前日については、中国人民元が対ドルで1ドル7元台まで下落し、2008年5月以来11年3カ月ぶりの安値を更新しました。この中国人民元安が、中国政府の米国に対する対抗措置であると捉えられ、また、中国当局は元安を容認しているとも考えられています。トランプ大統領は「中国が通貨をほぼ史上最低の水準まで下落させた。為替操作だ」と批判しており、両国の対立激化は過激さが強まるばかりであり、引き続きリスクオフ要因として意識されるものと思われます。

この対立激化の最中、本日のアジア時間に米国が中国を為替操作国に認定したとの報道がされており、米中貿易戦争に加え、米中通貨安戦争という名目が加わっており、昨日のNYダウは一時960ドル超安を示現し、本日の日経平均株価も600円超安の水準まで株安になっています。また、米10年物国債利回りも時間外取引で低下しており、一時1.6738%前後と2016年10月上旬以来の低水準を付けています。ドル円は、一時105.526円まで下落しており、抜本的な解決策が出てこない以上、反発があっても、上値は限定的になりそうです。

為替操作国に認定された場合、相手国に通貨政策の見直しを求め、一年後に改善されていなければ、当該国で行われる新規投資への政府系金融機関の資金支援を禁止するなどの制裁が科されますが、すぐに制裁などが発動されるわけではありません。ただ、米国が中国を為替操作国に認定したことにより、休戦合意が崩れる可能性が残ったことはリスクとして残りそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日は、豪中銀(RBA)政策金利が予定されています。市場予想は1.00%の据え置き予想になっており、現時点での据え置き織り込み度は91.3%になっているため、据え置きが確実視されてます。ロウRBA総裁は、「欧州の銀行ほど利下げのスピードを早める必要はないと期待」、RBA議事要旨でも、「さらなる緩和を決定する上で、労働市場が特に重要となるだろう」との内容が公表されており、年内の利下げはあるものの既に市場は織り込み済み、ただ、早急な利下げの必要はないと読み取れるため、据え置き決定後は、一時的に豪ドルが買われる展開になるかもしれません。

注目された元の基準値水準では、中国人民銀行が基準値を6.9683元にすると公表したことを受け、急速にリスク回避の巻き戻しの動きが強まっています。また、日銀が短期国債買い入れオペ5,000億円(前回は2,500億円)を通知したことも、ドル円、クロス円の反発に寄与したと考えられます。日経平均株価が600円超安の水準から350円安水準まで回復し、海外市場の株価の軒並み反発していることから、あくまで上値は限定的にはなりそうですが、目先買い戻しの動きが強まりそうです。

今回の会合では、据え置き予想の豪ドルのロングに方向転換

1.1100ドルのユーロドルショート、1.1140ドルにて損切り、手仕舞です。急速なドル売りの動きになっており、現在のユーロドルは、1.1240ドル台まで上昇しています。対中制裁関税が引き続き意識されるようなら、ドル売りのマーケットは継続すると考えられるため、AUD/USD、0.6760ドルでのロング、利食いは0.6830ドル付近、損切りは0.6730ドル下抜けに設定します。

海外時間からの流れ

既に為替操作国に認定された中国ですが、注目の人民元の基準値レートは、6.9683元にすると公表し、節目の7元よりも元高水準だったため、米中通貨戦争への過度な警戒感は後退したとの見方から、ドル円を中心としたクロス円の買い戻しが強まっています。

今日の予定

本日は、豪中銀(RBA)政策金利、独・6月製造業受注、米・6月JOLT労働調査などの経済指標が予定されています。要人発言としては、ブラード・セントルイス連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。