一般的に、不動産投資では契約時に「手付金」を支払います。手付金にはいくつか種類があるため、契約時に内容をよく確認しておくことが大切です。手付金の相場や、頭金・手数料との違いについて説明します。
■不動産投資の「手付金」とは?契約時に確認すべきポイントを解説
手付金とは、契約が成立する前に契約の意志がある証明として、買主が売主に預けるお金のことです。不動産投資では、契約時に手付金を支払うのが一般的です。
手付金には (1)解約手付(2)違約手付(3)証約手付があります。一口に手付金といっても、種類によって意味合いが異なるため、契約時によく確認しておくことが大切です。
(1)解約手付とは、契約が成立しなかった場合について定めた手付金のことです。買主側の都合で契約が成立しなかった場合、買主は手付金を放棄します。売主側の都合で契約が成立しなかった場合、売主は手付金の倍額を買主に支払わなければなりません。
2)違約手付とは、契約違反があった場合に損害倍書とは別に没収される手付金のことです。買主側が売買代金を支払わない、売主側が物件を引き渡さないといった事態が起きた場合、違約手付は没収されます。売主側の契約違反については、手付金の倍額を買主に支払わなければなりません。
(3)証約手付とは、単に契約の成立を証明するための手付金です。証約手付のみの場合、金額は少額に設定されることがほとんどです。しかし、実際には解約手付や違約手付として手付金が設定されるケースがほとんどで、証約手付のみという場合はあまりありません。
解約手付であれば、手付金を支払っていた場合でも、より条件の良い物件が出てきた際に手付金を渡すことで契約を解除できます。とはいえ、契約の話が具体的に進んでからの契約の解除は、信用をなくしてしまうことにもなりかねないため、十分注意しましょう。
手付金については、売買契約の重要事項説明に記載されています。契約によって解約手付であったり違約手付であったりと取り扱いが異なるため、どの手付金に該当するのか必ず確認しておくようにしましょう。
■手付金の相場や支払うタイミングを理解しよう
手付金は定額で設定されていることもあれば、売買代金の5%や10%といったように割合で設定されることもあります。手付金は売主・買主の双方の合意の上で設定しますが、売主が不動産業者の場合、上限は20%と定められています。
参考までに、投資用のワンルームマンションでは、手付金の相場は10万円といわれています。
不動産投資で手付金を支払うタイミングは、売買契約が成立した時です。その後、物件の引き渡し時に手付金は売買代金の一部に充当され、残額を支払うのが一般的です。金額が大きい場合や引き渡しに時間がかかる場合は中間金を支払うこともありますが、これは売主と買主との間で自由に設定されます。
■申し込み証拠金・頭金との違いは?その他の費用についても解説
不動産投資における物件売買では、複数回に渡って支払いをすることがほとんどです。そのため、「どのタイミングで支払ったお金が何に該当するのかよく分からない」という人も多いのではないでしょうか。
手付金と混同されやすいのが、申し込み証拠金・頭金です。
申し込み証拠金は、購入を決めたときに買主が不動産会社に対して、「購入を決めた」証しとして支払うお金のことです。不動産会社によっては申し込み証拠金を預からずに、契約時に手付金を受領する仕組みを採用している業者もあります。契約が成立すれば、申し込み証拠金は手付金に充当されることが多いです。
頭金は、意外と知られていないのですが法律で定められたものではなく、不動産を購入する際に自己資金として支払う金銭を指します。頭金の多くは、手付金として扱われます。
また、手付金以外に、売買代金の3割程度を自己資金でまかなうという考え方の不動産投資家もいます。このように、頭金の額は投資家の考え方によって変わります。
不動産を購入する際には、手付金の他に手数料や諸経費も支払います。手数料は、一般的に不動産仲介会社に支払う仲介手数料を指します。未経過分の固定資産税や司法書士報酬など、購入に伴って発生する費用が諸経費です。
手付金の意味や相場、申し込み証拠金・頭金の違いについて見てきました。手付金の意味を正しく理解し、スムーズに契約手続きが進むよう心がけましょう。