老後2000万円問題への対処法として、にわかに注目されているのが投資だ。なかでも「不動産投資」が気になるという声も多い。基本的に初心者が不動産投資をする場合、「不動産投資会社」を利用するものだが、会社選びを失敗すると、利益が出ないどころか赤字になる可能性も高まる。そこで今回は、不動産投資会社の基本知識や選ぶポイント、おすすめの会社を紹介しよう。

不動産投資会社とは?

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(画像=PIXTA)

不動産投資とは、簡単にいえば「不動産を購入して他人に貸すことで家賃収入を得る投資」のことを指す。基本的に家賃収入は毎月安定的に入ってくるし、しかも相応にまとまったお金が入ってくる訳だ。上手くいけば、最終的には家賃収入だけでの生活も可能となるだろう。

しかし不動産投資も投資の一種であり、リスクはつきもの。そんな簡単に理屈通り儲かるばかりではない。どの不動産を購入すればいいのか、購入資金はどうするのか、借り手がつかない時はどうするのか……始めるときにも投資中も、じつにさまざまな問題や悩みが発生するものだ。

そんな問題に対して、適切なアドバイスやサポートをしてくれるのが「不動産投資会社」である。いわば不動産投資をするうえでのパートナーといえるだろう。

ただし投資会社も一律ではない。規模や実力の差はもとより、あなたの心情や利益を優先する姿勢があるかどうかもさまざまといえる。もしかしたら、悪徳な不動産投資会社もあるかもしれない。だからこそ不動産投資をするときは、つきあう会社を慎重に選ぶことが大切だ。

不動産投資会社に依頼する理由

不動産投資をするにあたって、必ずしも不動産投資会社に依頼する必要はない。あなたに十分な知識や経験、資金や時間があるなら自分一人で投資することも可能だ。不動産関連の会社に長年勤め、定年退職して時間とお金を持て余しているのなら、自分でやるのもいいだろう。

しかし、そういう人以外はどうだろうか? 現役サラリーマンなら、不動産投資のための勉強をする時間すら確保することも難しいだろう。仮にそんな時間を確保できても、確保した分だけ今度は本業が疎かになってしまう。既婚者なら、家族との交流を失うことになるだろう。

それに、不動産投資は「初期投資が極めて高額」という特徴がある。数万円程度から始められる株式投資などと比べ、お金の準備も大変だが、失敗したときのリスクが大きい。失敗しながらカラダで覚える訳にもいかないため、できるだけ最初から失敗は避けるべき投資だ。

最初から失敗を避けるためには、やはりプロが傍にいたほうが無難ではないだろうか。プロがいても成功する保障はないものの、初心者が一人で始めるよりはるかに失敗しにくくなるといえる。「不動産投資会社に依頼するかどうか」には一考の余地はあるが、初回はどこかに依頼するという前提で、いろいろな会社を調べてみよう。

不動産投資会社に依頼するメリット・デメリットは?

不動産投資会社に依頼するメリット・デメリットを簡単に比較すると、以下の通りとなる。

依頼するメリット 依頼するデメリット
勉強や情報収集の大幅な省略 報酬が必要
集客や物件管理のサポート 不良物件を掴まされる可能性
銀行等との交渉サポート
客観的かつ頼れる相談相手

不動産投資会社に依頼するメリット

以下、一つずつメリットを詳しく解説する。

・勉強や情報収集の大幅な省略
不動産投資も投資の一種である以上、膨大な勉強は欠かせない。その勉強に必要な時間は、人にもよるが「最低でも数年」は必要になるだろう。また不動産投資をしている最中にもさまざまな問題が発生するものだが、ひとつの事例に対するノウハウ構築にもまた多大な時間が必要となる。

不動産(投資)は、他の投資対象に比べて「同じ(投資)対象がひとつとして無い」という特徴がある。似た不動産を探すにしても、かなり数が限られている。このため、どうしても情報収集力が投資のカギとなるのだが、どうしても初心者の個人では限界があるといえるだろう。

不動産投資会社に依頼すれば、どちらも大幅な省略が可能だ。もちろん個人的な勉強や情報収集は必要になるが、足りない部分は補ってくれる。不動産投資会社も万能ではないが、それでもあなたが一人で一から実力をつけるよりはるかに効率的だろう。

あなたが会社員なら、日中は会社にいなければならないだろうし、既婚者なら家に帰ったところで一人になれる時間も限られているはずだ。勉強や情報収集に、一体どこまで時間を使えるだろうか。本業や家族を大切に思う人ほど、その他の部分は効率的に進めていくことをおすすめする。

・集客や物件管理のサポート
不動産投資のリスクの一つに「空室」があげられる。誰かに不動産を借りてもらわなければ、賃借料は入ってこない。自分で顧客を探し集められるならいいが、難しいことがほとんどだ。仮に一度は対処できても、その人が永遠に借りてくれる訳はないので、大家になれば常につきまとう課題となる。

また仮に誰かが借りてくれたとしたら、今度は管理が必要になる。家賃の集金や管理はもとより、物件の清掃やトラブル対応、破損の修理も必要だ。全てを自分でやるのは時間的にも技術的にも不可能だろうし、担当してくれる各業者を探すだけでも一苦労である。

その点、不動産投資会社に依頼すれば、集客から後の管理まで全てを任せることが可能だ。前半の集客に関しては、どんなに努力してもなかなか入らない時もあるが、その時でも最大限の努力をしてくれる。なかにはサブリース契約で対応してくれる場合もあるので、初心者には心強いだろう。

後半の管理については、実際に自分でやってみるとありがたみが分かるかもしれない。自分でやるのも大変だが、担当してくれる業者を探すのもかなり骨が折れるからだ。必要になってから業者を探すわけにもいかないので、やはり最初から基本的な業者と組んでいる不動産投資会社に依頼したほうが無難である。

・銀行等との交渉サポート
多くの人は、不動産投資を始めるとき、銀行から融資をうけて不動産を購入する。しかし、そんな簡単に銀行は融資をしてくれず、仮に融資してくれるにしても不利な条件を提示されることもある。不利な条件であるほどに、最終的に利益も出にくくなってしまうわけだ。

銀行ではなく、不動産の持ち主や地主などと交渉する必要も場合によって出てくるだろう。 そもそも交渉の席についてくれないこともあるし、ついてくれてもやはり不利な条件を持ち出されることもある。少しでも有利な条件で取引したいのはお互い様だし、当然といえば当然だ。

このような苦労を避けるためには、不動産投資会社に依頼すればいい。交渉を完全に代行してくれる事もあれば、同席してくれることもあるし、書類だけでも揃えてくれることもある。大半の会社員なら交渉など未経験だろうし、極めて心強いといえるのではないだろうか。

ちなみに交渉というのはノウハウの一種なので、そもそも初心者が最初からできるようなものではない。条件うんぬんの前に、そもそも「何をどうしたらいいのか分からない」のではないだろうか。まさしくそういった初心者は、素直に不動産投資会社に依頼すべきだろう。

・客観的かつ頼れる相談相手
あなたは今まで、「誰かに相談したい、してみたい」と思ったことはないだろうか? 例えば会社を転退職するとき、結婚や離婚するとき、マイホームを購入・売却するとき……。こういった「重めの決断」が必要なときほど、人は誰かに相談したいと思うものだ。

それに、このような決断に「絶対的な正解」は存在しないし、どちらの選択肢もハズレということも往々にしてある。一人で考えていれば、どうしても視野が狭くなるし、正解を選んだつもりでもなかなか自信が持てないものではないだろうか。そんなとき、相談相手の存在は非常に貴重なものとなる。

不動産会社に依頼すれば、まさしく「貴重な相談相手」を得られることになる。しかも、相手は「不動産投資のことを十分に知る存在」だ。初心者に比べれば選択も確かなものであるし、第三者だからこその客観的な立ち位置から冷静なアドバイスをくれるはずだ。

もちろん不動産投資会社のアドバイス通りに動いても、失敗することもあるだろう。あくまで決めるのはあなたであり、成功しても失敗しても自分に返ってくる。しかしだからこそ、参考であってもプロの意見は貴重なものではないだろうか。

不動産投資会社に依頼するデメリット

以下、一つずつデメリットを詳しく解説する。

・報酬が必要
いうまでもないが、不動産投資会社というプロに依頼する以上、報酬は必ず必要になる。報酬の取り方や金額は会社によるが、全てを自力でするより当然利益率は落ちることになるわけだ。報酬も含めて、不動産投資全体の損益計算をするといいだろう。

これを「必要経費」と考えるべきともいえるが、デメリットといえばデメリットである。この報酬は、基本的に結果がマイナスであっても発生するので尚更だ。ちなみに報酬が安い会社のほうがいいとも言い切れないので、そういう意味でも注意が必要といえよう。

・不良物件を掴まされる可能性
初心者ならば、業者に支払う報酬よりも、むしろ不良物件を掴まされるというデメリットを警戒すべきだ。不動産会社もさまざまで、なかには自社利益を優先したいあまり、あえて損しやすい不動産を「掘り出し物」として紹介したりする会社もある。

とはいえ、初心者には物件の真偽などなかなか分からない。不動産投資会社が優良物件であると思って提案してくるものでさえも、結果的に不良物件になってしまったようなケースさえある。また会社は優良でも、たまたま担当者が不良社員だったケースもあるかもしれない。全ての結果は自分に返ってくるからこそ、依頼先は慎重に選びたいものだ。

不動産投資会社を選ぶポイント

不動産投資会社を選ぶポイントもさまざまあるが、特に初心者は「実績数・資本金・上場状況」あたりをみるといいだろう。以下、一つずつ詳しく解説する。

実績数

実績数とは、文字通りの販売や建築の実績、あるいは入居率平均などがあげられる。その数字が高く多いほどに実績を積み上げていることになるので、その分の実力やノウハウ、信頼も担保されていると考えられるだろう。最近なら、「良い口コミの数」も、考慮に入れてもいいかもしれない。

並行的に「(無料)セミナーや相談会の数」も参考になりうる。それを多く開催しているほどに参加者の知識向上や不安減少を意図していたり、ひいては「相談者のことを考えている」といえるためだ。販売機会の増大につながる側面もあるが、それも含めて実績と考えてみよう。

資本金

資本金とは「会社規模」のことを指す。簡単にいえば、多く大きいほどに「倒産しにくい」といえるわけだ。ただでさえ不動産は大きいお金が動くからこそ、体力のない会社は生き残りにくい。どうせなら長くつきあえそうな体力のある会社に依頼するといいだろう。

並行的に「社歴」や「従業員数」も参考になりうる。歴史が長く、多くの従業員がいるほどに「大手」といえる。もちろん長ければ、多ければいいというものでもないが、短く少ないよりは信頼できるのではないだろうか。資本金とともに、しっかり会社の状況を把握して比較検討しよう。

上場・非上場

上場・非上場は分かりやすいのではないだろうか。シンプルに上場企業と非上場企業を比べれば、上場しているほうが「企業としての信頼感や健全性を担保できる」といえる。非上場企業がダメという訳ではないが、分別がつかない初心者なら、素直に上場企業を選ぶべきだ。

直接的な上場・非上場ではなく「あなたが知っているか否か」も十分な判断根拠になりうる。家の近所にある、または知人が勤めている、CM等を見たことがあるなど、知らない会社より安心できるのではないだろうか。多角的にみて、最終的にどこに依頼するかを考えよう。

おすすめの不動産投資会社5選

参考までに、筆者のおすすめする不動産投資会社を紹介する。以下、それぞれ特徴を解説するので、どうしても依頼先に悩んだときには参考にしてほしい。

RENOSY

RENOSYは2013年に創業した若い会社が運営する中古不動産流通プラットフォーム。新しい会社だからこそITを駆使し、「テクノロジー×イノベーションで人々に感動を」を理念に掲げている。スマホひとつでさまざまな情報収集や不動産管理をサポートしてくれるあたり、まさに「イマドキの会社」ではないだろうか。

正式な会社名は「株式会社GA technologies(ジーエーテクノロジーズ)」、資本金は1億円で、従業員数は370名。東京と大阪、名古屋にそれぞれ営業拠点を持っている。

https://www.renosy.com/

大東建託

大東建託は、ひとまず名前だけなら聞いた事がある人も多いのではないだろうか。設立は1974年と古く、一部上場企業でもある。さまざまな不動産の建築から管理まで幅広い分野に対応している。まさしく「大手の一角」といっても差し支えない企業だ。

資本金は圧巻の290億6000万円で、従業員数は9000名以上。全国津々浦々に営業拠点を持ち、さらに多数のグループ企業も抱えている。背景だけなら、かなり初心者でも安心できるのではないだろうか。

https://www.kentaku.co.jp/

生和コーポレーション

生和コーポレーションは、どちらかといえば「SEIWA」のほうが有名かもしれない。設立は1971年と、大東建託よりも古参だ。ただし上場はしていない。しかしここも不動産の設計から管理まで幅広い部分に対応している。やはり「大手の一角」といえる企業だろう。

資本金は20億円で、特に関西・関東・中部・九州の4大都市圏に集中して営業拠点と施工実績を持っている。あなた自身の事情によっては、かなり選択肢に入れやすいのではないだろうか。

https://www.seiwa-style.jp/

アイダ設計

アイダ設計は、「常に正直価格でお客様と向き合う」と謳っており、日本マーケティングリサーチ機構による2018年10月期の調査では、価格満足度・自由設計満足度・お客様満足度の3部門ですべて1位と3冠を達成している。低価格からこだわりの不動産まで、とにかく「自分好みの不動産」で投資したい人にはうってつけだ。

設立は1981年で、資本金は2億1632万円。従業員数は約1000人。全国94ヶ所に事業所も持っている。不動産投資だけでなく、マイホーム購入の際にも考えてもいいかもしれない。

https://www.aidagroup.co.jp/

アイケンジャパン

アイケンジャパンは、とにかく「アパート経営」に力を入れている。設立は2006年と比較的最近だが、アパート経営に特化する形で売れている会社だ。そして「安定した収入を得ながら資産形成ができるアパート経営」を理念としているため、顧客目線も高いといえるだろう。

資本金は5000万円。全国9か所に営業拠点も持っている。一部屋ではなく「積極的にまとまった不動産投資をしてみたい」方にはうってつけだ。

https://aikenjapan.jp/

不動産投資会社を利用して不動産投資を成功させる

不動産投資は、「どの不動産を選んで、どう運営するか」が極めて重要だ。そのためには、どの不動産投資会社を選ぶかが肝となる。初心者であっても一人の投資家に、そして「大家」になるのだから、責任感を持ち、その重圧を分かってくれるパートナー会社を選んで不動産投資を成功させていこう。(ZUU online 編集部)