不動産を売却する時、最近では「一括査定サイト」を利用する人が増えてきた。利用者にとっては便利だからこそだが、あまりに数が増えたので、今度は「どれを使えばいいか分からない」という悩みを聞くようになってしまった。そこで今回は、不動産の一括査定サイトの基本とともに、おすすめのサイトを詳しく伝えることにする。きっとあなたにピッタリの一括査定サイトが見つかるだろうから、ぜひ参考にしてほしい。

不動産一括査定サイトって何?

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(画像=PIXTA)

不動産を売却する時は、最初に不動産会社に査定(売却価格の見積もり)を依頼するのが基本だ。

自分でも相場価格を考えるものだが、どうしても初心者は「買主側の思惑」が分からないので割高に考える。それで売却できればいいが、できない可能性が高まるため、やはりプロに査定価格という「買主も納得しやすい適正価格」を考えてもらったほうが無難だろう。

従来は、自分で一社一社の不動産会社に連絡して査定をしてもらっていた。不動産には明確な定価が存在せず、適正(と思える)価格も不動産会社によって違うからだ。複数の不動産会社の査定結果と自分の相場価格を見比べて、最終的な「売り出し価格」を決める。

しかしハッキリいって、自分でそれを行うのはかなりの手間だ。不動産会社もさまざまなので、自分の売却案件を受けてくれるかどうかも分からない。ヘンな会社に依頼しては最悪なので、「事前に調べる手間」もかかる。これらの手間を省略できるのが「不動産一括査定サイト」だ。

簡単にいえば、不動産一括査定サイトとは、「一度の簡単な操作で複数の不動産会社に査定依頼ができる」サイトのことをいう。時間がない、忙しい方ほど不動産一括査定サイトを好むのも、何となく分かるところではないだろうか。

不動産一括査定サイトがおすすめである3つの理由

不動産一括査定サイトは、不動産を売却する時に「必ず使わなければならないサイト」ではない。パソコンに不慣れ、親しい不動産会社がある、または不動産に自信があるのなら、査定を依頼するにしても、従来通り自分で相応の不動産会社に電話などをする方法もアリといえる。

しかしパソコンはともかく、ほとんどの人は親しい不動産会社など無いのが普通だ。不動産に自信があることも滅多にない。中には、電話するだけでも恐怖や敷居の高さを感じる人もいるだろう。今どき、どちらかといえばネット取引のほうが気軽に利用できるのではないだろうか。

不動産一括査定サイトの利用は、なにも「査定依頼の簡略化」だけがメリットではない。次の章から、この方法がおすすめである理由について伝えていく。

インターネットで簡単に複数社を比較できる

やはり、これが最高のメリットだ。直接的な査定比較もさることながら、「一社一社に連絡して説明し、その後もやり取りする」という膨大な手間を省略できる。従来の手法では、多くの人が1~3社にしか連絡しないため、その分だけ査定結果が甘くなる点もあった。

利用者は比較する立場だが、不動産会社からすれば「比較される立場」になる。今はネット全盛期なので、良いことも悪いことも簡単に出回るため、不動産会社間に「競争原理」も働く。一括査定サイトは、少なくとも利用者にとってプラスに働きやすい環境といえるだろう。

自分にピッタリの不動産会社を手軽に探せる

不動産会社からすれば査定も業務の一環だが、利用者からすれば査定は「見積もり」に過ぎない。実際にそこを利用するかどうかは、見積もり額やその対応次第ではないだろうか。「対応姿勢を比較できる」というのは、自分にピッタリの不動産会社を探すのに大きなメリットだろう。

そもそも、近所に沢山の不動産会社はあるのだろうか? あっても知らないことも多く、逆にありすぎて選びきれないことも多い。一括査定サイトを使えば、基本的に少なすぎることも多すぎることもないはずだ(そう感じるサイトを使えばいい)。そういう意味でも、探す手間を大幅に省けるだろう。

無料で利用できる

不動産会社の査定は、そもそも基本的に無料だ。しかし、初心者なら「なんだかんだとお金を取られそう、契約させられそう」と考えることもあるだろう。実際に不動産会社(というか案件や物件)によっては、有料の査定をすすめられることもあるので、尚更かもしれない。

一括査定サイトなら、良くも悪くも不動産会社は「普通の無料査定」しかしない。あなたの個人情報も、限定的にしか不動産会社に伝わらないため、そういう意味でも安心に繋がるのではないだろうか。「無料で安心も買える」のは、一括査定サイトの隠れたメリットだ。

利用する前にこれだけは知っておきたい2つのデメリット

この世に完璧なものは滅多になく、メリットがあればデメリットもある。両面を理解し、その上で利用するかどうかを考えるべきだろう。多くの場合、メリットのみを並べ立てられるだけでは、裏を考えて不安が増すものではないだろうか。そういう意味でも、デメリットもおさえておくことが大切だ。

一括査定サイトも、メリットばかりではない。デメリットのほうが勝ると考えた時は、従来通り自分で不動産会社を探して一社一社に連絡すればよい。どちらの手法が自分にとって良いかを冷静に考えるためにも、まずはデメリットもしっかり把握しておこう。

次の章から、初心者にも知っておいてほしい一括査定サイトのデメリットについて伝えていく。

不動産一括査定に登録していない会社は見ることができない

不動産に限らないが、一括サイトの類は「募集などに手をあげた業者のみ」が登録・掲載されるのが基本だ。業者が登録しない理由はさまざまだが、ひとまず「全ての不動産会社が登録しているわけではない」点が重要となる。手をあげた業者も、全ての一括サイトに登録しているわけでもない。

良くも悪くも、一括サイトを利用すると「そのサイトに登録した業者の範囲で不動産会社を選ぶ」ことになる。どこの一括サイトにも登録していない不動産会社にどうしても査定してほしい時は、個別に連絡しなければならないわけだ。一括査定サイトの限界をしっかりふまえたうえで利用しよう。

しつこい営業電話がかかってくることもある

一般的な見積もり同様、不動産会社にとっての査定は「撒き餌(まきえ)」だ。査定を通して依頼者に媒介契約をしてもらい、最終的に売買契約につないでようやく利益になる。最終的に利益を得られるのは売買契約までこぎつけた一社だけだからこそ、不動産会社も必死に競争するわけだ。

しつこいと取るか、それとも熱心と取るかは依頼者次第だが、少なくとも不動産会社の「契約を取りたい気持ち」は自然なものだろう。あなたの受け取り方はともかく、不動産会社の気持ちが「しつこい営業電話」という形になる可能性はゼロではない。こればかりは仕方ない側面もあるので、理解したうえで利用することをおすすめする。

不動産一括サイトの選び方

一概にはいえないが、そもそも不動産業界はどうしても「規模の勝負」になる。長年経営している有名な大手企業ほど、技術やノウハウも蓄積し、資金も潤沢で倒産しにくく、利用者としても安心できるものだ。規模が小さい会社ほど、それらが期待しにくくなる。

しかしすべての中小企業がすべてにおいて大手に劣るのか? 必ずしもイエスとはいえないはずだ。一般的に考えても、大手だからこそ顧客数が多く、一顧客あたりへの応対は弱くなるものではないだろうか。効率を追求し、扱う金額の大きい顧客を優先することも普通にある。

このような基本を元に、次の章から不動産一括サイトの選び方について伝えていく。

登録業者数の多いサイトを選ぶ

シンプルに登録業者数の多いサイトはおすすめだ。多ければ良いというわけではないが、少ないサイトでは査定してくれる業者も少なくなり、土地や物件によっては業者が見つからない可能性も出てくる。「自分の物件周辺の不動産会社が多く登録しているサイト」も良いだろう。

何事も過ぎれば毒だ。あまりに登録業者が多いと、利用者が選びにくくなるだけでなく、不動産会社も競争に疲れて案件を選ぼうとする。一括サイトは、利用途中でサイトを変えても問題ない。何となくでも不都合を感じた時には、別のサイト利用を検討するのも良いだろう。

充実したサポート体制があるかを確認する

一口に一括サイトといっても一律ではなく、登録する業者や数のほか、他にもさまざまな違いがある。特に初心者にとっては、一定のサポート体制が充実しているか否かで選ぶこともおすすめだ。初心者はサポートの中身が分からないこともあるが、その時は「サポート項目の数」で選んでも良い。

直接的なサポートばかりではなく、「サイトの特色」で選ぶこともおすすめだ。例えば「悪徳業者は排除している」「〇〇物件に特化」なども、初心者には分かりやすい違いになるのではないだろうか。まずは「どんなサイトがあるのか」を、いろいろと見て回ろう。

不動産一括サイトのおすすめ最新トップ10+7

「どの一括サイトを選べばいいか」は、最終的にどうしても「あなた次第」となる。あなたの持つ不動産事情や売却にともなう意向と、一括サイトを通して出会う不動産会社との相性次第といえるだろうか。まずは自分なりに、自分のことを客観的に自己分析してみてほしい。

初心者の場合、どうしても自己分析は難しいだろう。相手となる不動産会社を見極めるのも難しいはずだ。こんな時は、やはり「数を打つ」のが基本といえる。「〇〇に限定・特化」などの分かりやすい特徴も大切にしつつ、「登録業者数」の多さを重視した10サイトと、そのほか特徴的なおすすめサイトを7つ紹介していこう。

登録業者数1784社 ライフルホームズ

ライフルホームズは、トップクラスの登録業者数を誇る不動産一括サイトだ。マンションや一戸建て、土地など不動産の種類を問わずに調べられる。「プライスマップ」という、マンションの参考価格を地図上で確認できるサービスも人気だ。

登録業者数1700社以上 イエイ

イエイの登録業者数も、トップクラスになる水準だ。イエイは「イエローカード制度」を導入しており、評判の悪かった業者を排除しているからこその安心が、初心者には嬉しいといえる。「お断り代行」などのちょっとしたサービスも、地味に便利なのではなかろうか。

登録業者数1600社以上 イエウール

イエウールも、トップクラスの登録業者数を誇る不動産一括サイトになる。大小を問わずにさまざまな業者が登録しているからこそ、その査定には高い信ぴょう性を持てることだろう。数が多いからこそ「悪徳企業は排除」という行動も取っており、初心者にも安心できるサイトといえる。

登録業者数1400社以上 リビンマッチ

リビンマッチも、登録業者数が極めて多い不動産一括サイトといえる。楽天リサーチによる2017年の「不動産価格の満足度」「利用したい不動産ポータルサイト」の2つで1位を取っている点も安心につながる要素だろう。利用すると、5千円分のギフトカードがもらえることも、何気に嬉しい要素といえる。

登録業者数1300社 ホームフォーユー

ホームフォーユーも、かなり登録業者数が多い不動産一括サイトだ。ここは規模も十分ながら、あえて数よりも「不動産業者の質」を追求・アピールしているサイトになる。NTTデータグループが運営、日本初の不動産一括サイトなど、「大手・老舗」として初心者も安心の文言が並ぶ。

分譲マンション専門 マンションナビ

マンションナビは、分譲マンションの売却に特化した不動産一括サイトだ。提携社数はサイト上にはないが、全国2500店舗と提携し、そのうちの9社が査定してくれる。(地方の)自宅を除けば、どちらかといえば一般の方は多くがマンションを購入または居住することが多いだろうから、自身の不動産事情を考えれば使いやすいかもしれない。

登録業者数700社 リガイド

リガイドは登録の際に独自審査を行っており、あえて少し登録業者を選んでいるサイトになる。2006年から運営している老舗サイトで、最大10社に査定可能など、初心者にも嬉しい特徴があるサイトだ。不動産投資やリフォームなど、関連する情報が多く取れる点も良好といえる。

登録業者数300社以上 タウンライフ

タウンライフも、十分な規模を持った不動産一括サイトだ。某アンケートでは「利用満足度」「使いやすさ」「薦めたいサイト」で3冠を取ったこともある。タウンライフは不動産全般を抑えつつ、保険や塾(教育)、海外旅行など、生活に関わる総合的な紹介サービスを受けられるのが特徴だ。

大都市に特化 おうちダイレクト

おうちダイレクトは、対象を大都市に絞ってサービス展開しているサイトだ。どちらかといえば提携先は少なく大手が中心になるが、相応に中堅以下も入っているため査定も期待できる。「Yahoo!不動産」と「SRE不動産」が運営しているため、登録ユーザーが多く、効率よく宣伝ができるといえるだろう。

東京23区限定 ハウマ

ハウマ(HowMa)は、東京23区に限定している不動産一括サイトだ。特許を取得した新サービス(査定をした全ての会社がそのまま売却努力をする)は、初心者には心強いのではないだろうか。利用者も限定されてしまう点はあるが、都内に不動産があるなら十分に選択肢として入れられるだろう。

その他の不動産一括査定サイト

参考までに、他にも以下のような不動産一括サイトもある。けしてトップ10に劣るというわけではないが、幅広い初心者が利用するには少し特徴的かもしれない。知ってさえいれば、そのうち使えるかもしれないし、今後のためにも一度は目を通しておくことをおすすめする。

イエカレ
イエカレは、登録業者数400社程度の一括サイトだ。ここは「物件の買取」を査定してくれる点が特徴的といえる。とにかく早く現金化しなければならないなら、試すのもアリだろう。また土地活用や家を貸したい時など、不動産に関係する全般的なサポートをしてくれるのも特徴的だ。

マイスミ
マイスミは、提携先25社で運営している一括サイトである。運営元は一部上場企業の「じげん」なので、初心者には安心できるのではないだろうか。登録会社は少ないものの、いずれも大手や「得意のある会社」なので、少数精鋭ともいえる。少し地域を選ぶが、利用できるのなら検討してもいいかもしれない。

すまいバリュー
すまいバリューは、大手不動産会社6社のみで運営している一括サイトだ。良くも悪くも「大手しかいないサイト」なので、安定感はあるものの、それ以上は期待しにくいかもしれない。初心者は成功より失敗を気にすべきなので、むしろ優先的に考えるのもアリだろう。

イエシル
イエシルは、主に東京都内を中心にサービス展開をしている。運営が一部上場企業であるリブセンスなのも、初心者には嬉しいところではないだろうか。ビッグデータや賃貸情報を利用したリアルタイム査定など、複数の特許を出願しているほど、独自サポートに力を入れている。都内の方なら、一度は見てみてもいいだろう。

スーモ
スーモ(SUUMO)は、一般の方なら「賃貸不動産屋」という認識が強いかもしれないが、売却査定も手掛けている。売却後に賃貸物件を探したい場合には、手間を省くこともできよう。また引っ越しや購入についても利用できるので、面倒が嫌いな方にはこれ一本ですむところがいい点だ。

アットホーム
アットホームは、誰もが一度は見聞きしたことのあるサイトではないだろうか。登録業者数は圧巻の1941社を誇り、堂々の大手といえるだろう。ただ、サイトそのものが大手すぎ、登録業者数も多すぎるといえるかもしれない……。それでも、一度は使ってみるのもアリだ。

スマイティ
スマイティは、登録業者数1300社の一括サイトだ。運営は、有名な「カカクコム」なので、初心者も安心しやすいといえよう。ただ、カカクコムは不動産が本業ではない。しかしだからこその視点に期待する考えもあるので、ぜひ一度は見てみよう。

結局どの一括査定サイトが1番おすすめなの?

今回ご紹介した17の一括サイトを徹底的に比較し、そして「不動産売却の初心者が使う」という前提で考えれば、「ライフルホーム」がおすすめだ。理由は色々あるが、一番は「適度に登録業者数が一番多い」点といえる。初心者でも誰もが汎用的に使えるサイトだろう。

同じ理由で「イエイ」「イエウール」あたりも捨てがたい。「マンションナビ」や「おうちダイレクト」は、ピンポイントで当てはまる人にはおすすめだ。大手好きなら「すまいバリュー」「アットホーム」も良いだろう。他も十分、あなたの選択肢に入れてもいいはずだ。

通常の査定もそうなのだが、一括サイトにおいても「一つしか使ってはならない」ということはない。むしろ複数のサイトを使って結果を比較すれば、さらに納得できる結果を得られる可能性が高まる。初めての売却なら存分に色々と試し、その上で実際の売却をすすめていこう。

まずは一括査定を利用してみよう

冷やかしは控えるべきだが、本当に不動産を売却する予定があるのなら、あなたは業者から見て「(優良な)見込み顧客」だ。初心者ならではの不手際など、承知のうえで応対してくれるはずといえる。あくまで査定は無料の見積もりに過ぎないのだから、まずは気軽な気持ちで一括査定にチャレンジしてみよう。