前日については、注目の人民元の基準値レートは1ドル=7.0039元となり、7元のレッドラインを上抜け、2008年来の元安水準になりました。ただ、一部報道では市場予想よりは元安設定ではなかったとも報じられており、基準値レート公表後は、ややリスクオンに傾きました。そして、本日の基準値レートは1ドル=7.0136元となり、前日よりも元安設定になりました。ただ、予想中央値が7.0158元だったことで、連日レッドラインの7元を上抜けているものの、影響は限定的となっています。
ユーロドルについては、「独政府は気候変動対策で新規国債発行を検討」との報道が引き金となり、独長期債が下落し、ユーロ買いが強まりました。また、トランプ大統領がドル高を嫌気する発言をしたことも、ユーロ買いドル売りの動きを強めたと考えられます。ただ、イタリア連立政権を構成する「五つ星運動」と「同盟」との間の対立が深まる中、サルビーニ伊副首相(同盟党首)が「伊政府はもはや過半数ではない」「総選挙を実施する必要がある」などと発言したことが嫌気され、ユーロドルは1.1230ドル付近から1.1180ドル付近まで下落しました。
中国・7月貿易収支は市場予想3,100.0億元の黒字に対して、3,102.6億元の黒字になりました。ほぼ市場予想通りだったこともあり、市場への影響は限定的になりました。今年1月から6月までの中国の対米貿易黒字は、1,404億ドルとなり、昨年同時期の1,340億ドルから増大しており、トランプ米政権による対中制裁関税が米中貿易不均衡を是正できていないことが示されていましたが、一旦問題は先送りされたと考えられます。焦点としては、一部通信社が報じた、「米国は華為技術(ファーウェイ)と取引再開のライセンス決定を先送りする」点にありそうです。中国の米農産品輸入停止を受けた措置だと考えられますが、引き続き報復合戦が続くそうであれば、ドル円、クロス円の上値を抑えることになりそうです。
今後の見通し
日本銀行は、中期ゾーンと超長期ゾーンの国債買い入れを同時に変更するオペを実施しました。金利差が逆転している中期債の歪みと、超長期債主導で利回り曲線のフラット化が進んでいることに反応したと考えられます。また、残存期間1年超3年以下の国債買い入れを増額した一方、3年超5年以下、10年超25年以下の国債買い入れを減額しました。影響は限定的ではありましたが、フラット化解消に向けての施策と考えるのであれば、中期的にはポジティブな材料として意識されるのではないでしょうか。
ジョンソン英首相は、英国議会は2016年の国民投票の結果を尊重する必要があるとの考えを改めて示しました。ジョンソン英首相は、EUとの合意があろうがなかろうが、10月31日にEUを離脱するという構えを崩しておらず、議会で内閣不信任案が可決された場合でも、確実にEUを離脱できるように、辞任を離脱後に延期すると報道されています。また、徐々に落ち着きを取り戻しつつある状況ですが、未だに先行き不透明感が拭えない米中貿易戦争に加え、ブレグジットの不透明感が加算されるようだと、次第にポンド独歩安の動きに移行するかもしれません。
ユーロドルはテクニカル重視で考えれば、1.1250ドルショートが機能しそうだ
1.1250ドルがユーロドルの上値目途として引き続き意識されているものの、ポジションメイクには至っていません。ただ、このラインはテクニカル的には重要視される水準であるため、引き続き戻り売り戦略は継続です。1.1250ドル付近での戻り売り戦略、利食いは1.1130ドル、損切りは1.1300ドル上抜けを想定します。
海外時間からの流れ
豪準備銀行(RBA)四半期金融政策報告では、「経済成長の短期的なリスクは下方向」とし、2019年12月までのGDP見通しを2.75%から2.50%へ下方修正しました。また、ロウRBA総裁が「量的緩和検討のために金利をゼロに限りなく近い水準に下げる必要があるだろう」と更なる利下げを示唆したこともあり、市場予想を超える50bpの利下げを行ったNZ中銀と共に、オセアニア通貨は上値の重い地合いが継続しそうです。また、バスカンドNZ準備銀行(RBNZ)副総裁が「さらに利下げする幾分の可能性がある」との発言を行っていることも、意識されそうです。
今日の予定
本日は、独・6月貿易収支/6月経常収支、トルコ・6月経常収支、英・第2四半期GDP(改定値)、米・7月生産者物価指数、加・7月失業率などの経済指標が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。