の貯金事情
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2018年)」によると、40代の単身世帯の平均貯蓄額は657万円でした。「貯蓄1,000万円以上」が16.5%いる一方で、「貯蓄ゼロ」は42.6%です。
ごく一部の高額回答に引き上げられてしまう「平均値」より実感に近いといわれる「中央値」を同調査で見てみると、25万円となっています。40代は、今までしっかりと積み上げてきた方は額面が大きくなっているのですが、貯蓄ゼロの方も一定数いるという、「貯蓄できる人」と「貯蓄できない人」の差が激しい世代だということがわかります。
独身のまま老後を迎えるときの貯金額シミュレーション
現在40代で独身の場合、「生涯おひとりさま」も想定する必要があるかもしれません。この際、将来いくら必要になるのか具体的に考えてみましょう。
結婚費用、子どもの養育費用はいらない
「老後」「住宅」と並んで、人生の中で特に大きな費用がかかるといわれている「教育費」ですが、単身の場合、これはかかりません。産休や育休で収入が減ってしまうこともキャリアが断絶することもありませんし、子どものために広い家に引っ越す必要もないでしょう。
平均400万円以上かかるといわれる結婚費用もかかりませんし、現役世代の間は身軽な単身生活の方がお金を使わずに済むことが多いでしょう。
おひとりさま老後の注意点
おひとりさまが特に注意したいのは、老後に体調を崩したときです。多少貯金が少なくても、健康なうちは働いてお金を得ることもできますし、問題なく過ごせるかもしれません。
でも、病気やケガに見舞われたり、長引いて介護が必要になったり、認知症の傾向が出てきたりしたとき、身近で面倒を見てくれる親族がいないとなると、施設のお世話になる可能性が高くなります。施設によっては月数十万など高額の費用がかかることも……。
老後までにいくら貯金すればいい?
「年金だけでは老後2,000万円が不足する!」というニュースが世間をにぎわせましたが、そもそもこれは夫婦二人世帯で妻は専業主婦という前提ですし、本当に必要な金額は人によって全く違います。
毎月いくらくらい生活費をかけていますか?何歳まで働きたいとお考えでしょうか?今の仕事は、退職金がもらえる職場でしょうか?年金はいくらもらえる見込みか、知っていますか?
「よくわからない」という方から漠然とした不安を抱えている方も多いので、自分の場合はどうかということを、ぜひ一度具体的な数字を交えて考えてみましょう。
老後資金の求め方は「毎月の不足額(収入-支出)×12ヵ月×30年(60歳~90歳と仮定)」で、ざっくりした金額が出せます。仮に退職金が数千万円もらえる見込みで、受け取れる年金額が月15万円、普段の生活費も月15万円ということがわかれば、そこまで過度に不安がる必要はないかもしれません。
逆に、自営業など退職金がなく、もらえるのは国民年金だけで月5万円程度という方は、しっかりと老後に備えておく必要があります。
多少の臨時出費に耐えられる程度の資産を用意しておく、不足分を埋められるよう老後も働き続ける、病気や介護など働けなくなったときに備えられる保険に入っておくなど、自分の現状と不足額がわかっていれば、取るべき対策も見えてきます。
これから貯金を始める方におすすめの方法
現在、貯金がほとんどなく、これから貯金を始めていきたいなら、以下のような方法はいかがでしょうか。
面倒くさがりなら……貯金専用の口座を作る
普段引き落としなどに使う口座とは別に、ちょっと遠めの地方銀行などで新しく専用の口座を用意し、お給料が振り込まれる口座から毎月一定額を自動で振り込むように設定します。あとはその口座の存在を忘れるだけです。お勤めの会社に財形貯蓄制度があるなら、それを利用するのもいいですね。
どちらかというと、残高を都度チェックする習慣がない方や、遠くのATMまで行くのが面倒だという方の方がうまくいきます。最初の面倒くささだけ乗り越えれば、いつの間にか自動的にお金が貯まっているしくみが作れます。
「節約」が苦手なら……固定費を見直す
ちまちまと安いものを選んで買い物をしたり、自分へのご褒美を我慢したりすることが苦痛だという方は、スマートフォン代やインターネット利用料、保険料など毎月一定の金額を支払い続けている「固定費」を見直してみましょう。普段の生活水準は変えないまま、生活費だけ下げることができます。この方法であれば、家計簿をつけるのが苦手な方でも取り組めます。
つい使い過ぎてしまうなら……カード払いをやめてみる
どうしても使い過ぎてしまうという方は、浪費癖が直るまで、いったんクレジットカードの利用をやめてみるという方法もあります。荒療治ではありますが、その月の生活費を一括で下ろし、手元の現金が今月使える金額のすべてという状態にすれば、嫌でも買い物のたびに残金を意識して生活するようになります。
貯金以外の金融資産保有も考える
貯蓄額が多い人は、貯金以外に株式、投資信託などの金融資産保有率も高いという調査結果があります。「iDeCo」や「つみたてNISA」など初心者でも始めやすい制度もできたことから、老後に向けて少しずつお金のことを勉強しながら、自分で「自分専用年金」を積み立てておこうと考える方も増えています。
現時点である程度貯金がある方は、日々の堅実な暮らしはすでに実践できているはずなので、少しレベルアップして資産運用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
文・馬場愛梨(「貧困女子」脱出アドバイザー/ばばえりFP事務所 代表)/fuelle
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