資産にはさまざまな形がある。金融資産や不動産はもちろん、事業そのものや人からの信頼も大きな資産といえるだろう。ともすれば、ビジネスで得た成功や人脈などの「何物にもかえがたい」ものこそが真に大切なものだと言われることも増えている。

今回は原点に立ち返り、「お金」を扱うプロフェッショナルに話を聞いてみたいと思い、富裕層や法人を対象とした運用のコンサルティングを行う独立系プライベートバンカーの粟津久乃さんにインタビューを行った。(取材・藤堂真衣/写真・森口新太郎)

粟津久乃(あわづひさの)さん
インディペンデント・フィデュシャリー株式会社マネージングディレクター。大学卒業後、東京三菱銀行で融資と資産運用を経験し、シニアファイナンシャルプランナーとして活躍。2007年に株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーに参画。銀行員時代の経験と投資に関する知見を活かし、主に富裕層を対象とした投資アドバイスを行う。インディペンデント・フィデュシャリー株式会社にて学校法人・公益法人を対象とした運用アドバイスを行っている。2010年早稲田大学大学院ファイナンス研究科卒。

富裕層向け投資アドバイザーから、学校法人・公益法人担当へ

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(写真=森口新太郎、ZUU online編集部)

──現在のお仕事のスタイルについて、お聞きしてもよいでしょうか。

以前は上場企業オーナーの富裕層などへの投資アドバイザーとして働いており、現在はインディペンデント・フィデュシャリーで学校法人・公益法人を専門とした運用アドバイスを行っています。

──公益法人というと、学校・財団などでしょうか?だいたいどのぐらいの資産を扱っていますか?

学校法人もありますし、財団法人や宗教法人などの「組織」が主な顧客です。もともとは個人の方向けに投資アドバイスなどもしていましたが、今は法人がメインです。

弊社として扱っている資産額としては1100億円程度です。

──個人と法人では、やはりコンサルティングの内容やクライアントの要望は違うのでしょうか。

運用の手法が大きく変わるということはありませんが、学校法人・公益法人の場合は、年間の事業を維持する収益を得る必要があり、その事業を長く続けていくことが特徴です。そのためには、資産より安定的に収益を出し、元本を長期的に緩やかにでも、その時々の物価価値に合わせて増やしていくことに意味があります。

法人の事業には終わりがなく、将来的に長く事業を継続していきたいという思いがありますよね。ですから、より長期にわたってリスクを避け、金融情勢が変化しても資金繰りに困ることのないようサポートを行う必要があります。

プロが選択する「普遍的な運用方法」

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(写真=森口新太郎)

──個人と大口顧客で、提案する金融商品はどのように違いますか?