東京五輪を来年に控え、「東京2020オリンピック聖火リレー」が開催されます。2020年3月26日に福島県を出発し、47の都道府県を回ります。最後の東京都は7月10日から7月24日となっており、東京五輪の幕が切って落とされます。

五輪の聖火は、言うまでもなく大会の象徴。しかし、映像ではなじみのある聖火リレーですが、その歴史や目的は意外と知られていないようです。

聖火リレーの歴史

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(画像=Joseph Sohm / Shutterstock.com)

その起源は、古代ギリシャにあると言われています。ギリシャ神話には、人類が火を利用できるようになったのは、ゼウスの持つ「天界の火」をプロメテウスという神が盗んだことがきっかけだったとする記述があります。そのため火は神聖化されていきました。

記録上最初のオリンピックは、紀元前776年のオリンピア祭とされています。神を信仰する古代オリンピックにおいて、大会期間中に開催地であるオリンピアで火が灯されたのです。

19世紀に始まったものを近代オリンピックと呼びます。20世紀に入り、1928年のアムステルダム大会で、五輪競技場のデザイナーが聖火を灯し続けるという妙案を打ち出したことが、現在の五輪聖火の直接的なきっかけになりました。

さらに1936年、ナチス政権時代にドイツのベルリンで開催された五輪で、初めて聖火リレーが実施されたのです。五輪の発祥地・ギリシャのオリンピアで火を採り、それをベルリンの五輪会場にリレーすることで、ナチス政権の政治的な宣伝、いわゆるプロパガンダを仕掛けようとしたというのが聖火リレーの始まりだったわけです。

神聖なイメージのある聖火リレーの起源を探ると、「ヒトラー」にたどり着くという点については、五輪の一種の黒歴史として語られることもあるようです。

東京五輪における聖火リレー

その歴史とはかかわりなく、既に聖火リレーは五輪を盛り上げる重要なイベントとして位置づけられています。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、東京2020オリンピック聖火リレーを「聖火の光が多くの人々にとって希望の道を照らしだすもの」と説明しました。

「全国を回り、喜びや情熱を伝えていきます。震災から10年目の被災地も訪れることになり、新しい時代の希望のオリンピック聖火リレーとして、復興に力を尽くされている方々にも、元気や力を届けてまいります。また、震災当時世界中から寄せられた支援や励ましに対し、震災から10年目の日本の姿を感謝の気持ちとともに発信し、困難を乗り越える人々の力・不屈の精神を、しっかりと伝えていきます」(競技大会組織委員会)

最初にオリンピア市のヘラ神殿跡で、聖火採火式が執り行われます。古代の衣装を着た巫女が、凹面鏡で太陽光を集め、聖火を採取します。聖火が第一走者に引き渡され、ギリシャ国内をリレーした後、オリンピック開催国へと運ばれます。

さらに、聖火引継式で、ギリシャオリンピック委員会から東京に聖火を引き継ぎます。2020年3月20日に宮城県にある航空自衛隊松島基地に聖火が到着し、聖火到着式も予定されています。東日本大震災の被災地を皮切りに、全国をまたにかけたリレーが始まります。

聖火ランナーの選定へ

聖火ランナーは、地域で活動している人を中心に、国籍、障がいの有無、性別、年齢などのバランスを考慮しながら選定します。各都道府県やスポンサーが選考した候補者を含むすべてのランナーを組織委員会がとりまとめ、IOCの承認を得て決めるとしています。

聖火リレー検討委員会は選考にあたり3つの視点「復興・不屈の精神(支えあう心)」「違いを認めあう包容力(認めあう心)」「祝祭による一体感(高めあう心)」を発表しています。また、日本全国を盛り上げるリレー、地域の特色を生かしたリレー、誰もが参加できるリレー、持続可能/安全・確実なリレーを目指すとしています。

聖火ランナーの応募は、東京2020オリンピック聖火リレープレゼンティングパートナーである「日本コカ・コーラ株式会社」「トヨタ自動車株式会社」「日本生命保険相互会社」「日本電信電話株式会社(NTT)」の4社と「各都道府県実行委員会」からできます。いずれも8月末日までの募集、12月以降に当選者が発表される予定です。

一生に何度も訪れないオリンピックという一大イベント。聖火ランナー募集の背景や、歴史を知ると、ますます東京五輪が楽しみになるのではないでしょうか。(提供:JPRIME


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