老後に向けて、どんな準備をされていますか?「老後資金は〇〇円必要!」という話題を耳にして焦る気持ちを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。本当は、いくら必要なのでしょうか。リアルな老後資金のシミュレーションをしてみましょう。

老後資金2,000万円!私も貯めなきゃだめ?

老後資金,シミュレーション
(画像=PIXTA)

「老後に不足するお金は2,000万円」という話もありますが、老後に備える貯蓄額は、一概に決めることはできません。単身世帯と夫婦世帯、子供の有無など、世帯の人数や、支出の違いでもらえる年金額がそれぞれ違うからです。いつまで働くかでも、大きく変わりますよね。老後の必要資金を計算する前に、まずは現状の資産を整理してみましょう。

退職金ばかりをあてにしすることはできませんが、退職金制度があるかどうかも貯蓄計画に影響してきます。厚生労働省の「就労条件総合調査(2018年)」によると、退職金がある企業は全体の80.5%です。勤続20年以上で定年退職した場合の退職金の平均額は、高卒(管理・事務職、技術職)で1,396万円です。ただし、同調査の2013年には1,673万円となっており、300万円程度もらえる退職金が減っていることが分かります。

保険会社の個人年金保険や会社の財形貯蓄などでお金を貯めている方もいらっしゃると思います。「気づけば意外と貯まっている」ものなので、忘れず預貯金と合計して「総資産」を出してみましょう。

自分の老後資金目安はシミュレーションできる

現在の総資産が分かったら、老後生活のシミュレーションをしてみましょう。金融機関などのHPにあるライフプランシミュレーションサイトや家計診断サイトを使うと、簡単に老後の不足額が分かるようになっているのでオススメです。必要項目を入力するだけで、老後の不足額や資産がマイナスになる時期が表示されるようになっています。

シミュレーションサイトの費用は無料で、会員登録なども不要なものが多く、誰でも気軽に利用できます。一度シミュレーションしても状況が変わることもありますが、その都度やり直すことができるのも、うれしいポイントです。

老後資金のシミュレーションに必要な項目

老後資金のシミュレーションに必要なのは、年齢(もしくは年代)や家族構成、持ち家の有無、退職金の見込み額、現在の預貯金、収入や支出の他にも、生活スタイルや車の買い替えやリフォームなどのライフイベントもあります。個人の状況に応じたシミュレーションができます。

年収に関しては、手取り年収か税込み年収かは、サイトによって違うので気を付けましょう。手取り年収の場合は、給与が振り込みされている銀行の入金額をチェックし、税込み年収の場合は源泉徴収票の「支払金額」を見てください。

将来受け取る年金額は、毎年誕生月に郵送されてくる「ねんきん定期便」が参考になります。

ねんきん定期便には、現在の納付額に応じた受給見込み額しか書かれていません。例えば20年加入していて、あと20年加入する予定であれば、書かれている見込み額の2倍の額を入力しておきましょう。

住宅ローンに関しては、借り入れの金融機関から送られてくる「返済予定表」をチェックしてみてください。

老後資金シミュレーションの注意点

老後資金シミュレーションは、10年、20年先のシミュレーションとなるので、状況が大きく変わることも想定されます。例えば病気やけがで収入が減ったり、治療費がかかったりすることもあるでしょう。また、物価の変動で将来の年金額や物の値段が変わることもあります。

シミュレーションでは、変動要因を加味することができないので、一度シミュレーションしてもそれで終わりにならないよう、定期的にシミュレーションしましょう。

また、金融商品や金融サービスを扱う企業が運営しているシミュレーションサイトの場合は、シミュレーション結果から商品の勧誘に誘導されることもあります。老後資金を貯めるために、金融商品を購入することは悪いことではありませんが、安易に契約することは危険です。老後の不足額は変わったけど、どう対策してよいか分からない場合は、ファイナンシャルプランナーなどのお金の専門家に相談することも一つの手です。

シミュレーションで問題点を洗い出そう

老後の不足額が明確になることで、貯蓄目標に向かって家計を改善したり、お金の貯め方を工夫したり……。将来の家計資産の増減を見える化することで、問題点が発見でき、行動するきっかけになります。

月々1万円の貯蓄を20年続けると240万円。3%の運用利回りで積み立てすると元利合計は320万円となります。老後生活の心配を少なくするために、まずは1万円からでも将来のための貯蓄を頑張ってみませんか。

文・冨士野喜子(ふじのFP事務所所属)/fuelle

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