不動産投資というのは「実物がある」という点で、他の投資とは大きく違う。違いを理解しないままに他と同じ感覚で投資していると、思わぬ罠に陥ってしまうことも多々あるのが実情だ。一方で、実物があるからこそ、違うからこそのメリットもある。そこで今回は、不動産投資の初心者が知っておくべきポイントを絞って解説していこう。

不動産投資の初心者が知るべきポイントは?

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(画像=PIXTA)

不動産投資の初心者が知るべきポイントとは、「どうやったら多く稼げるか」ではなく、その前段階である。そもそも不動産投資とはどういうものなのか――このあたりを相応に理解するほどに、また基礎知識を高めるほどに、実は最終的に多く稼げるようになるのだ。

そこで次の章から、不動産投資初心者に大切な基本について、一つずつ詳しく解説しよう。

実質利回りと表面利回り

「利回り」とは、いわゆる「利益率」のことを指す。他の投資でも一般的に使われている言葉だが、不動産投資には表面利回りと、実質利回りの2種類ある。

表面利回りとは、文字通り表面的な利益率を表し、「年間賃料÷物件価格×100」で計算する。簡単にいえば「諸経費を考えない計算結果」だ。不動産投資の募集チラシ等では、こちらの表面利回りが掲載されていることが多い。

実質利回りとは、文字通り実質的な利益率を表し、「(年間賃料-諸経費)÷(物件価格+購入諸経費)×100」で計算する。実質利回りのほうが実態を表すわけだが、諸経費の事情は毎年のように変わり、しかも物件毎に違う。このため、まずは表面利回りで良さげな物件を探し、次にその物件の実質利回りを計算してみて判断する流れがいいだろう。

参考までに、年間賃料100万円(諸経費10万円)、物件価格1000万円(諸経費100万円)なら、それぞれ以下のような数字になる。

・表面利回り:100万円÷1000万円×100=10%
・実質利回り:90万円÷1100万円×100=8.18%

表面利回りでは劣っていても、実質利回りでは上回る物件も多々ある。初心者のなかには表面利回りのみで判断して失敗する人も多いため、ちゃんと実質利回りまで計算して判断することをおすすめしたい。

生命保険代わりになる

銀行のアパートローンなどで不動産投資をしている場合、それとあわせて「団体信用生命保険」に加入する人が多い。この保険は、簡単にいえば「亡くなったらローンがチャラになる」というものだ。そのうえで不動産(ひいては賃貸料)は遺族に残るため、一種の生命保険とも考えられる。

最近では亡くなったときだけでなく、がんや3代疾病にかかったときでも対応できる団体信用生命保険もあるため、その分だけ通常の生命保険を減らせる余地も出てくる。仮に現金で購入していても、やはり不動産は目に見える形で残るため、遺族としても大きな安心につながるだろう。

他の投資に比べて資産の安全性が高い

例えば株式投資なら、対象の会社が倒産すれば価値はゼロとなる。しかし現物の不動産投資なら、たとえ投資としては失敗しても、不動産そのものは手元に残るため、そういう意味で安全性が高いといえる投資手法だ。盗まれる心配が低い点も嬉しい特徴といえるだろう。

この安全性は、そのまま「信用力」にもつながる。貯金などと違い、不動産は誰からもみえるうえに不動だからこそ、「この人は経済力がある」とみなされ、さらなる融資も応じてもらいやすくなるわけだ。インフレで物価が上がれば、そのまま不動産価値も上がる点もメリットといえよう。

不動産投資は少額からでも可能

不動産投資は、他の投資手法と違って「ローンが活用できる」という特徴がある。このため、仮に現金としては100万円程度しか用意できなくても、何千万円もの不動産を購入して投資することも可能だ。その分ハイリスクではあるが、同様にリターンも狙えることになる。

ちなみに会社員は、「毎月安定的に給料が入る」ため、ローンを組みやすいという特性がある。あなたが会社員なら、不動産投資はうってつけの投資手法といえるかもしれない。

年収が低いうちに始めるべき

例えば、仮に月5万円の家賃収入があるとしても、年収300万円の人と年収1000万円の人では、重みが違ってくる。また、家賃の金額は相応に「不動産価格」に影響されるため、年収が高い人ほど満足な家賃収入を得るには、より高額な物件を買い、より大きなリスクを取らなければならなくなる。

そもそも、現代は「収入が上がりにくい時代」だ。年収が上がってからと考えていては、いつまでも投資することはできないだろう。それよりも、「年収を上げるための自助努力」として不動産投資を考えたほうが賢明ではないだろうか。

不動産投資を成功させるための秘訣は?

不動産投資も投資の一種だからこそ、「こうすれば絶対稼げる」などといった裏技めいたものは存在しない。そんなものを謳う業者やチラシがあるとすれば、ほぼ確実に詐欺だろう。意外と初心者のなかには、本気でそういったものがあると信じている人もいるので、先にクギを刺しておく。

ただ、「少しでも成功率を上げる方法」ならある。そしてその方法とは、どれも泥臭く地味で地道な方法だ。結果が実るまで何年もの時間が必要になるだろう。しかし、実際に何年もの努力を重ねた先にこそ「成功」はあるものだ。ぜひ、そう考えてくれることを期待する。

次の章から、そんな「少しでも成功率を上げる方法」を一つずつ伝えていこう。

情報収集を欠かさない

これは文字通りの情報収集というより、「検索ではなく実際に物件を見にいく」といった意味合いだ。インターネットの普及で簡単に情報が得られる時代になったが、だからこそ情報収集を検索だけで済ませた結果、失敗する初心者が後を絶たない。ここはしっかり注意しておこう。

また不動産は、単一で勝手に変化するものではなく、経済や地域の流れと密接に関係する。今後の経済動向はどうなのか、対象地域の人の流れはどうなりそうかなど、そのあたりを見越してシミュレーションすることが大切だ。たくさん見て、何度も考え、自身の投資力を向上させていこう。

「生」の情報を仕入れる

実際の物件を見にいくのも当然だが、他にも物件の隣近所に住んでいる人に話を聞いたり、物件周辺を見て回ったりすることも大切だ。やはり実際に足を運んでみると、検索とはまた違った一面が見えることも多い。そうして「生の情報」を元に、投資するか否かを考えよう。

「生もの」というのは鮮度が短い。今日の情報が、明日には違っていることも往々にしてあるものだ。だからといって毎日足を運ぶのも非現実的だからこそ、「信用できる協力者」を得ることも大切といえる。電話一本で生の情報を得られる連絡網を構築するといいだろう。

アンテナを高く張り環境にも注意を向ける

初心者なら仕方ない側面もあるが、そもそも投資対象となる不動産は検索で探すばかりではない。中には不動産を売りたい気持ちはあるものの、検索サイトに載せていない人も相応にいるものだ。そういう情報を得られるよう「人脈」というアンテナを高く広く持つことも不動産投資には重要といえる。

ときには政治的な事情や自然災害などで不動産が動くこともある。例えばオリンピックが開催されるなら周辺のホテル需要は増すし、自然災害が起これば土地を離れたくなる人も出てくる。不動産は生身の人間が住むために必要だからこそ、生身の人間の動向を左右する情報や環境の変化に敏感になろう。

初心者でも不動産投資を成功させる

不動産投資は、究極的に「不動産を購入して安定的に賃借人が付けば成功」となる。けして初心者にも敷居が高いわけでもないし、十分に成功の余地はあるといえる。しかしそれでも、ラクに簡単に稼げる投資でもない。ぜひ初心者でも一人の投資家として、努力を重ねて成功してくれることを願う。(ZUU online 編集部)