日本人が知らない「国際ニュースの核心」

中国,一帯一路構想
(画像=THE21オンラインより)

激動の国際情勢を、一段深く理解したい。そのためには、世界史の知識が欠かせない。この連載では、世界史を大きなストーリーとして捉える見方でおなじみのカリスマ塾講師・茂木誠氏が、現在の国際情勢の歴史的背景を、キーワードで解説する。

「ソ連(ロシア)の孤立」で成り立ってきた米中蜜月

米中対立の長期化が懸念されています。しかし両国は昔から仲が悪かったわけではありません。中国を植民地支配しようとした西欧列強や日本とは違い、一度も中国を侵略しなかった唯一の大国がアメリカなのです。

ただ一度だけ、中国がアメリカと敵対関係になったことがあります。1949年に中国が共産化し、朝鮮戦争で北朝鮮側についたときです。朝鮮戦争が休戦した後も、米ソ冷戦による共産圏(ソ連・中国・北朝鮮)との緊張状態は続き、ベトナム戦争を引き起こします。

ところが72年、ニクソン大統領が北京の毛沢東を訪問したことで、米中関係は劇的に改善されます。当時、ニクソン大統領は、ベトナム戦争の泥沼化に苦しんでいました。共産主義の拡大を招く懸念から、引くに引けない状況だったのです。

一方で、長大な国境線を共有するソ連と中国は、領土問題という火種を抱えていました。

そこでニクソン大統領は、米中が結ぶことでソ連を孤立させようと画策しました。米中和解の最大の狙いは、中国とソ連の間に楔を打ち込み、ソ連をけん制することにあったのです。