前日については、米・7月ISM製造業景気指数が51.2と予想の52.0を下回ったことをきっかけに、米10年物国債利回りが一時1.9485%前後と7月5日以来約1カ月ぶりの低水準を付け、ドル売りが強まりました。また、トランプ大統領がツイッターで「9月1日から3000億ドル分の中国製品に10%の追加関税を課す」と表明すると、米10年物国債利回りが一時1.8746%前後と2016年11月上旬以来の低水準まで急低下したことにより、ドル円は107.261円まで下値を拡大しました。NYダウについても、一時310ドル超上昇していたものの、310ドル超下落の水準まで下落したことも、リスク回避の動きを活発化させたものと思われます。本日もドル売り、円買いの流れは継続しており、ドル円は一時107円を下抜け、106.855円まで下落しています。
トランプ大統領は、中国の通商面での対応に不満を表明しており、特に、米国の農産物を購入すると約束したことを反故にしている点を指摘しています。米国と中国は上海で閣僚級貿易協議を行ったものの、合意に達しませんでした。次回の会合は9月に米国で開催する予定ではあるものの、両国の溝が深まったままでの会合になることが想定されるため、通商協議については、難航を極まる可能性が高いと考えられます。
BOEは、金融政策委員会(MPC)で政策金利を現行の0.75%に維持することを決定しました。また、英国経済の2020年までの成長予測を下方修正(2019年が1.5%から1.3%へ、2020年は1.6%から1.3%へそれぞれ修正)したものの、この予測は「合意なき離脱」による影響を含んでいませでした。ここに、「合意なき離脱」想定が加味されるようなことになれば、さらにポンドが下落することを示唆しているため、引き続きポンドの上値は重くなることが想定されます。
今後の見通し
本日は、米雇用統計が予定されています。FOMCの内容、そしてパウエルFRB議長の会見にて想定以上にタカ派寄りのスタンスをとっていたことで、ドル円は上昇基調が強まるかと思われましたが、トランプ大統領の中国製品への追加関税のツイートにて、事態は一変しています。米雇用統計が弱い数字をはじき出すようなことになれば、米国の景気減速への「不確実性」が増大することで、追加利下げ懸念が強まり、ドル円は106円半ばから前半まで下落するリスクがありそうです。
また、トランプ大統領が米東部時間2日午後1時45分(日本時間翌3日2時45分)に、EU貿易に関して発表を行うとのヘッドラインが流れており、昨日の中国への追加関税の流れで、EUへも同様の発表があるのではないかとの懸念が強まっています。既に、ヘッドラインが出てきたと同時にユーロ売りが強まっていることもあり、内容次第ではリスク回避の円買いのみならず、ユーロ売りが顕著なマーケットになりそうです。
ユーロに関しては、戻り売りが機能しそうだ
1.1160ドルのユーロドルのショート、1.1020ドルの利食い水準から反発したこともあり、1.1040ドルにて利食い、手仕舞です。本日は米雇用統計が控えているため、それまでは様子見姿勢が強まりそうですが、ユーロの軟調さは継続する見通しであるため、1.11ドルまで戻りがあればショート、損切りは1.1140ドル、利食いは1.1020ドルに設定します。
海外時間からの流れ
FOMC後のドル堅調地合いを、一瞬にして吹き飛ばしてしまったトランプ大統領のツイートですが、本日の東京時間に今後はEUとの貿易を巡る何かしらの発表を行う旨が報道されています。既に107円割れの水準をドル円は示現していますが、106円台は買いオーダーとストップロスが混在しているので、106円台での滞在時間は長くなりそうですが、108円では売りオーダーも多数控えているとの報道もあるため、ドル円は戻りがっても107円台半ばから後半に限定されそうです。
今日の予定
本日は、英・7月建設業PMI、ユーロ圏・6月小売売上高、米雇用統計、米・7月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)、米・6月耐久財受注(確報値)、米・6月製造業受注(前月比)などの経済指標が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。